断腸亭料理日記2011
11月20日(日)夜
引き続き、日曜。
池の端藪を出て、例によって、魚やをみてまわる。
最初に、アメ横。
今日は、なかなか、豊富。
鯵、鯖、小型だが鰹。
蛤、などなど。
目に付いたのは、生の鮭。
半身で500円。
季節のものであろうが、
ここでみるのは珍しい。
実は、この後、夜は予定があるのだが、
鮭であれば冷凍しておいても、使い道は多い。
買ってみよう。
半身、新巻なんぞにする普通の大きさである。
やはり、これは安かろう。
帰宅。
夜の予定というのは、内儀(かみ)さんのお母さんが、
今日、北海道から東京見物に出てくる。
泊まるのは拙亭ではなく、近くのホテルなのだが、今日の夜は
一緒に食事をしよう、ということになっていた。
場所は、季節のものだし、ふぐ。
浅草の三浦屋と、内儀さんが決めていた。
それまで、TVなんんぞを視ながらごろ寝。
内儀さんは羽田まで迎えに出て行った。
TVはスカパーの日本映画専門チャンネル。
最近、勝新太郎の特集をずっとやっている。
「兵隊やくざ」やら、八尾の朝吉親分の「悪名」シリーズなど。
「兵隊やくざ」は以前にも視たことがあり、
「悪名」は今回初めてであった。
勝新といえば、一般には、むろん「座頭市」。
しかし、私などには、軽さのある「兵隊やくざ」の方が、
昔から好きであった。また、今回視た「悪名」も
また、よい。
どうも、この時代、戦前から戦後すぐあたりを
舞台にした、昭和30年代〜40年代のやくざ映画というのが、
どうも私は好みのようである。
特に「悪名」は勝新の勧善懲悪が気持ちよい。
ともあれ。
6時、現地待ち合わせで、10分前に自転車で出る。
浅草でふぐや、といえば、やはりこの三浦屋が
最も知られているところであろう。
場所は、言問通りと国際通りの交差点の東南の角に近い
路地を入ったところ。
大きな店だが、路地裏である。
店の前に、お神輿なんぞ飾られており、
ちょいと派手。
店に入って、名前をいうと、二階へ上がられている
とのことで、二階へ。
二階はテーブル席。
ちなみに、一階と三階が座敷であったか。
二階もなかなか、にぎわっている。
この店の日曜のこの時間お客は、やはり、近所、
下町の匂いのする人々と見受けられる。
浅草でも、このあたりであれば、観光客は
まずこなかろう。
私など、ふぐといっても、あまり執心する方ではないが
やはり、季節には一度くらいは食べたくなる。
最近は、ご近所、松が谷牧野
向島はしもと あたり。
あるいは、この日記に書いていないが、
両国のひょうたん、などにも行ってみたことはある。
入谷のにびきは、下町では有名だが、
残念ながら行ったことがない。
天然の本とらふぐを使っているとか、
いないとか、ご通家(ごつうか)の間では
色々とあるようだが、年に一度食べるくらいなので、
私などには、いたってそういう評価は縁遠い。
まあ、もともと、東京の人間には、ふぐを食べる習慣は
あまりなかったのであろうし、そこそこうまければ、
十分、で、ある。
そういえば、余談だが、最近、銀座のなにやらという
有名なふぐ料理やで、裏メニューと称して、肝を食べた
30代の女性が病院に運ばれた、というニュースがあった。
ご通家であれば、そういうところまでいくのであろう。
(先々代坂東三津五郎先生などは承知で肝を三人前食べて、
大往生を遂げられたというのは有名である。)
閑話休題。
ここは、コースはなく、刺身やら、鍋を
適当に、取る。
刺身が“最上とらふぐ”で、6300円、次が2100円。
鍋は“最上とらふぐ”で、8400円、次が“とらふぐ”6300円。
刺身の安い方は、とらふぐとしていないので、
他のふぐなのであろう。
刺身、鍋ともに、二番目のものを、二人前ずつ頼む。
刺身から。
湯引きをしてあり、厚めに切ってあるのは、
とらふぐではないからか。
薄く皿の模様が透けるくらいに切ってある
とらふぐのものとは、別物として、
これも、十分に、うまいものである。
鍋も刺身と同時にきて、早速、煮始める。
ビールから、ひれ酒にかえる。
ふぐやでは、どうしてもこれを呑まねばいけない。
毎度思うが、どうしてこんなものが、と、思うのだが
実に、うまい。
いくらでも、呑めてしまう。
鍋も煮えてきた。
ふぐのうまいところは、コラーゲンのある骨のまわり。
ばかうま!。
最後は、ご飯を一人前だけもらって、
玉子入りのおじや。
ふぐで、このおじやが一番うまい、という人もいる。
まあ、私は、そこまでは思わぬが、やはり、十分にうまい。
腹一杯。
3人で、1.7万円弱。
これで大衆価格、というのもへんだが、
ふぐとすれば、安い。
今シーズン、もう一度くらい、ふぐを食べるか、、
どうであろうか。
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