断腸亭料理日記2011

ぬた

4月19日(火)夜

火曜日。

今日は、昼間から、なぜかわからぬが、
ぬた、が、食べたかった。

ぬたは、正しくいうと、ねぎぬた、なのか。

ねぎの茹でたのに、酢味噌を付けて食べる。
多くは、わかめだったり、魚介類だったりを
一緒に盛り付ける。

この、ねぎぬた、というのは、
うまいもの、で、ある。

これは自分の子供の頃からみると、
考えられぬことではある。

だいたいにおいて、ねぎは、子供などの
好むものではない。

それをただ茹で、酢味噌だけをつけて食べる。

ぬたを、うまい、と、思うようになったのは
やはり、大人になり、それも、酒を呑むように
なってからのことだと思われる。

飯のおかずにも、さほど合うものでもなく、
酒の肴以外には、考えられない。

考えてみれば、不思議なこと、ではある。

ぬた、というのは、酢の物なのか、
和え物なのか。どちらであろうか。

酢の味ではあるが、酢に浸(つ)かっている
わけではないので、酢の物とはいえなかろう。

また、プロが作るものを見ると、なぜだか
必ず、酢味噌は、添えているだけで、
和えてはいない。

火を通した食材に味噌をつけて食べる、
というものは、昔からたくさんあった。
いわゆる、豆腐などの、田楽も、その例、
では、あろう。

簡素で、簡単なものでもあり、
おそらく、そうとう古くからある、
食べ方、と思われる。

そういう意味では、酢味噌は和えるのではなく、
添えている形、というのは、正しいのかもしれない。

閑話休題。

帰り道、牛込神楽坂駅そばの
スーパーに寄る。

ねぎは、普通の長ねぎで十分。
これは家にある。

一緒に入れる、魚介類を捜す。

と、まさに、ぬたにしてくれ、
というような刺身のセットがあった。

なにかというと、ボイルした青柳と、
テzテ^テヒテCテJツ?テZテbテgチB
それも、半額で250円。

まぐろぶつ、貝類、青魚、などなど、
なんでもよかった。

だが、これは実に、ぴったり。
私が、ぬたを食べたい、と思ったのに、
合わせたかのようなものである。

買って、帰宅。

作る。

と、いっても、ねぎを切って、
茹でるだけ。
だが、これは、実は、とても難しい作業である。

なん度も書いているが、ねぎはただ茹でればいい、
というものではない。

茹ですぎると、水が出てベチョベチョ。
ぬたとしては、食べられたものではない。

あるいは、ねぎが、生、でもよいようなもの、
ではあるが、やはりそれでは、辛味が強すぎる。

ほどよく熱が通っている状態でなくては
ならないのである。

そこで、私の場合は茹でるとはいっても、
毎度書いているが、熱湯をかけるだけ。

茹でてしまうと、どうしても、熱が入りすぎる
のである。

まずは、薬缶に湯を沸かす。

そして、ねぎを切る。

長さは、4cm程度。
そして、それをさらに縦方向に半分に切る。

長ねぎなので、中心の部分と、皮の部分に分かれる。
これは熱の通りが違うので、分けておく。

1本半ほど。

氷を入れた、冷水も用意。

ざるを出し、先に中心部分を並べておく。

薬缶が沸騰したら、ざるのねぎに、かける。

時間差で、皮の部分も入れ、さらに熱湯をかける。
皮はすぐにしんなりするので、様子をみて、
とっとと、冷水に放す。
中心部分も様子を見て、冷水へ。

冷えたらOK。
ペーパーナプキンに取り、水気をよく切っておく。

その間に、酢味噌作り。

ホタルイカと、青柳なので、
今日は、白味噌と、赤味噌ベースと2種類の
酢味噌を用意してみようか。

白味噌には酢を入れ、和からしを入れ、
からし酢味噌に。

赤味噌には白味噌を同量程度入れ、
桜味噌にし、酢で伸ばす。

OK。

水気を切ったねぎをさらによくふいて
皿に盛り付ける。
青柳と、ホタルイカも。


ねぎのぬた、というのは、どうしてこうもうまいのか。
まったくもって、不思議である。

これだけ、単純な料理ともいえない料理なのに、
こんなに酒に合うのはなぜであろうか。

だが、うまい。








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