断腸亭料理日記2012
引き続き、日曜日。
穴子のにぎり鮨を作る。
作り始めたのは、夕方。
昼すぎ、米を洗い、浸水。
炊くのはいつものホーロー鍋。
15分ほどで炊き上がり、蒸らしは7分。
蒸らしている間に、鮨酢の用意。
酢飯にするのは、二合炊いたうちの一合。
一合で、酢、40cc。
酢には、砂糖は入れない。
しょうゆ、数滴と、塩一つまみ。
蒸らしが終わった米を、ボールに一合分取り、
鮨酢を添加。
全体にいき渡させ、杓文字で切るようにしながら
よく合わせる。
団扇で煽(あお)いだりはしない。
以前は、酢飯作りには、そうとう苦労をしていたが
最近は、難なくできるようになった。
苦労をしたのは、ベチャベチャな酢飯になっていたこと。
私の場合は、どうも、ちゃんと蒸らさずに、酢を合わせていたことが
多かったこと。それから、団扇で煽いでいたこと。
結局、酢飯を作るメカニズム、と、いうほどのことはないが、
ご飯の温度で添加した酢の水分を飛ばさなければならない、ということ。
蒸らしを適切にし、不必要なベチャベチャは、最初から
抑えておく。水分を飛ばすために温度をキープする必要があり、
ご飯を無理に冷やす必要はない、ということ。
また、混ぜたあと、見た目に水分がなくなってきても、
落ち着くまでしばらく置いておく。これも大事、で、ある。
ただし、完全に冷ましてはいけない。
にぎり鮨は人肌で握る。
と、いうわけで、合わせ終わったら、ラップをしておく。
その間に、煮穴子の用意。
冷蔵庫に入れてあったので、出して、
アルミホイルにのせてオーブントースターで
炙る。
これはほんの少し焦げ目が付くくらい。
にぎり鮨、というのは、むろんプロの仕事。
名人は、口に入れると、酢飯がホワッとほどけるようにする
なんといわれる。
素人の私が、そんな芸当はできるわけはない。
が、かといって、なん回か握ってみているうちに、
そう難しく考えなくともよいだろう、と、
思うようになってきた。
まあ、世の中には、機械でにぎっている鮨も
少なくないし、形になって、口に入れば
とりあえず、よし、である。
炙った穴子をにぎり一つ分の大きさに切り、用意。
手に水をし、左手に種をのせる。
酢飯を右手で適量取り、左手の種の上にのせ、握る。
ひっくり返したり、プロはいろんなやり方が
あるようだが、私の場合は、形にすることだけを
考える。
まあ、不恰好だが、形にはなる。
10個ほど、握り、甘いたれもかける。
(そのうちの4個)
どうして、煮穴子のにぎり、というのは
こうも、うまいのであろうか。
この穴子を煮て煮詰めたたれは、穴子以外にも
煮蛤、蝦蛄、下足、たこ、などにも使うが、
酢飯との相性が抜群、で、ある。
また、昨日書いたが、穴子のにぎりは
仕事をした江戸前のにぎり鮨の中では、
1、2を争うもの、と、考える。
志ん生師匠などは、この穴子と中トロが大好物で
一緒に酢飯の上にのせた丼をよく、いきつけの鮨やで
作らせていたという。
(気持ちはわかる。どちらも、そうとううまい。
だが、同時にのせては、だめ、で、ある。
実際に、やってみたのだが、甘い穴子と、
わさびじょうゆの中トロは、味が混ざっては
台無し、で、あった。どちらもうまいが、やはり、
別々に食べた方がよい。)
さて。
最後は、穴子の天ぷら。
おろし用の大根を買ってきて、外出している
内儀(かみ)さんの帰りを待つ。
帰ってきた内儀さんに大根おろしを命じ、
天ぷらの準備。
ボールに玉子冷水の準備。
揚げ鍋にストックしてある天ぷら油を入れ、
余熱開始。
穴子はよく洗い、揚げやすいように、
1本を半分にする。
切った穴子に小麦粉をふる。
これは普通の薄力粉。
衣を一気に作る。
玉子冷水に、天ぷら粉(市販のもの)7に薄力粉3
程度の割合で、溶きいれる。
この時、今日は篩(ふるい、目の細かいざる)を通す。
プロもこれをしているが、これはダマにならないように
するためには、やった方がよさそう、で、ある。
内儀さんは、皿、その上にのせる紙。
天つゆも用意。
油温をみる。
OK。
衣にまずは、2切れ入れ、からめて、投入。
穴子は中心まで熱を通し、よく揚げなければいけない。
いかは1分以内。穴子は、1分以上と、考えている。
油温は中温から高温。
あまり低いと、からっと揚がらぬし、高いと
焦げてしまう。
今日は、途中で食べずに、一気に揚げてしまう。
4〜5本分、都合10切れ程度。
上々、で、あろう。
箸で、サクッと、切れる。
天ぷらやでは、穴子は1本のまま揚げて、
客の前で職人が揚げ箸でサクッと切ってくれる。
あれである。
以前はこんなことはできなかったが、
やっていれば、進歩はするもの、で、ある。
うまい穴子天が揚がった。
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