断腸亭料理日記2010
9月29日(水)
さて。
今日は、午後、横浜。
展示会、で、ある。
夕方終了。
むろん、この時間に、ここ(みなとみらい)にいれば、
そのまま帰る。
せっかく、横浜まできたので、なにか食べて帰ろう。
なにがよかろうか。
中華街、も、よい。
が、、、洋食。
そう!。
ホテル・ニューグランド。
ニューグランドは池波レシピ。
いや、別段、池波先生を持ち出さなくとも
誰もが知っていよう。
横浜を、いや、日本を代表する、老舗ホテル。
昭和4年開業。
大桟橋も近い、山下公園に面している。
チャップリン、ベーブルースが泊まったという。
そして、なんといっても占領下。
ここは、GHQに接収され、かの、総司令官
マッカーサーの宿舎として使われたところ。
池波先生は、むろん戦後もいかれたでのあろうが、
戦前、まだ、ティーンエージャーの頃。
「取引所が引けてから、三日か四日に一度は出かけたもの」
だったらしい。それもタクシーを飛ばし、
グランドにもよく泊られていたという。
「食卓の情景」
当時、ここには池波先生よりも随分上の
小説家、大仏次郎氏が泊られて、執筆に使っていたという。
1〜2度、池波先生はバーで見かけることも
あったという。
(毎度思うが、たいへんな、ティーンエージャー、である。)
みなとみらい、から乗って、馬車道、日本大通りで降りて、
少し歩いてみる。
煉瓦色の県庁の庁舎、開港資料館、右に曲がって大桟橋入口。
少し涼しくなったこの季節、こういうところを歩くのは、
気持がよい。
道を渡って、山下公園に入る。
山下公園にくるのは久しぶりかもしれない。
私も、池波先生ほどではないが、高校時代から、
横浜、特にこのあたりには、なん回か、遊びにきたもの
で、ある。
やはり、東京の人間には横浜というところは、
近くにあるが、ちょいと、憧れるところ、
ではあるのだろう。
ベンチに座って、ぼんやりと海を見る。
左側に大桟橋。
今は、大きな船は泊まっていないいない。
そよそよと吹く、海風が気持がよい。
よいもの、で、ある。
芝でもどこでもよいのだが、同じ東京湾だが、
東京の海辺とこうも印象が違うのは、ほんとうに
不思議、で、ある。
横浜の方が明るい、ように感じる。
やはり、海の向こうのどこかに
つながっている、イメージからであろうか。
立ち上がって、氷川丸まで、ぶらぶら歩いて、
ニューグランドへ。
私は、バーよりは、洋食を食べようと、思ってきた。
ここで、なにを食べるか、というと、ナポリタン。
なぜ、ナポリタンなのか、というと、
ここが発祥である、と、聞いた覚えがあるから、
で、ある。(ついでに、ドリアもここが発祥という。)
スパゲティーナポリタンというのは、
ようは、スパゲティーのケチャップ炒めだが、
むろん、イタリアンのメニューではない。
この元は、アメリカ軍の軍事食であったという。
先に書いたように、このホテルニューグランドは、
マッカーサーの宿舎として接収されていた。
この時に、このスパゲティーのケチャップ炒めを
米軍に要求されて作ったというのがその始め、
というのである。
その後、ここのメニューにもなり、また、
日本全国に、戦後の洋食メニューとして広まった、のであろう。
と、いうことで、いくつかある、ここのレストランで、
ナポリタンを置いているところ、と、捜してみると、
やはり、ちゃんと、あった。
1階のザ・カフェというレストラン。
エントランスを入って左側。
店へ入ると、夕飯時にはまだ少し間があり、すいている。
窓際の席を案内され座る。
グラスのビールをもらい、ナポリタンを頼み、
本なんぞを読みながら、のんびり、待つ。
こんな時間もよいもの、で、ある。
ナポリタン。
見た通りの、ナポリタン、で、ある。
ハムにマッシュルーム。
が、(むろん市販の)ケチャップではなかろう。
トマトから作ったソースである。
びっくりするほどのことはないが、
うまいナポリタン。
食べ終わり、勘定をして、出る。
よい時間、で、あった。
(この建物は、日本近代化産業遺産だそうな。)
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