断腸亭料理日記2011

地震・津波、

お見舞い申し上げます。その4


3月16日(水)

地震、津波に加え、原発も予断を許さない。

停電で会社のシステムが止まったり、
工場を止めざるをえなかったりと、混乱は
今日も続いている。

今日は、天皇陛下のメッセージも
ビデオで出された。
なんとか、がんばって暮らさなければならない。

さて。

昨日に引き続き、昔の大地震をもう少し、
調べてみた。

昨日の平安時代の貞観地震と、もう一つ、
日本の有史以来、最大級の地震が江戸時代の宝永地震、
と、いわれているようである。

宝永地震はマグニチュード8.6(8.4とも)、
と、いう。
起きたのは、宝永4年11月23日(1707年)。
宝永は、元禄の次。
将軍は綱吉。

特筆すべきは、地震、あるいは、それに伴う津波だけでは
なかった、ということ。当時の10月4日に地震が起き、
その後、11月23日に、なんと、富士山が噴火している、
のである。これは、宝永の大噴火と呼ばれ、江戸にも
大量の灰が降った。

こんな狂歌があった。

これやこの行も帰るも風ひきて知るも知らぬもおほかたは咳

降灰によって、皆、咳き込んでいたということのようである。
(なかなか、この作者、よいセンスである。)

今、この、宝永地震はいわゆる東南海地震の一つ、というのが
通説のようである。東海から、紀伊半島、近畿、四国など
広い範囲で強い揺れがあり、また、四国の太平洋側を中心に
津波が押し寄せ、2万人ともいわれる被害を出した。

そして、この地震によって、富士山のマグマが刺激され、
噴火に至った、ということのようである。
(むろん、この噴火による被害もあった。)

この他、江戸時代の大きな地震はいくつもあったようだが
比較的有名なのは、幕末、安政2年(1855年)の安政江戸地震
であろう。

震源が、江戸湾北部荒川河口と江戸直近。
規模は、マグニチュード6.9。
当時、既に大都市の江戸は死者4300人、建物の倒壊など、
大きな被害に見舞われている。

浅草寺の五重塔が傾いたり、という記録も
残っている。

有名な広重の江戸百景は地震の直後に出版されているが、
現代では、復興が始まりつつあるその江戸を
描くことが目的ではなかったか、という研究者の
指摘もある。


先の、傾いた五重塔は、この絵が出版された時点では
まだ修復されていないのだが、絵は
きれいな状態である。
『原信田 実 謎解き 広重「江戸百」 (集英社新書ヴィジュアル版)』



広重の江戸百景には、がんばれ江戸!、という
メッセージがあったのかもしれない。

ちなみに、安政江戸地震では津波の被害は江戸では
記録されていない。

安政は大きな地震が多く、この前の年に、東海と、
東南海でもほぼ同時に大きな地震が起きているよう。
この場合、東海、東南海は密接に関係があるようだが、
東京湾が震源の江戸地震は別もの、と
考えられているようである。

また、大正時代の関東大震災は、震源が相模湾で、
東海とも多少違うよう。
ついでだが、この関東大震災では、熱海などで12mという
津波の被害も記録されているようだが、
東京湾ではどうなのだろうか。
記録がないところを見ると、なかった、のかもしれない。

津波の被害はないが、江戸、東京の下町は、
皆、埋め立て地や、元は砂州でおそらく液状化などで、
被害は大きいかったのも、歴史が示している。

ともあれ。

江戸、東京に限らず、まさに、日本列島に住む我々は、
大昔から、地震とは隣り合せに暮らしてきたことを
今さらながら、思い起こしている。






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