断腸亭料理日記2011
暑中お見舞い申し上げます。
暑い日が続いたと思ったら、福島、新潟では豪雨で水害。
落ち着かぬ日々ですが、皆様お元気でおすごしでしょうか。
節電もあり、なかなか辛いこの夏ですが、なんとか乗り切りましょう。
『講座』の7月、深川万年橋界隈で、少しあいてしまいましたが、
こんな暑い夏には、冷汁。
7月16日(土)夜
さて。
みの家で呑んだ『講座』から帰宅し、
ちょいと、呑み直し、そのままごろんと、昼寝。
夕方、起きて、冷汁を作ろうと、思い立つ。
冷汁、というのは、最近、本場九州でもみやげに売られていたり、と
随分とメジャーになってきている。
私が初めて作ってみたのは、2006年。
「仕掛人・藤枝梅安」に登場するものから、
レシピは想像して、作ってみた。
そして、その翌年、
もともとは、九州などのものであることを知り、
そのあたりのレシピを真似てみて、なんとなく、
冷汁が、なんたるものか、理解し、その後、
夏には必ず作るようになっている。
ポイントは、出汁、で、ある。
それも、本当は、干物などを焼いて、ほぐして、
よく煮出す。
冷やして食べるものなので、出汁は濃いめが
必須、のようである。
昨年は、煮干しをたくさん、細かく潰して、
煮出してみたが、これでもよさそう。
使う魚は、なんでもよさそうである。
しかし、本家、出汁といえば鰹節だが、
逆に、鰹の削り節は、合わぬように思われ、試していない。
なぜかといえば、入れた魚も、実、として
食べてしまうので、削り節は、実、具、としては
今一つのように思うのである。
また、こんなことを書いていると、四国愛媛方面
ご出身の読者の方から、冷汁は小さい頃よく、
お母様に作ってもらった、と、送っていただいた。
宮崎から、大分、豊後水道の対岸、四国愛媛などでも
食べられている(た?)もの、の、ようである。
さて。
今日は、どうしようか。
思い出したのが、冷凍庫で凍っている鯵。
少し前に例によって、アメ横で大量に買って、
余った物なのだが、頭を落とし、腹だけ出して、
冷凍庫に放り込んでおいたもの。5匹もある。
干物ではないが、これを焼いて、入れてみようか。
解凍。
その間に、他の材料を買いに出る。
他、と、いっても、そうたいしたものは、
いらない。
どうしても必要なのは、豆腐、
すりごま(白)、浮き実の、大葉、野菜は、
胡瓜があれば、OK、で、ある。
すりごまはあるので、その他のものを三筋のヤマザキで
買って、帰宅。
解凍した鯵は、白焼きにする。
焼いたものは、ほぐし、細かい骨はそのままで、
中骨だけは取る。
これを鍋に入れ、水を張り、煮出す。
5匹分もの鯵なので、鍋も大きなもの。
ある程度煮たら、火を止め、味噌を加える。
宮崎流であれば、一度焼いた味噌を使うようだが、
これはやめた。
焼く意図は、味噌臭さを取るため、というが、
味噌臭さとは、味噌の旨味であろう。別段、
私は気にならぬので、そのまま、溶き入れる。
ここに、豆腐を、手でほぐし、ドカドカと入れる。
そして、すりごま。
これもたっぷり。
それから、胡瓜。
これは、2本ほど、薄めにスライスし、入れる。
味見。
冷やすので、濃いめに。
あとは、冷やすだけ。
洗面所に水を張り、さらに冷凍庫から保冷剤を
しこたま取り出し、入れ、鍋を突っ込んでおく。
1時間後、冷たく冷えれば、完成。
大葉は食べる直前。
できてすぐ。
思いのほか、鯵に脂があり、うまい。
やはり、冷汁には大葉は欠かせない。
さわやか。
鍋ごと冷蔵庫に入れておき、これは翌朝。
飯を炊いて、壺漬けと、葉唐辛子の佃煮。
これは、さらに後。
冷飯にぶっかけた。
冷飯は冷蔵庫から出したそのままではなく、
一度冷水で洗ったもの。
本来の冷汁は、この、ぶっかけ飯、
なのかもしれぬ。
うまい、うまい。
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