断腸亭料理日記2014
6月3日(火)夜
今日は、呑んで帰ろうと、と、決めたのだが、
いろいろ考えて、上野の[昇龍]と決めた。
やっぱり暑くなってくると、食べたくなるものの一つが、
餃子、で、あろう。
そして、餃子とくれば、チューハイではなく、ビール。
これも、決まりであろう。
場所はアメ横センタービルそばのJRガード下。
海苔やが二軒並んでいるガードである。
大江戸線の上野御徒町で降りて、地上に上がり、
北へ上がり、アブアブ前、三橋(みはし)の交差点を渡り、
アメ横側に入り、アメ横センタービルに突き当り、左。
アメ横ビルの三角形の頂点の先が『海苔やのガード』。
ガードに入って右側数軒目が[昇龍]。
近くに、パート2がありこちらはもう少し大きいが、
本店(?)の方はカウンターが奥に長く続いているが、
間口一間ほどの店。
ぼんやりしていると、通りすぎてしまうくらい。
この『海苔やのガードの通り』、[昇龍]の目の前と、
隣のもつ焼きやから始まり、ガードを抜けたところの[肉の大山]その他、
立ち呑み、座り呑み(?)含めて、ここ1〜2年の間に、
ガード下テイストの新しい店が、続々とできて、ウイークエンドは昼間から、
にぎわっている。7時半すぎ、この時刻も人出は多い。
[昇龍]の店の前ではいつも持ち帰りの餃子を売っている。
私も内儀(かみ)さんもよく買うのだが、生のものと
焼いたものと両方買うことができる。
開け放した、狭い店の入口に、仁王様のように
おかあさんが立っている。
この人は、この店の名物といってよろしかろう。
なかなか味がある。
なにしろ狭い店なので、まずここで止められ、
あいている席があっても、準備が整うまで待たねばならない。
あいている席は、一つ、二つ。
ただ、回転は速い。
OK?。
おかあさんのOKが出た。
出口付近に座る。
まあ、お世辞にもきれいな店ではない。
だが、この雰囲気がよろしい。
まずは、ビール。
ここの瓶はサッポロのラガー。
そして、むろん餃子一皿。
それから、野菜炒めももらおうか。
中国語のようにも聞こえるが、なにか符丁のような言葉で、
カウンター向こうの厨房へ注文を通す。
この店へきて餃子を頼まない人は、ごく稀(まれ)。
それでもなくはない。そんな人がいると、思わず顔を見てしまう。
実際に、酒を呑む人も夜のこの時刻でもそう多くはない。
どうであろうか、半分の人は、餃子ライスを頼んでいるのでは
なかろうか。
餃子に皿盛のライスにスープ。
餃子はどんどん焼いているのですぐにくる。
これが[昇龍]の餃子。
特大。
酢だのラー油だのを入れる取り皿もここのは
餃子のサイズに合わせて大きなもの。
パリっと焼かれ、比較的厚めの皮。
具もドサッと、入っている。
この大きくて食べ応えがあるのが、私はよいのである。
そして、野菜炒め。
これもデカい。
もやし、キャベツ、玉ねぎ、ちょっと豚肉。
味付けは多少濃いめで、上々。
これは食べでがある。
だがまあ、ほぼ野菜なので、ドカ食いしても
さほどの問題はなかろう。
さて、さて、ここの餃子のことである。
有名だとは思うのだが、賛否両論はあるのであろう。
事実、以前にこの店のことを書いたら、
「うまいか、ここ?」とコメントをした人がいた。
こちらはうまいと思い、好きで書いているのだから
友達や身内であればいざ知らず、見ず知らずの者に否定的なことを
いわれる筋合いはない。食い物の好み、大きなお世話である。
こういうコメントをわざわざする方もどうかしているとは思うが、
まあ、こういう感想があるのも事実ではある。
ところで。
まずくて食べられない餃子というのは
世の中にあるのであろうか。
私は、街の無名なラーメンやでも、そういうものに出会ったことはない。
([王将]もうまいし、味の素の冷凍食品の餃子も
十二分にうまいと思う。)
では特別うまい餃子というのはどういうものか。
これが私は好み、だと思うのである。
つまり、餃子、それも日本風の焼き餃子と絞るが、は
意外にバリエーションがあると思うのである。
例えば、九州、西日本では小さい一口のものが一般的であるようである。
そういう小さな餃子を餃子と思っている人には、
この大きさは随分と違和感があろう。
また、よくグルメ番組などで使われる餃子の褒め言葉として、
ジューシー、なんというのがある。これもどうかと思うのである。
ここのものもそうだが、餃子の皮をきちんと閉じない
餃子というものも世の中に数多く存在しているのである。
こういうものは、当然、汁がジュワー、にはならないのである。
焼き餃子でも他の点心のように、ジューシーでなければだめだ、
という人には、ここのものは、だめ、ということになる。
つまり上野[昇龍]の餃子はこういうもので、こういう餃子も世の中にあって、
好きな人もいるということなのである。
特大野菜炒めも食べ終わり、うまかった。
ご馳走様でした。
03-3832-0847
台東区上野6-10-14
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