断腸亭料理日記2011
6月18日(土)昼
御茶ノ水駅の聖橋出口からスタートし
目的地の末広町の花ぶさまでやってきた。
末広町といって、銀座線の駅はあるが、
馴染みのある人はあまり多くはあるまい。
今は、末広町も町名ではない。
位置関係とすれば、秋葉原と上野広小路の間。
(いや、今は、アキバの北の端といった方が
わかりやすいかもしれない。)
中央通り、昔風にいうならば、
御成街道と、蔵前橋通りとの交差点。
ここが末広町。
花ぶさは、この交差点の北西側、
路地を入ったところにある。
店まで皆さんを引き連れて、到着。
入って、名乗り、席は3階。
カウンターの中で働く、ご主人に会釈をして、
上がる。
この店の各座敷や、廊下には、池波先生が
描かれた絵が、額に入って、架けられている。
どれもみな、ねずみだったり、牛だったり、
干支(えと)の絵なので、先生が年賀状用に
描かれたものではなかろうか。
さて、さて。
頼んだのは、先生命名の、千代田膳。
座って、ビールなんぞをいただいて、
一品目。
青梅の蜜煮、といって出てきた。
とても柔らかく、甘く煮られた、冷たい青梅。
季節感もあり、爽やか。
次は、椀物。
これも、季節。
はも、と、白瓜。
よい出汁で、梅の赤い色が鮮やか。
お造り。
ここは、刺身の盛り合わせではなく、
こうして、一品だけで出すことが、
比較的、多いかもしれない。
白身で、アラ、といって出された。
ふぐのように、紅葉おろしと、ねぎが添えられ、
巻いて食べる。
アラ、というのは、私にはあまり馴染みのないものだが、
比較的しっかりした歯応えで、うまい。
弁当形式の四種。
左下から時計回りに、時鮭の照焼き、
野菜の炊き合わせ、花ぶさ看板の、海老真薯揚げ。
下が、鰹の土佐造り。
野菜の炊き合わせなども、念入りに作られているが、
やはり、なんといっても、看板の海老真薯揚げが
うまい。
むろん揚げ立て。
で、この後、ご飯、なのだが、ついつい、いい気分で、
写真を撮るのを忘れてしまった。
ここのご飯は、いつも違う、炊き込みご飯、
で、ある。
今回はなにかといえば、鮎飯。
そうそう、鮎飯も、池波レシピであった。
鮎自体、池波先生はたいへんな好物であったようだが、
鮎飯を世の中に、流行らせたのは、他ならぬ
池波先生といってよかろう。
先生が取材に訪れた、埼玉県寄居町の
京亭という旅館で、家族だけで食べていたものが
元になっている、という。
私も鮎飯は、なん度も作っているのだが、
私などが作ると、ついつい、しょうゆの濃い味に
なってしまうが、ここのものは、上品。
そして、これも、いつも必ず出るのだが、
出汁巻玉子。
そして、最後は、白玉ぜんざい。
ここは、ランチであっても、この小さな白玉ぜんざいを
必ず、付けている。
食事の〆には、甘いもの。
池波先生は、酒も呑むが、
甘いものも大好きであったことも
よく知らている。
ゆっくりと食べ、呑み、
皆さんとお話しし、席を立つ。
例によって、ご主人は外に立って、
全員を送り出してくれる。
とても、おいしかったです。
ご馳走様でした。
お世話になりました。
また、お願いします。
千代田区外神田6-15-5
03-3832-5387
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