断腸亭料理日記2012
8月10日(金)
大聖堂の中を、一渡り観おわり、
脇にある、小さな宝物館ものぞいてみる。
ここには、主として、歴代の法皇様の身に着けていた物や
使われていた道具類などが展示されていた。
ただ、大聖堂もそうなのだが、説明書きはすべてイタリア語と
英語のみで、その上、文字がイタリック体で書かれている。
老眼と乱視の目にはまったく読みずらく、
途中から面倒くさくなって読まなくなっていた。
詳細はそんなわけでよくわからないのだが、
聖ペトロのお棺(?)のようなものも展示されていた。
そもそも、このサン・ピエトロ=聖ペトロ大聖堂というのは、
聖ペトロが葬られたお墓の上に建てられた、ということに
カトリック教会ではなっている。
聖ペトロのいうのは、使徒ペトロという言い方もされ
キリストの最初の弟子。
キリストの死後、ペトロはローマにきて布教をするが
当時はまだまだ、信仰は禁止されており、逆さの十字架に
掛けられて処刑された、という。
キリスト教が生まれてすぐの、草創期の話、ということになる。
それで、葬られたのがここ、ということ。
そして、聖ペトロは初代の教皇(法王)で
ここの教会が最初の教会である、と。
(確か、子供の頃、そう教えられた記憶がある。)
まあ、いずれにしてもカトリック教会にとってはここは、
原点の場所、と、いうことになっているのである。
他に展示品は、法皇様がミサで使われていた
葡萄酒(ミサの中では御血=キリストの血)を入れる聖杯や
パン(同じく、御聖体=キリストの身体)を置く皿をはじめ、
なんというのかわからぬが、実際に使われていたミサで着る
衣装などなど。
内儀さんなどが見てもなんのことやら、わからぬが、
私には、あ〜、これは、と、ある程度
なんであるかは、わかった、のであった。
観終わって、大聖堂から退出。
やはり、聖堂を出ると、ほっとする。
さて、昼飯、で、ある。
この近所でレストランを探そう。
さすがに、バチカンの城壁の内側には
なさそうなので、一度、外に出てみる。
裏通りを歩いていると、レストランがいくつか見つかり
近付いていくと、店の小父さんが、声をかけてくる。
○×△〜、スパゲティーカルボナ〜ラ、
スパゲティーポモド〜ロ、、○×△〜
イタリア語というのは、むろん、私は
話せないのだが、おもしろいもので、
わかっている単語は、聞き取れる。
基本、ローマ字、というくらいだからであろうか、
イタリア語には日本人に聞き取りにくい音は
少ないのではなかろうか。
文字もイタリア語は、ほとんどローマ字読みで
よいようで読みやすい。
また、話す方も、むろん、知っている単語だけを並べるだけだが、
ほとんど伝わらないことはない。
で、この声に誘われて、入ってしまった。
入ってみると、巡礼者や観光客でにぎわっているが、、、
これがまた、そうとうに暑い。
エアコンが機能していないのか。
一先ず座り、持っている扇子で、パタパタ。
扇子は普段使っている少し大きめの黒い渋(しぶ)のもの。
(ちなみに、ローマでは安い扇子を街角の露店で売っており、
観光客の女性などはよく持って歩いていた。
以前にフランス人に聞いたことがあるが、こちらでは、扇子は
男の持つものではない、という。)
ビールをもらおう。
すぐに出てくる。
銘柄はペローニ、というのか。
注文は?
わたしは、先ほどの小父さんがいっていた、
スパゲティー・カルボナーラ。
カルボナーラは一応のところ、ローマの名物のよう。
(ローマでは、生クリームを使わずに、チーズは羊の
ペッコリーノ・ロマーノが一般的か。)
内儀(かみ)さんはやはり小父さんのいっていた、
スパゲティー・ポモドーロ。
ポモドーロ(Pomodoro)はイタリア語でトマトのこと。
トマトソースだけのスパゲティー。
あいたので、エアコン代わりの送風機のそばの
すこし涼しい席に移動させてくれる。
ここのご主人、商売上手。
どんどんとお客を呼び込んでくる。
きた。
ちょっと、拡大。
見ておわかりになろうか。
生クリームが入らないせいもあろうが、
卵は固まってポロポロ。
これがローマの一般的なものかどうかは
わからぬが、熱が完全に入っている。
私の好みとしては、生クリームを使わないまでも
もう少し、トロッと半熟程度の方がよい。
火が入っているのでよくわからぬが、
やはりベーコンではなくパンチェッタのよう。
ポモドーロ。
これはまあ、まったくノーマル。
にんにくなども控えめ、あるいは入っていないかも。
やさしい味。
気が付かれたかどうかわからぬが、どちらも
日本で普通に出てくるスパゲティーよりも麺は
気持ち太めかもしれない。
味はどちらも、むろん、普通に食べられるレベル。
ここの値段ははっきり憶えていないが、
ローマもシシリアもこのような町のレストランで
スパゲティーであれば、10ユーロは越えないくらい。
(今のレートは10ユーロ、100円で計算できるので、
わかりやすい。)
ある程度、観光客がくる店、という限定付きかもしれぬが、
まあ、高くもなく安くもない、という感じであろうか。
店の中は、かえって暑いので、勘定をして
とっとと、出る。
(勘定は、すべての店で英語で“チェックプリーズ”で通じた。)
さて。
午後は、バチカンのもう一つ見なくてはならない、
博物館。
その前に、屋台で水を買って、城壁の日陰で
一服と、一休み。
ヨーロッパは喫煙に寛容であると聞いていたが
ローマもその通り。
東京の街角にはセキュリティーのことで
ゴミ箱すら今はなくなり、むろん、路上禁煙。
イタリアは街角にゴミ箱があり、たいていは、
ここに灰皿もついている。(灰の落ちる先が
ゴミ箱なので、ちょっと防火上危険な気もするが。)
歩きタバコをしている人も、そう多くはないが、見かける。
基本、私は吸わないようにしていたが、
レストランでも分煙でもなく、喫煙可のところの方が
多かったかもしれない。
きりがよいので、今日はこのへんで。
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