断腸亭料理日記2014

我が国の人口減少について

その1


さて。

今日は突然のようだが、我が国の人口減少のことを考えてみたい。

なぜ、そんなことをまた急に、お前ごときが、
と思われるかもしれぬ。

また、現時点で私は解決策のようなものは、残念ながら
持っておらず、問題提起、いや整理くらいか、と、
お考えいただきたい。

人口減少は、少し前から、人並みに気にはなっていたのではある。

ただあまり深刻に危機感をもって感じてはいなかった、
と、いうのが正直なところであった。

しかし、最近の発表でちょっと真面目に考えなくては、
いけないのではないか、と思い始めたのである。

今までの人口減少というと、だいたいが、地方の話で、
一極集中といわれようが今も東京は増えている。

しかし、これがなんと東京も2020年からはついに
減り始める、というではないか。

東京に住む私も、まさにひとごとではない、と。

地方においてはもっとショッキング。

「消滅可能性都市」という言葉を初めて聞いたが、
まあ、放っておけば2040年には
人がいなくなってもおかしくないというのか。

青森や秋田など地方の県庁所在地もあるし、
東京23区でも、豊島区はそのリストに入っている
とのこと。

調べていくと、どうも東京一極集中というのが、
諸悪の根元、である、という議論が説得力を持っているように
考えるようになってきた、のである。

東京というのは政治、行政、もちろん経済、金融、
さらには、文化、芸能、マスコミ等々。
まあ、ほとんどすべての分野の我が国の中心である。

だから、仕事もない、刺激もない地方から出て
東京に流れ込む。

しかし、その人の供給源であった地方も
遂に力尽き、供給する人がなくなる。
(おそろしいことである。そして、我が国には、
誰もいなくなった、なのか?!。)

さて。

ここから考えてみた、のである。

この元凶である東京一極集中は、
一体いつから始まったのか。

家康が江戸に幕府を開き、大名の家臣などが集まり
人口は増え、経済的にも発展し農民も流入し
享保には、100万を越え、世界一の人口になっていた、
という説もある。

が、しかし。

大名の国許には城はあり、城下町があって家来達が住み、
商工もおり、それを支える田畑があり農民がいた。

大名の領地はある意味独立国であり、
大名はこれを守り育てるのが使命であったわけである。

つまり幕藩体制そのものが
地方分権制で、地方を発展させる装置で
あったといってよろしかろう。

江戸に人口はそれなりに集まったが、米の集散地、天下の台所、大坂、
千年の都、京都はもちろん、それ以外の地方も独自に
政治、経済、文化を発展させてきた歴史があったわけである。

これが明治になり、中央集権の明治新政府ができ、
江戸時代に比べるとより、東京への集中は強まって
いったのたが、それはまだまだ、ゆるやかなもので
あったのであろう。

が、戦後、今の、東京一極集中と地方の衰退
(そして誰もいなくなる?!)へ向かう
政策が当時の通産省(その他)によって出されていった
というのである。

むろん、当時の意図はそうではない。

意図は、日本を大量生産大量消費に合った
均質なマーケットにすること。

これは元横浜市長の中田宏氏のHPがネタ元である。

参考「NAKADA.NET」

中田氏と堺屋太一氏の対談であったのだが、
堺屋氏は元通産省の官僚でおそらく間違いはないのであろう。

皆さん、ご存知であったろうか。

不覚ながら私は知らなかった。

まず、東京一極集中政策の例の一つは、各業界団体、
その本部は東京に置かなくてはならない、と、いうもの。

通産省(現経産省)の経済産業界の管理し振興する政策を
進めるために、その業界を取りまとめる必要がある。
それで業界団体というものを作らせる、ということをしてきた。

この業界団体を窓口にするという手法は、古くは明治まで
さかのぼるのであろうが、戦後の東京集中政策以前には、
例えば、繊維業界であれば、大阪に本部があった
と、いうのである。

これを東京に持ってこさせた。

おそるべし。
日本の経済政策。

さらに、驚くのは、出版産業。

私は長年、印刷を主業務とする企業に勤めてきたが
出版社はむろん、書籍を印刷するのは圧倒的に東京である。

明治以降、自然発生的に東京に出版社や印刷会社が
増えていった側面もあったのであろうが、実はそれだけ
ではなかったのである。

印刷した書籍は、次に日販、東販と呼ばれる、
取次(とりつぎ)と呼ぶ卸へ行く。
この取次は東京でなければならない、と決めた、
というのである。
(これは戦争中の国策条例だそうな。むろん言論統制の
ためであったろう。)

知らなかった、、、。


つづく









 


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