断腸亭料理日記2013

断腸亭の夏休み・

沖縄石垣島その2


引き続き、断腸亭の夏休み。

沖縄、石垣島。

[かりゆし倶楽部]一日目のディナー。
フレンチのコース、で、ある。

昨日は前菜まで。


まあ、なにもこんなところまできて、フレンチのフルコースを
食べなくてもいいじゃないか、という気もしなくはない。

20数年前に、石垣よりもさらに辺鄙な西表にきた時に泊まったのは
民宿で今でも安く泊まろうと思えば民宿は石垣にも多くある。

この20数年の間に、我々など軟弱なリゾートダイバーに
なってしまっている。

世界的にはモルディブをはじめ多くのビーチリゾート、
マリンリゾートと呼ばれるところがあり、そこには四つ星、
五つ星のホテルが覇を競っている。
これに対して、我が国のダイビングのメッカ、沖縄南西諸島には
本格的なリゾートホテルというのはそう多くはない。
ダイビングをメインにマリンスポーツをしたいという、
世界の富裕層観光客を呼び込むためには、もっとあってもよいと思われる。
(むろん自然保護は大前提だが。)

石垣であれば[ANA]と、ここ[かりゆし]がそこそこのレベルと
いってよいのではあろうか。

ともあれ。

ホテル自慢のフレンチディナーにもどろう。

スープ。


「ブロッコリーと高瀬貝の冷製スープ
石垣産アロエとタピオカ添え」。

これはなかなかうまい。

高瀬貝というのは、南方の巻貝で沖縄では食用に
獲られ流通しているよう。ダイビングの際に
見ているとも思われるのだが、私の記憶には残っていない。

どうも出汁がその高瀬貝のもののようで、
ちょっとクラムチャウダーのような風味。
アロエとタピオカの食感も涼味を添えている。
なかなかなものであろう。

次は、魚料理。


「ミーバイ(はた)のグリエ
小海老とモリヘイヤのリゾット添え」。

沖縄では、はた類全般をミーバイというそうな。

これは大きくなるもので、過去にダイビングで
フィリピンかなにかで潜ったときに
大きなものが岩陰の奥にひそんでいるのを
見た記憶もある。磯の魚ではなかろうか。
魚自体の味は、鱸(すずき)に似ている。
多少のどろくささも感じられるように思う。

茶色い煎餅のようなものはチーズを焦がしたもの。
香ばしくてうまい。

そして、下のリゾットと、別のものかもしれぬが
褐色のスープ。これがうまい。

海老から取ったスープであろう。
旨み十分でリゾットとともにばかうま。

肉料理。


「石垣産和牛のロース肉のポワレ
宮良米味噌のソース 島バジル風味」。

見た目、ちょっと肉の切り方が細くて、
淋しい感じもするが、が、まあ、我々の腹には
この量で充分ではある。
石垣牛というのもそこそこ高価なのであろう。

ソースの宮良米味噌というのは石垣の地の味噌のよう。
ちょっと甘めで赤身の牛ロース肉との相性はよく、
うまい。

また、盛り付けもきれいなのだが、上に並んでいる
野菜のロースト、これがなんということもないようだが、
火の通し加減が絶妙である。

こんな付け合せの野菜など、火が通って食べられればよい
ようではあるが、野菜のうまみをより感じられる効果であろう、
歯応えが感じられる気持ち硬めに焼き上げられている。
おそらく、ずばりここを狙って焼いていると思われる。
丁寧な仕事、と、いうべきであろう。

デザート。


「トウモロコシのプティング
ラム酒が香るクレームシャンティ
紅芋のアイスクリーム添え」

以上、なのだが、基本、地のものを材料にして
組み立てられ、むろん、うまいフレンチの
コースに仕立てられている。

さすが、というべきであろう。

連休にパリで食べた、佐藤シェフとは方向は随分と違う。

しかし、日本にはこういう、おそらく星レベルの腕を持ったフレンチや
イタリアンのシェフはたくさんいるのであろう。

普段フレンチやイタリアンを日常的に食べていないので、
改めて、我が国料理人のレベルの高さというのを実感した。

また、沖縄、石垣の素材を使いながら、日本人のシェフが
日本人向けに作っているので日本人にわかりやすいというのか
安心できる料理になっているのも魅力、ではあろう。

さて、続けて、朝飯も書いておこう。

どこにでもある、朝食バッフェで、スクランブルエッグや
ベーコン、ソセージといった定番もあるのだが、
やはり、地の素材を使った沖縄八重山料理もふんだんに並ぶ。


(塩鮭、右まわりに、チキアギー(沖縄のさつまあげ)、
ゴーヤーチャンプル、そーき)


(毎日飲んでいた、石垣島産の牛乳)

お馴染みのゴーヤチャンプルもあれば、そーき、もあるし
味噌汁は島豆腐とアーサー(内地でいうあおさ)、それに
八重山そばの小さなお椀入りまであった。

すぐに海に潜るし、ウエイトも気になるので、
ドカ食いはしなかったが、なかなか魅力的な
朝飯である。


と、いったところで今日はここまで。

また明日。










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