断腸亭料理日記2012
2012年 平成24年壬辰(みずのえたつ)
あけましておめでとうございます。
年もあらたまりました。
本年こそ、皆々様にとりまして良き年となりますよう
お祈り申し上げます。
また、相変わりませず断腸亭料理日記を御贔屓賜れば
幸いでございます。
年の初めに蜀山人の狂歌を二つ
雑煮屠蘇牛蒡数の子座禅豆いずくもをなじ春の御祝儀
万歳のぱつと開きし扇よりたから風ふくわらの賑い
(『狂歌新玉集 抄』四方赤良)
蜀山人といっても天明5年(1785年)36歳、
まだ蜀山人とは名乗っていなかった頃。
まだ、定信の寛政の改革前で狂歌人としての絶頂期は
続いていた。
一首目、座禅豆は黒豆のこと。いずこどころか、
今でもまったく変わっていないのは、驚くべき
日本人の正月というべきであろう。
二首目、万歳は門々をまわり年始の芸を披露した
三河万歳のようなものであろう。高らか、と、宝、
吹くわら、と、福笑い、が掛かっているのか。
12月31日(土)〜1月1日(日)
私の年越しも、毎年のこと、格別に新しいこともないが、
節目というのは、同じことをするのが、よいのであろう。
31日、大晦日。
今年のお節は、市谷オフィスそばの鮨や、鮨太鼓に
お願いをした。
午前中、11時前、鮨太鼓の板さんが、そのお節を
配達してくれる。
三段重。
一ノ重
定番の品揃えだが、右下はいか。
左、ごまめの上は、なると干し柿といって、
干し柿を巻いたもの。柚子が巻き込んであり、
ちょいと乙なもの。
二ノ重
焼魚は鰆と鰤。焼うに。煮しめは、くわい、蓮、人参、
蕗。数の子、ほたて、からすみ、鴨の燻製など。
三ノ重
ちらし鮨。
真ん中には蒸し鮑、海老に、焼穴子。
お重は、ベランダの寒いところに出しておく。
昼前。
大晦日の買い出しに出る。
正月の菓子と、年越し蕎麦。
寒いが、自転車ででる。
菓子は毎年だが、上野広小路のうさぎや。
例年よりも、行列が長い。
名物のどら焼き6個と、落雁を一箱。
ここのどら焼きは、天下一品であろう。
甘すぎないあんこで、実にやさしい味である。
上野広小路から神田須田町を目指す。
蕎麦やは、かの、まつや。
これも毎年のことだが、内儀(かみ)さんが
予約をしておいた。
持ち帰り用の生蕎麦とつゆを売っている。
池波先生は、大晦日、この、まつやで、一人で
そばを手繰るのを例としていた。
昌平橋を渡り、須田町、もとの連雀町の
三角地帯の路地に入る。先に神田の藪蕎麦がある。
長い列。
その少し先が、まつやの仮設の蕎麦売場。
名前をいって、3人前と、これも毎年のことだが、
瓶詰のうに(山口県の岡本のうに)を買う。
うには、そばよりも値段が高いが、うまい。
店の方にまわってみると、こちらはもっと
長い列。
中央通りに戻り、万世橋を渡り、アキバ。
さすがに大晦日、ここはもう、さほどの人出ではない。
特段他に買う物もないので、路地を抜けて、
そのまま帰宅。
夜。
紅白を視ながら、鮨太鼓のお節をつまむ。
蕎麦。
生蕎麦と缶入りのつゆと、薬味用の長ねぎが入っている。
これはあらかじめ、刻んで水にさらしておく。
と、いったところで、今日はここまで
また明日。
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