断腸亭料理日記2013

浅草観音裏・鮨・

久いち その1

2月23日(土)夜

さて。

今日は、内儀(かみ)さんが鮨が食いたい、という。

店は、希望のまま、浅草観音裏の[久いち]

観音裏、というのは皆さんはあまりご存知ではないかもしれない。
字で書いた通り、観音様の裏。

観音様・浅草寺や花やしきの北には言問通りがあって、
その向こう側の一帯をいう。

基本は今でも、浅草の花街、花柳界。
私は縁はないが、見番もあるし、料亭もある。

が、あるにはあるが、まあ、そう賑わっている、
ということではないのであろう。
(ただ、滅びた、または、風前の灯(ともしび)の東京の他の
花柳界と比べると、よく残っているところといってよいのだろう。)

が、料亭ばかりでなく観光客のこない店があって、
観音裏は、私などはよくくるところではある。


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もう少し、範囲を特定すると、西は国際通り、
東は、馬道通りまでであろう。

ちなみに、歌舞伎の関連でいえば、江戸末期、天保の改革で
江戸三座が集められたのが猿若町。

旧猿若町は、馬道通りの東側なのでここは観音裏とは
いわないかもしれない。
ここには今、藤浪小道具という、小道具の会社があるのが
唯一の名残。(碑や案内板の類は随分あるが。)

さて、どんな店があるか。

順不同だが、鮨の[一新]

ミシュラン星付き。
観音裏でも、ちょっと、奥の方。

さらに奥だが、もつ焼きの[喜美松]

ミックスフライといえば、ここ。
[グリルグランド]

そうそう。かの、アニマル浜口おじさんの、道場もあったりし、
運がよければ(?)トレーニングで走っている、おじさんの姿を
見かけられる。

むろん、まだまだあるし、このあたりといえば、初夏の頃のお富士さんの植木市が
名物である。そして、千束通りの北側が、かの、吉原、で、ある。

千束通り(商店街)の一本東の並行した通り。
路地といってよかろう。

鮨の[久いち]は言問通りからこの路地を入って二本目の角にある。

ここの路地にはもう一軒のミシュラン星付き、日本料理の[江森]もある。

[久いち]には18時半に予約し、寒いのでタクシーで向かう。

千束通りの一つ先の信号で降りる。
この路地の入口が、大学芋や。
この芋やは、昔からあったと思う。

路地を入って、左側、[言問食堂さかえ]という新しい店。
私はまだきたことがないが、ネットで話題になっていた。
うどんがうまいらしい。

その隣が[江森]。

[久いち]はさらにその先、左側。

なにか、この路地、ちょっとにぎわってきた。

[久いち]に入ると、こちらもにぎわっている。

カウンターにテーブル席もあるにはあるが、職人は一人なので、
ほぼ、カウンターのみの店。

名前を言って、座る。

まだ若い親方は、銀座の名店[久兵衛]で修行された方。

[久]は[久兵衛]の[久]。
[いち]は親方の名前(?)。

店内は、今時の東京の鮨やによくある和風モダンというのか、
垢抜けた設(しつら)え。

寒くても、ビール。

キリンラガーの瓶。

おまかせ、というのもあるが、ここでは、いつも好みで頼む。

まずは、お通し。
[久兵衛]式なのか、いくつか言ってくれて、その中から選ぶ。

牡蠣の煮びたし、と、いっていた。
煮びたしというほど、見た目には色が付いてないもの。
そして、ほぼ、生。
出汁に漬け込んだものなのか。
ぷりぷりで、うまい。

刺身も切ってもらう。

光物は、と、聞くと、鯵、鯖、春子、鰹、、。

春子、鯖を頼む。

春子というのは、小鯛の酢〆で、字の通り春先が旬。
江戸前のねたとすれば、定番。

あっ、春子は、にぎってもらった方がよかったか。
春子というのは、強めに〆るので、酢飯に合う。

むろん、そのままでも、うまい。

鯖がまた、ばかうま。
二種出てきた。

どちらも酢〆、だが、片方は、大阪寿司のように、昆布と一緒に
漬けてあったもののようで、昆布も一緒に出してくれた。

先日、自分で〆鯖を作ろうと悪戦苦闘をした。
あたり前だが、流石、プロの味。


と、いったところで、つづきはまた明日。





TEL 03-3874-2921
住所 台東区浅草3丁目18−8





   


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