断腸亭料理日記2013

天神下・鮨・一心

1月28日(月)夜

さて、今日は、ふとしたことで、
ちょっと遅い時間、湯島天神下の鮨や、一心へきた。

ここには書いていなかったが、
思い出したように、ぽつぽつと、きていた。

私が今、よくいく鮨やのうちの一軒といってよかろう。

ここは柳橋美家古の系統。

もう一軒よくいく、新橋のしみづも、
間に神田、新橋の鶴八が入っているが、この流れ。

柳橋美家古は、東京で、にぎり鮨発祥の江戸期まで
さかのぼれる店の一つ。
そういう意味では、正しい江戸前仕事を
伝えている店、と、いってよろしかろう。

少し前に親方(店長)が独立され、
ずっと一緒にやっていた若い衆が今は
ここの親方。

既に、一杯呑んできたので、10時すぎ。

ここは、2時までやっているが、この時間になると、
数ラウンド終わって、カウンターには一組。

このあとはこの界隈のグラブの、いわゆるアフターの
お客の時間になる。

呑んでいるので、ビールではなく冷酒をもらう。

お通し。


左から、水菜のおひたし、つぶ貝、下足のぬた。

つまみのおすすめを聞いて、
ほうぼうの昆布〆と、鯖。

ほうぼう。


厚めに切ってある。

昆布〆はおろか、ほうぼう自体、刺身でも
なんでも、食べた記憶はほとんどない。

昆布〆だからということもあろう。
濃厚なうまみ。

鯖は、ほんの少しだけ〆てあるだけ。

こちらは逆に、さっぱり。
光物なので、さっぱりしすぎも、どうかとは
おもわれるが。

にぎってもらう。

やっぱり、小肌から。


蝶々のような飾り切りをしてにぎってある。
うまい上に、美しいにぎり。

まさに、江戸前にぎりの、花、で、あろう。

いか。


むろん、すみいか。

プチッと噛み切る感覚とあまみとほのかな
すみいからしい香り。

次は、たこ。


いや、ほんとうに、江戸前仕事をしてあるたこは、
うまいもんである。
食感とあまみ、香りも違う。

そして、海老。


やっぱり、これも食べなければいけない。
プリプリ。

海老、というのは、車海老。
あるいは、ちょっと小形のものだと、
さいまき海老などともいう。

先の、たこなどもそうだが、今は茹でて流通しており、
店で茹でているところは、そう多くはなかろう。

従って、海老などは、パサパサ。
たこは水っぽい。

タコと海老がこんなにうまいものなのか、
というのは、この系列だったり、江戸前仕事を
ちゃんと続けているところへきて、初めて知った。

以来、鮨やをまず、評価する基準は、
この二つがうまいかどうか。これにしている。

既にテキトウに出来上がっていたので、
この辺で、巻物。

ねぎとろと、かんぴょうわさび入り。

ねぎとろ。


かんぴょう。


かんぴょうは、横に寝かせて、四つ切り。
他の巻物は、立てて六つ切り。

(でしょ!。)

うまかった。

お勘定。

酒込みで、7000円。

たいして食べてないので、こんなものか。

ご馳走様でした。

下世話な場所で、下世話な客層で、
ちゃんとした江戸前を出している。
肩も凝らないし、敷居も高くない。
値段も安くはないが、リーズナブルといってよい。
ある意味、不思議な鮨や、かもしれない。

だが、好きな鮨や、ではある。




文京区湯島3−43−12
03−3835−4922




 


  


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