断腸亭料理日記2013
今日も、ちょっとダイジェスト的なものになるのだが、
オフィスからJR市ヶ谷駅へ向かう途中、左内坂のラーメンや
[麺や庄の]。
きてなかったということはないと思うのだが、
ここに書くのは久しぶり、で、ある。
市谷界隈というのは以前はラーメンについて(いや、飲食店全般と
いってもよかろう)いささか不毛なところであった。
だが、この店などができて、ちょいと、改善している。
(その他の飲食店は相変わらずであるが。)
どうでもよいのだが、イチガヤというのは、今、私は市谷と書いた。
これは外濠の外側の新宿区側の町名で、駅の名前は
市ヶ谷で、ヶ、が入る。
外濠は低地で、新宿区側は、牛込の台地で北側へ
向かって、坂や崖になっている。
防衛省、元の自衛隊、その昔の陸軍第一連隊、あるいは
陸軍士官学校、さらにその昔は広大な尾張藩邸、は
この坂下から台地にまたがってある。
先年大河ドラマでもやった司馬遼太郎の『坂の上の雲』の坂とは
真偽のほどは定かではないが、この市谷の坂のことだと
聞いたことがあった。
ともあれ。お濠の内側は内側で番町で、もともとはお屋敷町。
外側の牛込も一歩入ると今でも、山手のお屋敷町。
まあ、そんなこともあって、飲食店が不毛な土地、なのであろう。
そんな、牛込の台地に向かってあるいくつかの坂のうちの一つで
おそらく最も急なのが、左内坂、で、あろう。
左内坂は細い道だが、亀ヶ岡八幡の右脇から防衛省の裏側へ
抜けている。
[麺や庄の]は以前は左内坂の坂下に向かって右側。
それこそ、大昔は、有名になったカレーやの[パク森]が
創業したところにあった。
[麺や庄の]は今は、もう少し坂下に近いところ、左側にある。
こちらへ移ってからも、2年以上にはなるのか。
思い出してみると、やはり、ここへ移ってからは
きていなかったのかもしれない。
昼も夜も行列で、急いでいる時が多く、なかなか並ぼうという
気にはならなかった。
いつも、紺色の幟(のぼり)が立っている。
昼少し前、珍しく時間に余裕があったので入ってみた。
入って、券売機が左側。
カウンター席のみだが、以前よりも席数は多いかもしれない。
メニューはラーメンにつけ麺、創作ラーメン、その他。
以前はラーメンはこってりとさっぱりの2種類、つけ麺も
2種類ほどあったように思うのだが、今はそれぞれ一種類。
そして、月替わりのアイデアに富んだ創作ラーメンが
たのしみであったが、これはまだあるようである。
つけ麺、玉子つき。
煮干し系の濃厚、酸味あり。
以前のものよりも濃くなっているのでは
なかろうか。
いや単に濃い、ということだけでなく、複雑な味になっている
のではなかろうか。
ドロッととしており、粘度も高い。
もともと煮干しなどの魚系プラス動物系であったと
思われるが、さらに様々なものが入っていそうで、ある。
2年ほどで驚くほどの進化をしている。
その後、一週を置いて、またいってみた。
今度は、ノーマルなラーメン。
煮豚に右側は表面だけ火が通ったレアの鴨肉。
ノーマルなラーメンに鴨肉を入れるというのは、贅沢。
これもつけ麺同様の煮干し系の濃厚。
スープはつけ麺と同系統ではなかろうか。
煮干し系プラス動物系のさらに複雑系。
創作ラーメンなどによく現れているが、ここの
ご主人は年はまだ若いが、味覚にはある種
天才的なものがあるのではないか、と、思っている。
たまには失敗もあるが、どこをどうひねると
こういう味が生まれるのかと、驚いて舌を巻くような
組み合わせの味を次々と出してきている。
きっと、そのベストのものが、今の定番のつけ麺と
ラーメンになっているのであろう。
私のよくいくラーメンやで、もう一軒、天才的だと
思っているのが、湯島天神下の[大喜]。
ここも新たなメニューを次々と出し、それがどれも
はずれない。
[大喜]の方は、もともと和食の修行をされた方
と聞くがそのベースがあるからであろう、新しいが、
きれいにまとまったものを出す。
そういう意味では[庄の]の方が、よりアバンギャルド、
なのかもしれない。
さて。この二回ともいつもカウンターの向こうに
いた[庄の]のご主人は見えなかった。
調べてみたら、新宿にも店を出しているよう。
やはり、市谷左内坂から始めた店は、発展するのであろうか。
新宿区市谷田町1−3クレセントビル
03-3267-2955
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