断腸亭料理日記2014

上野・もつ焼き・カミヤ

4月21日(月)夜

今日も栃木から新幹線で帰宅。

時刻は20時。

上野駅到着。

今日は肌寒い。

雨もぽつぽつ。

帰り道、なにを食べようか考えてきた。

もつ焼きやの[カミヤ]。

以前は昭和通り沿い、駅前交差点の少し北側にあったのだが
再開発でビルになったようで、上野駅正面の東京メトロの
本社ビルの裏あたりにきれいになって移転をしていた。

最近、偶然見つけて1、2度寄る機会があった。

[カミヤ]というもつ焼きやは、人形町にもあって
こちらの方が古そうなので、上野は暖簾分けであった
のかもしれない。

上野[カミヤ]の元の店もそうとうに古そうで
なかなか味があった。
だが、常連さんも数多いようで、なかなか緊張する
雰囲気であった。

新しい店も常連さんは継続してきているのであろうが、
店が新しくなって、入りやすくなったような気がするのは
不思議なものである。

上野駅浅草口から出て歩道橋に上がり、真っ直ぐにくると
エスカレーターがあって、これを降りる。

降りて真っ直ぐ。
最初の角を左に曲がって右側。

赤い庇の上に、白地に『もつ焼き カミヤ』の看板だけ。

『もつ焼き』は赤い文字で、『カミヤ』は黒。
『カミヤ』は『もつ焼き』の二倍の大きさ。

このシンプルな看板は、きれいにはなっているが、
以前と同じではなかろうか。

サッシのドアを開けて入る。

店内は明るい。

手前にテーブル席が二つほどあって、
奥がカウンター。

今日は雨のせいか、珍しくすいている。

カウンターの角の席に座る。

カウンターの向こうは透明な樹脂の板の仕切りがあって、
無口だがいつもにこやかなご主人が
炭火でモツを焼いている。

ちょっといい男で、ごま塩の短髪。

座って、レモンサワーを頼む。

レモンサワーと小皿にのった大根のお新香がくる。

お新香は楊枝でつまむ。

このお新香はむろん引越す前の店から変わらない。
もっというと、人形町の[カミヤ]もまったく同じ。

おそらく糠漬け。
それもお新香というよりは、古漬けといった方が
よいかもしれぬ。

このちょっと塩辛いお新香が
私は好きである。

引越した最初にきたときにおまかせで頼んだのだが
なにも言わないで座っていると、

やっぱりおまかせで
焼いてくれているよう。

たれか塩、どっち?。

と、聞かれ、たれ、とこたえる。

あれこれ考えるのが面倒なので、
おまかせの方がありがたい。

すいているせいか、早くきた。


お姐さんが運んでくれる。

ご主人とお姐さんの二人でやっている。

この方はご主人のお内儀(かみ)さんであろうか。

ご主人はむろん移転前と同じ方なのだが、
お姐さんの方は、違うような気もするのだが、
定かではない。

レバなどは柔らかく、炭で絶妙な半生に焼いてくれるので
本当は、塩の方がよいのであろうが、
なんとなく、焼鳥にしてももつ焼きにしても、
習慣で、たれ、で、頼んでしまう。

もう一皿分きて、レモンサワーをお替り。

そして、つくねと、お新香のお替りをもらう。


お新香をお替りをすると、少し大き目の小皿だが、
大根だけでなく、にんじん、きゅうりも出てくる。

この店のサワーは、普通の居酒屋よりも、
多少濃いのではなかろうか。

二杯でもいい感じに酔っぱらう。

呑み終わり、食べ終わり、奥で会計。

ご馳走様でしたぁ〜、と、店を出る。

私のような、この店のお客として新参の者には
入りやすくなった感じがして、歓迎である。

ついつい、ちょいと寄ってしまいそうである。





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