断腸亭料理日記2014

神楽坂・蕎麦・翁庵

10月21日(火)昼

午後、名古屋出張。
12時50分の新幹線に乗る。

JRには飯田橋から乗ることにし、
昼は神楽坂の[めとろ]で、カツカレーを食べていこうと、
考えた。

カツカレーは好物の一つであるが、ひょっとすると
坂下近くの神楽小路にあるここのカツカレーが
最もうまいのではないか、と、思っている。

坂下から坂上に向かって歩く。

ペコちゃん焼で有名な神楽坂の不二家の前を通り、
右側一本目の細い路地が神楽小路。

[めとろ]は少し行って左側。

と。

げ!。

閉まっている。

なにも貼り出していないが、臨時休業であろうか。
(調べると、今年の4月で閉店していたとのこと。嗚呼!。
まったくもって残念。これからはどこのカツカレーを
食べればよかろう。)

う〜ん。

こうなると、、、、、

[翁庵]でかつそばか。

神楽坂の通りに戻り、前の[翁庵]に入る。

12時少し前。

この店は奥に長く、左側がテーブルで右側が座敷。

座敷にまだ、あいている席も多い。

座敷の一番奥のお膳に、奥の壁を背にして座る。

座って、お茶を持ってきてくれたお姐さんに
迷わず、

「かつそば!」。

「はい〜」

奥で。、

「かつイッチョウぅ〜」

と注文を通す声が聞こえる。

よく聴いていないと、聞き落とすくらいなのだが、
ここの注文を通す声は、語尾を伸ばし、その語尾の
「う」に微妙に節が付いている。

毎回くるたびにそう聞こえるので、気のせいでは
ないと思われる。

この注文を通す声は、先頃復活した、神田の[やぶそば]が
わかりやすい。
行かれた方は、間違いなくお気付きで、憶えておいでであろう。

あそこは「○○イッチョウぅぅぅぅ〜〜〜〜」と
演歌のコブシのように、ビブラートをさせた声で
4〜5秒は伸ばしていたであろうか。

神田[やぶ]もそうだが、これはお姐さんから、
一度、帳場に座っている女将さんに伝えられ、
女将さんが、板場に注文を通す。この声のよう。

そういえば、同じ古い[藪蕎麦]でも、池之端と
浅草並木、どちらもお姐さんから直接注文を板場に
通しているので、この声は聞こえない。

古い形なのであろうか。
わからぬが、こういう“声”、むずかしくいえば
様式化した商いの声というのであろうか、は、
やはり、聞いて耳に心地よいものである。

さて。

待っている間、お膳の上に玉子があるのに気が付いた。

生玉子。

「ご自由に」とのこと。

火曜日のサービス(であったか)のよう。

きた。かつそば。

折角なので、生玉子を入れてしまおう。


かつそば、生玉子入り。
左はちっちゃな冷奴。

このかつそば、というもの。

他に出すところがあるのであろうか。
私は、聞いたことがない。

最初は面食らったが、慣れもあろうが、
これは、ここの甘めのつゆと、かつがよく合って、
うまい、と気が付いた。

生玉子を入れると、さらにうまい。
(丼が大きく、つゆも多いので、一つではなく、
二つくらい入れてもよいかもしれぬ。
だが、まあ、流石にタダなので、遠慮すべきであろう。)

うまかった。

座敷を立ち、帳場の女将さんに勘定をし、
女将さんの、

ありがとうございますぅ〜、

の声に送られて、出入口に向かう。

ご馳走様でしたぁ〜〜。

 

 

翁庵

 



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