断腸亭料理日記2012
引き続き、断腸亭の年越し。
風呂に入り、紅白も終盤。
11時頃から蕎麦を茹ではじめる。
水にさらしておいた薬味のねぎをざるにあげておく。
大きな鍋を火にかけ、湯を沸かす。
蕎麦のざるを並べ、つゆを蕎麦猪口に入れる。
湯が沸いたら、蕎麦をほぐしながら一気に入れる。
毎年そうなのだが、大体において、
この時間は酔っ払っている。
従って、よく間違いをおかす。
最もよくやってしまうのは、蕎麦湯を取るのを忘れること。
あとは茹で加減。
これも勘が鈍くなっているので、気を付けなければ
いけない。
生蕎麦の茹で時間は、ほぼ1分。
沸騰したところに入れて、くっつかないように、
箸でまわして、もう一度、噴きあがるまでは
かからない。
このくらいのタイミングで1本だけ取り出し、
茹で具合をみて、すぐに、鍋を流しにあける。
流し、ではあるが、ここに蕎麦湯を受ける
器を用意しておく。
OK。
ざると鍋を交互に、水を換えながら、よく洗う。
水道の水は随分と冷たい。
OK。
(と、ここで、鍋の取っ手のまだ熱い部分に
触ってしまい、軽く火傷をする。)
盛り付け用のざるに、麺線を揃えながら
のせる。
OK。
お膳に運ぶ。
まつやの一人前は店で食べても、多めだが、
二人で三人前は、そこそこの量がある。
香りがよい。
最近、できるだけ香りに気を付けて
蕎麦を食べるようにしているのだが、今日は、
それなりに感じられたような気がする。
うまかった。
食べ終わり、着物に着替える。
寒いので、股引、シャツ、半襦袢、襦袢。
着物はいつもの錆茶のお召。
羽織も同じく深緑。
足袋を履いて、らくだのマフラー。
鳶(トンビ)のコートを着込む。
紅組の逆転勝利で紅白が終わり、
ゆく年くる年が始まる。
このタイミングで、内儀(かみ)さんとともに、
出る。
足元は、雪駄。
外に出ると、ゴォ〜ンと、除夜の鐘の音が聞こえる。
寺町のこの元浅草界隈には鐘を撞く寺はいくつかある。
若い四〜五人組みの男女が同じタイミングで
通りに現れた。
やはり初詣か。
左衛門橋通りを南下。
目指すは、氏神様の鳥越神社。
鳥越までは十五分程度はかかろうか。
懐手をして、足早に歩く。
神社の路地。
初詣の列の最後尾につく。
十二時七分。
鳥越神社の氏子範囲は、広い。
南は浅草橋、柳橋あたりから北へ向かって鳥越、三筋、
小島、春日通りを渡って、元浅草、寿の一部、
さらに浅草通りを越えた松が谷の一部まで。
六月のお祭りは、この範囲の町内で行われる。
各町には祭用の町内組織といったらよいのか、
(正確には、鳥越神社の氏子組織というべきだろう。)
睦(むつみ)というものがある。
その睦の役員さん達が各町から、正月の初詣にも
それぞれの町名の入った神社の半纏を着て、こうして
神社の提灯を持って出ている。
毎年のことだが、寒い中、たいへんである。
境内は篝火が焚かれている。
11年は震災影響でお祭りは中止になったが、
そのお神輿、鳥越の千貫神輿も例年通り、
蔵が開けられている。
お参り、新年の祈念をし、お神酒と甘酒をいただいて、
神社のカレンダーを買う。
鳥越神社のカレンダーは
お祭りのある六月から始まっている。
寒い、寒い。
列についてから、ちょうど一時間経っていた。
またまた、足早に、北上して、帰宅。
一杯呑み直して、就寝。
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