断腸亭料理日記2012
11月15日(木)
また出張。
甲賀。
滋賀県の甲賀市。
そう、あの、忍者の。
甲賀でのアポは13時。
9時東京駅発ののぞみで京都、11時18分着。
京都から東海道線で草津。
草津から草津線で甲賀着、12時半。
池波ファンであれば、甲賀、というのは、
一度はきてみたいと思う場所である。
なにかといえば『真田太平記』。
池波作品の中では、長編であるが、
鬼平や剣客、梅安と比べると、少しマイナーかもしれない。
むろん、私は複数回読んでいるし、また最近、電子書籍を
スマホで読み直している。
舞台は戦国でご存知の真田昌幸、信之、幸村三人を
中心に信州上田の小大名真田氏の盛衰を描く。
真田といえば、猿飛佐助などの忍者の登場する
『真田十勇士』が我々の世代でも
NHKの人形劇でやっていたので馴染があるだろう。
『真田太平記』には忍者の佐助なども実際に登場し、
史実と作家の創作がない交ぜになった十二巻の大作。
池波作品には忍者ものは他にもいくつかあるが、
『真田太平記』のひょっとすると半分程度は、彼ら忍者が
登場する部分かもしれない。
真田家の旧主人である武田信玄の忍(しのび)、武田忍。
真田氏の発祥の地、真田の庄の忍者である、草の者。
そして、忍者の本場(?)である甲賀の忍び、
などなど、忍者大活躍。
むろん、仕事できており、その上、今日は上司、
同僚と同行しており、さぼって観光をするわけにはいかないが、
作品で丹念に描かれているこの地へこれられるのは、
出張の予定が決まった時から、こっそり
たのしみにしていた、のである。
草津からローカル線の草津線に乗り換える。
深緑に塗られた湘南電車の古い車両、四両編成。
柘植(つげ)行き。
雨も降り始めており、寒いからかドアは手動。
走り始めると、草津線は東海道線から別れ、
右手の低い山の間に入っていく。
これは琵琶湖に注ぐ、野洲川沿いの谷筋で、
今は、なかば忘れられているが、この谷筋が
旧東海道で国道一号線は今でもここを通る。
草津線の線路は単線のよう。
電車は各駅停車。
駅四つほど、貴生川駅の少し手前で野洲川は北側の
野洲川本流と南側の杣川(そま)の二つに分かれる。
旧東海道は北側の野洲川、草津線は南側の杣川に沿っていく。
貴生川駅の北東、野洲川を渡ったところが旧東海道の
水口宿。
杣川の谷筋沿いに駅二つ、甲南、寺庄で、甲賀に着く。
駅は、新しそうだが、降りる人はぱらぱら。
三人で、駅の前の中華料理やで昼飯。
ここで、急遽、夕方、宇治の取引先にまわることになる。
昼飯を終え、外へ出ると、雨が激しく降ってきた。
寒そうなので、薄いコートは着てきたのだが、
傘はなし。
慌てて、コンビニでビニール傘を購入。
取引先で商談を済ませ、1時間後、出てくる。
雨はもう既にやんでいる。
甲賀駅まで戻ってくる。
ご存知であったろうか。
甲賀は、コウガ、ではなく、コウカ。
濁らない。
コウガ忍者ではなくコウカ忍者が正しい、
と、いうことになる。
駅前で改めてあたりを見渡すと、両側は、やはり低い山。
草津線は北西から南東にほぼ直線に走り、
これに沿って、通りがある。
これは調べてみると、杣街道と呼ばれていたようである。
由来は古代までさかのぼり、古い東海道、古東海道と
いわれているとのこと。
より大きな地図で 断腸亭料理日記・甲賀・伊賀・宇治 を表示
地図を見ると、杣川はこのあたり、蛇行して流れており、
鉄道と街道、杣川のまわりがわずかな平地で、
すぐに山、に、なる。
『真田太平記』の舞台の一つ、甲賀の里、
というのが、このあたりかと思うと、
やはり、なにやら感慨がある。
杣川沿いに街道があり、田や畑があり、
集落があった、のか。
してみると、さほど高くないこのあたりの山々が、
彼ら、甲賀忍者達の修行の場、で、あったのか。
甲賀駅の町名は甲賀市甲賀町大原市場、というらしい。
大原というのは、作品にも出てくる甲賀忍者を構成する
甲賀の主だった地侍の甲賀二十一家に、大原家というのがあり、
おそらく関係がある、のであろう。
と、いったところで、今日はここまで。
明日につづく。
断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4
|2004
リスト5 |
2004
リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8
| 2004
リスト9 |2004
リスト10 |
2004
リスト11 | 2004
リスト12 |2005
リスト13 |2005
リスト14 | 2005
リスト15
2005
リスト16 | 2005
リスト17 |2005
リスト18 | 2005
リスト19 | 2005
リスト20 |
2005
リスト21 | 2006 1月 |
2006 2月|
2006 3月 |
2006 4月|
2006 5月|
2006
6月
2006
7月 | 2006
8月 | 2006 9月 |
2006
10月 | 2006 11月 |
2006
12月
2007
1月 | 2007
2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月
2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月
2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月
2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月
2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 |
2009 12月 | 2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 |
2010 7月 | 2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2010 12月 |2011 1月 |
2011 2月 | 2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月
2011 9月 | 2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012
1月 | 2012 2月 | 2012 3月 |
2012 4月 | 2012
5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 |
2012 9月 | 2012
10月 |
2012 11月 |
(C)DANCHOUTEI 2012