断腸亭料理日記2012
11月1日(木)夜
さて。
霜月、11月になった。
大坂出張。
珍しく、泊まり。
夜、一人なので、ちょいと探索。
やはり、大阪といえば、立ち呑み。
今、東京では、なん度目かの立ち呑みブーム、ではあるが、
大阪は、以前からのものが残っている。
それも、いわゆる下町(?)といわれるところ以外、
例えば、中心地の梅田なんというところの地下街にも
名物の串揚げをはじめ、たくさんの立ち呑みがある。
東京からすると、ちょっと不思議。
書いてしまった気が付いたが、そういえば大阪では、
下町というと、どこのことを指すのであろうか。
だいたいにおいて、下町という言い方をするのか?。
おそらく、大阪の皆さんはあまりしないのではなかろうか。
元来、東京(江戸)は台地と平地にまたがって造られた都市で、
文字通り、山の上の武士の住むお屋敷町にたいして、工商町人の住む
山の下の町なので、下町と呼ばれるようになった。
大阪というところは、基本、台地ではなく平地に作られた都市であり、
こういう高低差による地域分けというものは、ない、のであろう。
大阪で「下町」というと、なんば?、であるとか、通天閣のある天王寺、
あるいは、十三、であるとか、鶴橋、、。
よくわからぬが、余所者のイメージでは、こんな街々なのであろうか。
ともあれ。
梅田に限らず、大阪には、特に中心部地下街に立ち呑み、あるいは、
それに近い安居酒屋というものが、ごまん、と、ある。
ちょっと調べて、人気のありそうなところへ
行ってみることにした、のである。
大阪駅前第1ビル B2F、銀座屋。
大阪駅前ビル、というのは、今回初めて足を踏み入れて、
驚いた。
どれも大きなビル、なのだが、第1から第4まで、梅田駅の地下街から
続いてあり、それが地下は皆、小さな呑みやがひしめいている。
東京でいえば、新橋駅前ビルあたりの雰囲気に近いかもしれない。
それが四つも。
強力、で、ある。
夜、7時すぎ、つらつらと駅前ビルの3から、
1へ向かって地下を歩く。
どこも客が鈴なりかといえば、そんなことはまるっきりない。
いや、どちらかといえば、閑散としているところの方が
多いかもしれない。
「1」に着き、目指す銀座屋を探す。
おお、あった。
まわりの閑古鳥の鳴いている店とは大違い。
狭い店だが、客が通路まであふれている。
カウンターの中のお兄さんに、一人、と、いうと、
奥の方の壁際に、スペースを作ってくれる。
ほぼ、満員電車状態の中を、すいません、すいません、
と、いいながら、作ってもらったスペースへ。
瓶ビール。
ここは、すべて大瓶で、330円。
キリンラガーを頼む。
肴(関西風にいえば“アテ”なのか)は、まずは、様子見で、
目に付いた、鯵ぽん酢。
注文は、その満員電車状態を掻き分けて、料理や酒を運んでいる、
高校生くらいの若い兄ちゃんに。
鯵のたたきのようなところに、ぽん酢しょうゆをかけてある。
ふむふむ、なかなかうまい。
私の右隣が若い女性二人組みで、
左隣は、若い男性二人組み。
あまり、上の方はおらず、客層は
私の同世代から下、かもしれない。
カウンターの中で調理をしているお兄ちゃんも若いし、
お客も若め。若い人に人気なのか。
メニューをみると、串揚げなどもあり、オーソドックスな
立ち呑みやといった趣。
まわりを見回して、ポテトサラダと、メンチカツ。
やっぱり、ポテトサラダは、なにかこういう呑みやでは
必須のような気がする。
メンチカツ。
皿は、立ち呑みらしく、皆、小さなもの。
腹も減っているので、呑みながらバクバク食べる。
そうだ。
せっかく、大阪である。どて焼きも頼もう。
青ねぎが山盛り。
牛すじとこんにゃくの細切りを
甘辛の赤味噌(?)で煮込んだもの。
煮込みだが、なぜこれを“焼き”というのかはわからない。
串揚げと並んで、大阪名物の酒の肴、で、あろう。
さらに、やはり、まわりを見回して、皮串。
どうも、ここは、流石に、というべきか、
こういう酒呑みの琴線に触れる肴を揃えている。
鶏皮を串に刺して、揚げたもの。
うまい。
どうも、こうなると、もう一杯、サワーかなにか
呑みたくなるのだが、若いお兄ちゃんも忙しく立ち働き、
なかなかつかまらない。
いいか、
帰ろう。
お勘定。
どれも200円程度なので、2000円ちょい。
まだまだ、こうしたよい店は、梅田だけでもあるのだろう。
B級であれば、東京は大阪には、間違いなく勝てない。
大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第1ビル B2F
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