断腸亭料理日記2014

断腸亭の夏休み「セイシェル」その12


引き続き、断腸亭の夏休み、最終日のワインディナー。

アミューズから前菜。

そして、メイン。

なかなかに美しい盛り付け。

前にもヴィラの隣のレストランで出たが、レッドスナッパーフィッシュ
=フエダイを巻いてあるようである。

いや、記憶が曖昧なのだが、腸詰のようになにかに詰めてこの形に
してあったようにも思われる。(今、この写真を見ると表面が
ツルンとしているので。)
魚をこういう風に腸詰風に仕立てるのはよくある技なのか。
少なくとも私は初めてである。

緑色はクレソンのソース。
上にのっているのは、自家製ドライトマト。
(隣のレストランでも出ていたが、
クレソンはセイシェルで栽培されているよう。)

フエダイというのは、とてもうまみのある魚である。

これに合わせるのは、この白。

South Africa Sauvignon-Semillon,Creation,2013

南アフリカ産、ソーヴィニオンとセミヨンのブレンド(?)、2013年、
と、いうことか。

ワインの味がわからないことに加えて、既にだいぶ酔っ払ってきており、
先ほどの白よりも、濃厚、ということぐらいしかわからない。
(どうも“豚になんとか”である。)

次はチーズ。

フレンチのコースではチーズが入るのが正式なのか。

「山羊のチーズの三重奏」という名前がついている。
ソースはラズベリービネグレット。
モッツアレラのようなフレッシュチーズであったという
かすかな記憶、、、。

チーズに合わすのは

France Moulin a Vent Chateau du Moulin a Vent 2009

フランス産、シャトームーランの2009年。(赤)

(後で調べると、これはボルドーのもので、べら棒に高価なもの
ではないようだが、そこそこの評判のものらしい。
また2009年もワインにはよい年?。)

内儀(かみ)さんはチーズも好物で、本来的には
私などよりも、ずっと酒が強い。
ウハウハのいい気分で呑んで食べている。

一方、私はというと、完全に酔っ払い、腹も一杯。
眠さが先に立ち、チーズにしても、ワインにしても、
もはやどうでもよい。

もとより、味もおぼえていない。
このワインの写真も撮り忘れている。
(下のデザートの写真に写っている大きなグラスの赤がこれ。)

が、コースとワインは、まだ続く。

The show must go on!

欧米人というのは、コース料理を食べ終わり、さらに
チーズや甘いものを酒とともにやる。
私などには到底真似できないペースである。
もう帰って、寝たい、、、。水をくれ、、。

デザート。

トロトロのチョコレートソースがかかった
球形のチョコ。
中はフルーツのコンポートとコーヒーのアイス。
皿のまわりも飴細工のようでカラフルなデコレーションである。

随分と力が入っている。
(昨日の中華とは、エライ差、で、ある。)

このデザートにも赤ワインがついていて、
上の写真の小さなグラスのもの、で、ある。

残念ながら、これはサプライズということで
ワインの銘柄など、メニューには書かれておらず、
むろん記憶はなく、不明である。

かすかな記憶は、甘くて濃い赤だった思われる。
(いわゆる貴腐ワインではなかったようだが、、、。)

まったくもって、ネコニコバン、であった。

フラフラ歩いて部屋に戻りそのまま就寝。


さてさて。
こんなことであれば、少しワインの勉強をしておけば
よかったか。

しかし、日本酒などもそうなのだが、ワインも含めて、
酒に関しては執着しないことに随分前に決めていたのである。

本来的にはアルコールにさほど強いわけではないというのもあるが、
酒に凝りだすと切がないと思って、やめたのである。

むろん、ワインが筆頭であろう。奥が深すぎる。

もう10年以上前、浅草に引越す前、まだ葛飾の四ツ木に住んでいた頃、
近所に当時、日本名門酒会に入っている酒屋があって、ここの
兄さんに日本酒、特に地酒のことは随分と教えてもらったものであった。

地酒の世界もまったくに奥が深い。日本中に数えきれないほどの蔵があり、
原料米の種類、精米度合、生元、山廃などの製法、あるいは、
杜氏のクセなどなど。これによって、味にしても香りにしても、
発泡、濁りなど酒としての状態も、様々なものが出来上がり、
これに、料理との組み合わせ、お燗、冷酒、常温などの呑み方、
季節などのTPO、等々、凝りだすと実に愉しい。

が、むろん金もかかるし、どこまで行っても、底が見えない。

ある時、あまりに切がないので、自分の好みの最大公約数を
割り出してみると、なんのことはない、菊正宗にたどり着いたのであった。
燗にしてよし、なによりも私好みの東京下町のしょうゆの濃い味には
辛口の菊正宗に尽きる。それ以来、日本酒は菊正宗一本である。

ただやはり、ワインの世界も、そうとうに愉しそうではある。

先にも書いたが、コース料理の食べ方とそれに合わせた
酒の呑み方は、日本のものとまったく違うので、まずはここから
慣らさなければならなそうであるが。

 


つづく。

 

 


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