断腸亭料理日記2012
5月24日(木)夜
さて。
昨日(5/23)のレバニラに続いているようだが、
今日は、焼きそば。
無性に焼きそばが食いたくなった。
夕方からずっと考えていたのだが、
どこがよかろう。
焼きそばといっても、中華の麺に焦げ目をつけた
あんかけでもない、もの。むろん、ソース焼きそばでもない。
うまいところも、いろいろとあるのだろうが、
頭に浮かんだのは、有楽町の慶楽。
ここに初めていったのは、20代の頃
で、あろうか。
会社の先輩に連れてきてもらった。
牛バラ肉の煮込みをかけたご飯がうまい。
しばらくは、これを食べにいき、また、
牛バラ肉の煮込みは自分でも作るようになった。
そして、後になって知ったのだが、
ここは池波レシピ、でもあった。
それで、最近は『講座』できてもいる。
池波先生は、ここでは、春巻きと、焼きそば。
(もっとも、先生はどこへいっても
焼きそばではあったようだが。)
池波先生行きつけの中華は、銀座アスター、
神保町揚子江菜館など、他にもいくつもあるが、
慶楽の、特に焼きそばは、際だってうまい。
市谷から有楽町は、地下鉄有楽町線で。
有楽町で降りて、地上に上がる。
JRのレンガの高架、西側を歩く。
このあたりの高架下の店も新しい店に
かわっているようである。
少し前までは、それこそ闇市に起源がありそうな、
小さな呑みやが軒を連ねていたが、今はあまり見かけない。
晴海通りを渡って、さらに高架脇を進んで路地2〜3本すぎ、
右側。
間口の狭い細長いビル。
このあたり、感覚的には日比谷、であるが、町名は
有楽町1丁目。
この右側奥は日比谷シャンテや日比谷の映画街。
だが、そこも含めて、有楽町1丁目。
そう。
今、日比谷公園全体は、日比谷公園という町名なのだが
日比谷という名前が入っている町名は、これだけで
このあたり、ズバリ日比谷という町名はない、のである。
これは調べてみると、明治以降、公園の西側が西日比谷
といっていたことがあるだけで、東側はずっと有楽町
であった。
江戸の頃はこのあたり、外濠の内側で大名屋敷の区域。
町ではないので正式な町名はない。
が、日比谷は、日比谷濠(内濠)、日比谷御門などあり、
江戸期を通し、このあたりは日比谷と呼ばれてはいた。
そして、実際には日比谷はもっと古く、江戸以前からある
地名である。
江戸開府以前、江戸のこのあたりに
日比谷村という土着の集落があり、これが元。
日比谷村は江戸城ができ、芝口、今の新橋に
移転させられた。
今、新橋の第一京浜のJRガード先に、日比谷神社
というお稲荷さんがあるが、これがその名残、で、ある。
ともあれ。
慶楽の自動ドアを開けて入る。
帳場のおかあさんに一人というと、1階奥へ。
四人掛けに一人で座って、ビールをもらう。
一階の客は一人で飯を食いにきているのもいれば、
2〜3人で呑んでいるサラリーマンもいる。
ビールがくる。
まずは一杯。
今日などは随分と暑かったので、うまい。
一応、メニューで確認し、豚ともやしの焼きそばを
頼む。
ビールを呑みながら待つ。
が、さほどのこともなく、すぐにくる。
酢をたっぷりとかけまわし、辛子(からし)も皿のふちに取り、
混ぜながら、食べる。
別段、盛りつけに凝ってもいない。
もやしとピーマンの千切り。
麺には焦げ目の入っている、まあ、普通の中華の焼きそば、
なのであるが、これが実に、うまい。
夢中でばくばくと、食う。
レバニラでも書いたが、これも中華のようで
中華でない、東京名物の、日本式中華。
時として、無性に食べたくなる。
うまかった。
勘定をして、出る。
銀座の町もそこそこ人は出ている。
銀座線で帰宅。
千代田区有楽町1丁目2?8
03-3580-0290
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