断腸亭料理日記2012

肉そぼろ

10月15日(月)夜

いつものように、オフィスからの帰り道、
なにを食べようか、考える。

なぜだかわからぬが、肉のそぼろが
頭に浮かんだ。

そぼろ。

玉子のそぼろと一緒に弁当などに入る、
鶏が最も一般的であろうか。

子供の頃に母親が作ってくれた弁当。
あるいは、駅弁。
鶏めしなんという名前で、昔から日本中にあるが、
安くてうまい。

子供の味覚なのだろうが、私の好物、と、いってよい。
うまいもの、で、ある。

それから、牛のそぼろ、と、いうのもある。

牛の場合は、鶏よりは私のイメージとしてはずっと高級。
高級なので、弁当というよりは佃煮の範疇に入るのかも
しれない。

佃煮といえば、東京の味。
しょうゆの立った、浅草などの老舗のものが
うまい。

しかし、牛そぼろの場合は別。

皆さんは、食べたことがおありであろうか。
名古屋、桑名、松坂、あたりのもの。

あの辺りでは、時雨煮ということも多いが、
桑名の蛤、あるいは、松坂牛などの佃煮。

甘めで、東京の佃煮とはまた違った味。
しかし、ただ甘いだけではなく、香りが違うのか、
得もいわれぬ深みのようなものがある。

前からこの違いはなんなのか、なにが入っているのか、
疑問であった。
私の予想では、名古屋、三重界隈でよく使われている、
しょうゆ、たまりじょうゆ、あるいは、白しょうゆ
ではないか、と、思っていたのだが、今だに自信はない。

牛込神楽坂駅隣のスーパーに寄る。

挽肉、鶏、牛、両方。

お、ついでに、豚も買おう。

不思議と豚そぼろ、というのは、あまり聞かないが
せっかくなので、豚もやってみようか。

それからしょうゆ。
白しょうゆも、たまりも、以前は常備していたのだが、
今は切れているので、買おう。

最近、白しょうゆから作った白だしが人気なので、
白しょうゆは置いているのだが、たまりは置いていない。

白しょうゆを購入。

以前書いたことがあるが、ご存知のない方に、
たまりしょうゆ、白しょうゆについて、ちょっと説明する。

歴史的には、たまりしょうゆが最も古く、諸説あるようだが
近畿圏で、もろきゅうにつける、金山寺味噌の上澄みから
安土桃山の頃生まれたともいわれている。

このたまりから、江戸時代、薄口が近畿地方で生まれ、
江戸近郊の野田で、濃口が生まれている。

白しょうゆは江戸後期に三河地方で生まれ
原料が大豆ではなく、小麦というところが違う。

濃口などに比べれば、たまりも、白も、今の生産量はごくわずかだが、
どちらもJASで規格が定められている歴としたしょうゆ。

さて。

作る。

が、あれま!。

買ってきたものを出してみると、
牛だと思って買ったものが、合挽、で、あった。

仕方ない、気を取り直し、作ろう。

と、いっても、まあ、料理というほどのこともない。

一先ず、鶏と合挽で作ってみる。

挽肉を鍋に入れ、酒、白しょうゆ、それから、

濃口しょうゆ、砂糖。

量としては、やはり色を付けたいので、濃口の方を多めに。

あとは水分がなくなるまで、煮詰める。

挽肉からは水分が出てくるので、煮詰めるのは
意外に時間がかかる。

また、煮詰めることを考えて、最初は多少控えめの
味にしておいた方がよい。

左が鶏で、右が合挽。


ビールを開けて、つまむ。

なるほど。

白しょうゆを入れると、あの時雨煮の
香りのようなものは多少ついている。

ただ、濃い味のそぼろはそうそうたくさんは
食べられるものではない。

やはり、ご飯。

それも生玉子をのせて。
これは翌々日、残った合挽の方。


白身(しろみ)はなしで、見た目には黄身だけがきれいだが、
もったいないので、白身も。

うまいもんである。


(結局、豚挽肉はそぼろにはせずに、玉ねぎみじん切りと炒め、
カレー粉を入れて、キーマカレーもどき、になった。)




 



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