断腸亭料理日記2014

鴨せいろ

4月12日(土)昼

さて。

土曜日。

火野正平氏が自転車で日本中を旅する
NHKの「にっぽん縦断 こころ旅」。

けっこう好きで、よく視ている。

脂が抜けているのかいないのか、
わからぬが、六〇を越えて、よい味の正平氏、
で、ある。

岐阜県だかで、昼飯に鴨せいろを食べていた。
(鴨汁といっていたか。)

以前はかなり凝っていて、蕎麦やへ入れば
どこでも頼んでいたことがあった。
あまりに食べすぎて飽きてしまった、というわけでもないのだが
最近は思い出したようにしか食べていない。

そうだ!。

冷凍庫に鴨肉が凍っていたのだった。

そばなしの“ぬき”で一杯やろうか。

冷凍庫を探すと、二枚凍っていた。
全部食べてしまおうか。
内儀(かみ)さんも食べるであろう。

鴨肉をレンジで解凍する。


こんな感じ。

この脂がうまい、のである。

脂と肉を切り分ける。

鴨せいろというのは、つけ汁に鴨肉が入ったもので
ここにそばをつけて食べるわけである。

鴨肉の脂身ではなく肉の部分は火が入ると
瞬く間に縮んでいく。

洋食でも和食でもそうだと思うが、
鴨肉を料理する場合は、半生が原則。

一方で、つけ汁の方。
ポイントは脂身である。

脂身から脂をつゆに煮出す。
甘辛のつゆに鴨の脂が溶け出したのが、うまい、
のである。

脂身の付いたまま煮出してしまうと
肉は縮んでしまう。

よって、肉と脂身は切り分けて別々に調理するのである。

切り分けた脂身は脂が出やすいように細かく切る。

鍋に桃屋のつゆ原液、酒を加えて薄め、
ここに細かく切った脂身を入れ、煮出す。

灰汁が出てくるのですくいながら。

鴨のつけ汁には焼きねぎも入れる。

脂身を切り取った肉とともにねぎを、
ガスのグリルで焼く。

肉は先の通りすぐに硬くなるので、色が変わったら
あげておく。

ねぎは焼き色が付くまで焼く。

OK。

つけ汁の味をみる。

脂も出ている。

よいか。

焼いた肉とねぎを入れる。

薬味用のねぎも切る。

器に盛り付け。


これで鴨ぬき(?)。

ビールを一杯。


内儀さんはそばが食べたいというので、
湯を沸かし、買い置きの乾麺の蕎麦を茹でる。

水洗いして、ざるに盛り付け。


鴨せいろも完成。

あ、そうであった。

鴨ぬきは、鴨せいろのそばぬき、ではなく、
鴨南蛮のそばぬき、で、あった。

さすがにつけ汁では濃すぎて、
酒の肴にはならない。
(チビチビなめながらになるか。)

内儀さんに食わせたら、鴨肉が硬い、と。

あ〜、

もう硬かったか。

私が食べたものはそう硬くも感じなかったが、、、。

早めに焼くのをやめたつもりであったが、
硬くなってしまったのもあったか。

やはり、鴨を焼くのはむずかしいものである。

だが、鴨せいろ、鴨の脂が甘辛のそばつゆに
溶け込んだのは、堪えられない。

うまいもんである。






 


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