断腸亭料理日記2013

わかし

7月28日(日)

さて。

日曜日。

午前中から家で仕事。

昼すぎ、仕事を片付け、上野にちょいと買い物に出る。

自転車。

天気がよく日差しが強い。

ヨドバシで買い物をすませ、せっかくきたのだから
例によって、アメ横の魚やをのぞくことにする。

アメ横センタービルへくる。

この前、NHKの朝の連ドラ「あまちゃん」のことを書いたが
現在放映中の東京編で舞台になっているのが、ここ。

ドラマの中で「アメ女」こと「アメ横女学園」の劇場がこのビルの中に
入っていることになっているのであるが、なんと
「アメ女」の看板が出ている。(前からあったっけ?。)

写真を撮っている人もいるので、私も撮ってみた。


(なにか、このビルに本当にあるような気がしてくる。)

ドラマの方は、キョンキョンの上京、薬師丸ひろ子、
太巻(ふとまき)との対決があり、ますます盛り上がりを見せており、
目が離せない。

しかし、「あまちゃん」、我々世代にピンポイントで
受けているのは否定できなかろうが、それにしても
NHK朝の連ドラとしては、近年まれにみる傑作ではなかろうか。

ともあれ。

このY字路の頂点から左側に回り込み、いつもの魚やへ。

鯖、鯛、太刀魚、鰹。
それから、いなだ。

いなだ、鰹はむろん、一本もの。

ん?、わかし、もある。

一盛、6匹、なんと!、300円。

わかし、というのは、いなだよりも小さい、鰤(ぶり)の子供。

ご存じの通り、東京ではわかし、いなだ、わらさ、ぶり、などと
成長によって名前のかわる、出世魚。

このわかしは、大きさは尻尾までで20cmほどか。

一匹50円。
鰯よりも安い。

買ってみるか。

日差しも強いので、自転車を飛ばして大急ぎで帰宅。

形こそ小さいが、まぎれもなく、鰤の顔をしている。
立派なものである。

夕方、さばいてみる。

頭を落として、腹を裂く。

腹の状態をみるとおおかたの鮮度がわかる。

意外によさそうではないか!?。
生でいけるかもしれぬ。

三枚。

ここまでは、出刃包丁。

皮を引くのは、刺身包丁に持ち替える。

半身、皮を下にして置く。

刺身包丁を寝かし、尻尾側の身と皮と間に刃を入れ
ゆっくり包丁を引きながら切っていく。

尻尾側の皮を持って引っ張るだけでも包丁を動かさなくとも
ある程度切れるので今までそうしてきたのだが、
この包丁を引きながら、というのはポイントのようである。
かなりきれいに切れる。

やはり、包丁というものは刃を動かさねばならない。
そういえば、板さんがやっているのを思い出すと、
引いていたような気がする。

なかなかきれいに皮が引けた。

二匹分、刺身に切る。

わかし、とはいえ、大きさは大型の鯵くらいはあるので
刺身は随分とできてしまった。

これはほんの半身分。わさびじょうゆで食う。

むろん、わかしなので、脂はほとんどない。
ただ、これ、意外にうまいぞ。

あまみというのか、うまみというのか、が、十分にある。
一般に、鰤の系統は、なまぐささが表に出てくると、
このうまみのようなものは感じられなくなるように思う。

やはり、これは当たり!。
鮮度がよかったのかもしれない。

内儀(かみ)さんと二人で一匹分以上は食べたのだが、
そうそうは食べきれない。

刺身に切った残り。
それから、まださばいていないのが三匹。

どうするか。

やはり、煮るのが、まずは正解であろう。

しょうゆ、酒、みりんに砂糖を入れて煮詰めたものを
あらかじめ作り、刺身の残りをこれで軽く煮てみた。

鰤の照焼き、照り煮、というのは一般的。
それの脂のないもの、といったらよかろうか。

煮る時間は5分以内。
この位であれば、身はぷりぷりで十分にうまい。

そして、残った三匹。
これは、二枚におろす。

半分は冷凍。
カレーにするか、塩焼もあるのか、わからぬが、ストックへ。

半身三枚分は、この前鯵でやったが、煮びたしにしてみた。
(素焼きにし、煮切った酒としょうゆに漬けておく。)

食べたのは、翌日。

これは、これは。
なんと、味は、鯵の煮びたしそっくり。

調べたら鰤はアジ科だそうな。(どおりで。) 

 





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