断腸亭料理日記2011
11月9日(水)夜
夜。
市谷からの帰り道、
例によって、今日はなにを食べようか、
考える。
時刻は19時半をまわっている。
この時刻だと、蕎麦や(池の端藪)はないし、、
(あ、その上、池の端藪は、水曜休みだ。)
なにがよかろう。
井泉でとんかつ?。
ご飯と、とん汁まで食べると、ちょっと食べすぎか。
ふむ、洋食は?。
上野御徒町あたりは、とんかつやの名店老舗は多い。
だが洋食やは、あるにはあるが、どこも、もう一つである。
浅草ヨシカミへ行くか。
浅草には洋食やが多いが、ヨシカミは、うまいだけでなく、
夜が遅いのがよい。
仲見世周辺や観音様の界隈は、皆、観光客相手か、
早仕舞いのところばかり。
ヨシカミは六区にあり、便利がよいし、
そう、あの界隈は、演芸ホールに、ロック座(?)もあり、
お客だけでなく、出演者も帰りに寄ったりもする。
それで、遅いのもあるだろう。
新御徒町でTXに乗り換えて、一駅。
浅草駅の長いエスカレーターを上がる。
このTXの浅草駅、というのも、随分と、深い。
秋葉原なんぞは、もう、上がるだけでうんざりしてしまう。
この浅草駅のエスカレーターは、壁に浅草縁(ゆかり)の
人々のイラストなどが張ってあり、多少は、和ませてくれる。
エノケン、ロッパ。軽演劇華やかなりし頃の人気者。
あるいは、日和下駄で徘徊していた、荷風先生。
そして、むろん、故郷である池波先生も。
地上に上がると、演芸ホール脇から
六区の通りを突っ切って、斜めに入り、
路地を右折。左の角。
ドアを開けて入ると、いつものように、
にぎわっている。
手前のカウンターを案内され、座る。
カウンター正面の料理人のお兄ちゃんが水とメニューを
スッと、前におく。
こちらは、座るか座らぬうちに、ビール!。
頼んで、メニューを広げる。
と、ビールと、お通しのおかき。
まずは、一杯。
さてさて。
今日は、なににしようか。
毎度お馴染みで恐縮だが、チキンライスは、決まっている。
私には、ここでチキンライスを食べない、ということは、
もはや考えられない。
で、他になにを頼むか?
はたまた、チキンライスだけにするか?。
このことである。
いつもの、目の前のお兄ちゃんの鮮やかな
手さばきを見せてもらえる、コンビネーションサラダか。
ん?
カキフライ。
季節、で、ある。
とっても、魅力的。
しかし、食べすぎか?。
コンビネーションサラダは¥800。
カキフライは¥1300。
ならば、カキフライか。
などと、考え、
やはり、せっかくヨシカミにきたのだから、
カキフライを食おう!。
と、決まる。
チキンライスと、カキフライ!。
ビールを呑みながら、おかきをつまむ。
私が入ってきたあと、この時刻にしては、珍しいのでは
なかろうか。どんどんとお客が入り、カウンターも
テーブルも、ほぼ満席になった。
と、チキンライスからきた。
いや、ほぼ同時。
すぐに、カキフライも。
カキフライから食べる。
形よく、軽めに揚がっている。
腹も減っており、バクバクと、食う。
キャベツも、ポテトサラダも、全部平らげる。
そして、チキンライス。
やはり、ここの味の濃いチキンライスは、
うまいもの、で、ある。
一番私の口に合っている。
しかし、毎度、カウンターに座るので、感心するが、
ご飯を炒める、調理人の兄んチャンの手さばきの鮮やかさ。
フライパンだが、ご飯が50〜60cmは上に舞っている。
えらいもの、で、ある。
そして、これを見ているだけでも、楽しくなる。
ともあれ。
うまかった。
ご馳走様でした。
勘定をして、出る。
帰りは、腹ごなしに、歩いて帰ろうか。
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