断腸亭料理日記2012
8月13日(月)
シシリアのリゾートで、ジャン・レノの映画グランブルーの舞台
でもあった、タオルミーナでの2日目が開けた。
ベランダから見る今朝のエトナ火山は、
多少の噴煙が上がっているよう。
今でも十二分に活動中。
タオルミーナへきたのは、ダイビングをするため。
グランブルーという映画は、素潜りでどれだけ深く潜れるか、
というフリーダイビングを扱っているが、むろん、
私達は、それはしない。
スクーバダイビング、で、ある。
事前に日本から、タオルミーナでのダイビングサービスを
探して、予約を入れておいた。
海外でのダイビングの場合、日本人のインストラクターなり
ガイドがいるのか、これがポイント。
スクーバダイビングは基本、機材を頼りに
海という自然を相手にする危険なスポーツ。
様々な基本的なルールはあるし、また、ところによって、
あるいは、そのダイビングサービス毎にローカルルールがあり、
それを守らなくてはならない。
むろん、英語でも通じるのだが、命に関わること、肝心なところを
きちんと理解するには日本人あるいは、日本語の喋れる人がいると
心強い。
それで、日本人のいるサービスを探すのである。
タオルミーナにもあった。
朝、8時、ホテルまでピックアップにきてくれる。
機材を持って、出かける。
この『ダイブシシリー』というサービスは
地元出身のご主人と、日本人の奥さん。
スタッフ、4〜5人でやっている。
より大きな地図で 断腸亭料理日記・シシリア・タオルミーナ を表示
ショップはタオルミーナの山から降りて、
海沿い、住所は隣町のGiardini・naxosになる。
これは、ホテルのベランダからも見えたのだが、
海には、今日は大きな客船も見える。
ショップに着いて、機材の準備。
他のお客も随分と多い。全員準備が終わると、
大きなゴムのボートで出発。
海からは山の上のタオルミーナの街も見える。
映画の撮影にも使われた、ホテルカポタオルミーナ。
カポ=capo はイタリア語で先端のこと。
岬の突端。
この岬の先端。
かの有名な、青の洞窟 Grotta Azzuro。
(青の洞窟はナポリ沖のカプリ島にもあるよう。)
海水の透明度が高く、青く見える。
もう一つ北のイソラベッラ(Isola bella)というポイントで一本目。
イオニア海、地中海で潜ったのは初めて。
ちょっと、びっくりであった。
なにかというと、まずは水が冷たい。
水温にして、21〜22℃。
夏の伊豆など、本州近海よりも1〜2℃は低いし、
24℃程度はある、モルジブや沖縄などに比べると、
潜っている感覚としては、そうとうに低い。
外の気温の高さ、日差しの強さと比べて、
この冷たさには驚いた。
通常、1本のダイビングは1時間程度は潜るのであるが、
南の島仕様の半袖のウエットスーツではもたない。
1時間近くなると、身体が冷え切ってしまった。
そして、水は澄んで透明度は高いのだが、
魚や海草、ソフトコーラルなどの少なさ。
例えば、同じような温帯の日本の伊豆など比べても、
随分と景色は寂しい。
水が澄んでいる、と、いうことは、
栄養が乏しい、と、いうことなのかもしれない。
従って、むろん、魚は皆無、ではないが、
ダイビングの興味とすれば、地形、
タオルミーナの海そのものをたのしむというもの。
1本目を終わって、イソラ・ベッラの北隣のビーチへあがり、
日本の海の家のようなレストランで皆でランチ。
頼んだのは、スパゲティー・ボンゴレ。
ダイビング中のランチは、やはりたくさん食べない方がよいし、
むろん、アルコールも呑んではいけない。
ボンゴレは、この後も、滞在中よく食べたが、
どこのレストランでも必ずあるし、安心して食べられた。
ここのものは、ちょっと塩分高め。
ダイビングというのは、乾燥した空気を
ずっと吸っているので、とても喉が渇く。
水が、うまい。
もう1本もこのあたりで潜り、3時頃終了。
朝同様、車でホテルまで送ってもらう。
シャワーを浴びて、ビールを呑んで、昼寝。
2本潜ると、けっこう疲れる、のである。
さて、夜。
今日は、外のレストランへ行ってみることにする。
リゾート、とはいえ、そう大きな街ではないので、
レストランの数も限られてはいる。
ネットで調べて(こんな海外にきても、ネットは
便利。タオルミーナ在住の日本人ガイドの方のページが
あった。)
やはり、この街には、日本人も多くくるのであろう。
日本語のメニューがある店もある。
その中で、今日選んだのは、Gri Gria という店。
やっぱりビールで、
お通しは、ブルスケッタ。
ムール貝とあさりの茹でたの。
バケツ一杯。
これはもう、そのまんま。
まずいわけがない。
バクバク、喰う。
カルパッチョ。
マグロ。
tonnoがマグロで、tonno rossoで黒マグロ。
これは日本風にいえば、子供のメジマグロではなかろうか。
身はピンク色。
レモンとライムがたっぷり絞ってあり、マリネ状になっている。
むろん、うまい。
(が、やっぱり、日本人として思うのは、マグロだったら
東京の鮨職人に、ベストの状態に拵えてもらって、
わさびじょうゆで食べるのが、最もうまいだろう、
ということである。)
スパゲティー。
これも、tonno、なんとか、と書いてあったと思われる。
シシリアにはマグロの卵巣の塩漬け、いわゆるからすみ、
あるいは、ハムといってよいのか、塩漬け。
さらには、塩辛に近いものもある。
これは、それらのどれを使っているのかわからぬが、
ソースというのか、スープ状にしたものをスパゲティーと
和えているよう。それで魚の醗酵したにおいもする。
実は、今回シシリアへきた本当の目的は、これを
食べたかったから。
随分前に、TVでシシリアには日本の塩辛に近いものがあると聞き、
ずっと、気になっていたのであった。
そこからヒントを得て、元祖も知らずに自分で酒盗(鰹の塩辛)で
よくスパゲティーを作ってもいる。
ほぼ、これに近い味。
パスタによく合う、のである。
やっぱり、こうであった、と、一人で頷いていた。
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