断腸亭料理日記2011
そろそろ、今年も押し詰まってきた。
あらためていうまでもないが、
今年という年は、たいへんな一年になってしまった。
こんな年になることを、例えば占い師でも、
予想をした人が、あったであろうか。
未曾有の国難。
むろんのこと、東日本大震災である。
亡くなった方、家族をなくした方、家や仕事をなくした方、
そうでなくとも、なんらか、人生が変わってしまった方も
たくさんあったであろう。
かくいう私自身も、個人ではなく、仕事上のことだが、
大きな変化があった。
具体的には、被災からの復旧復興、で、ある。
復旧復興なので、今日明日の話ではなく、
なん年かかかることでもある。
そういう意味で、仕事上ではあるが、
ある程度、人生が変わってしまったといえる。
なんでもそうだが、ピンチはチャンス、
マイナスと思わずに、プラスにかえるべきもの、
なのではあろう。
苦しいときほど、笑ってみろ、と、よくいう。
そんなことはわかっているが、苦しい、または
辛い、先が見えない只中にあってはなかなか、
できることではない。
だが、それでもとりあえず、苦笑いでも、
作り笑いでもなんでもよい、とりあえず、笑ってみる。
笑ってみると、少しは頭は前向きに切り替えられる
ような気もする。
私自身、今この年の暮れになって、そう思うようになってきた。
震災によってなんらかの被害を受けられた皆様もともに
来る年を新たな気持ちで向かえたいと思う。
さて。
それにしても、今年は、いろんな人が
亡くなっている。
むろん、毎年、毎年、いろんな人が亡くなっているのだが、
これだけ大きなことがあった年に、亡くなっている、
というのは、なにか、因縁のようなものを感じてしまう。
談志師匠が亡くなったのは、私にとっては
大きなことではあったが、脚本家の市川森一氏、ここへきて、
映画監督の森田芳光氏、そして、金正日まで、とは。
まったくもって、たいへんな年であった。
金正日はともかくとして、談志師匠にしても、市川森一氏、
森田芳光監督と、ほぼ現役で作品を残されていた人で
驚きは大きい。
そういえば、夏に亡くなった、俳優の原田芳雄氏も
現役といってよいだろう。
また、震災直後であったが、
田中好子さんの死も思い出される。
談志師匠は、むろん別格として、私個人としては、
森田芳光監督、である。
森田監督は、渋谷円山町生まれ、日芸(ニチゲイ、
日大芸術学部)で、落研(おちけん)。
これだけのプローフィールでも
“落語の了見”がわかる人、というのであろうか、
ずっと、親近感のようなものがあったし
この人の作品なら、信用してもよいか、というような、
信頼感のようなものがあった。
また、世代としては一回り上だが、東京生まれ育ちで
なんとなくセンスが近い、という感覚もあった。
『の・ようなもの』、『家族ゲーム』
あたりは、まさにそうである。
まあ、その後は、いろいろ、ではあったが、
それでも、この人の新作はやはり、気になる存在
では常にあった。
(余談だが、同じ東京生まれ育ちで、同世代では
かの三谷幸喜氏がいるが、この人などは、センスは
むろん近いのだが、狭いところに入りすぎてしまう、
まあ、一言で言えば、オタク、なのか、いま一つ、
入り込むのに躊躇してしまうところがある。)
ともあれ。
なにか、散漫になってしまったが、
談志師の死が、私には有名人の死ではむろん、最大のもの。
やはり、一つの時代が終わって、それにこの
大震災は区切りを付けるものと感じて仕方がない
のではある。(どちらが区切りか、よくわからないか、、。)
とにもかくにも、今年は終えて、
新しい、よい未来が来てほしい、と
願うだけである。
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