断腸亭料理日記2010

蕎麦・神田・まつや

11月30日(火)夜

今日は、ちょいと、5時から。
神田まつや

まあ、たまには、よいか。
まつや、で、一杯やりたい、と、思ったのである。

蕎麦や、特にまつやは、このくらいの時間に
入らなくてはだめである。

6時すぎたら、混雑どころか、店にすら入れない。

この時間、もう真っ暗。
日が短くなったものである。

向かって右側の入口から入る。

真ん中あたりのあいた席を案内され、
表の方を向いて、座る。

さて、と。

お酒、お酒、
お燗で。

つまみは?。

このところ、寒くなってきたので、
どの蕎麦やでも、天ぬき、に、してみている。

ここで、天抜きは食べたことがあったろうか。
よく憶えていないが、やっぱり、天ぬきにしてみよう。

天ぬきといえば、私には、浅草の並木藪

この日記には書いていないが、つい、1〜2週前にもいっている。
濃いつゆに、芝海老のかき揚げが、燗酒の肴とすれば、
これ以上ないもの、で、ある。

ここのは、どうであろうか。


お酒がきて、そば味噌を味噌をなめながら、
呑む。

文庫本なぞを読みながら、待つ。

今読んでいるのは、駒形どぜうの
先代、五代目の越後屋助七氏が書いたエッセイのようなもの。
(これ、なかなか、おもしろいのだが、駒形どぜうは、
代々、越後屋助七を継いでいた、というのは、知らなった。)

ともあれ。

きたきた、まつやの天ぬき。


かき揚げではなく、海老天、で、ある。

雷門通りの、尾張屋

この前寄ったが、海老天、で、あった。
(まあ、あそこは、天丼など、大きな海老天が売り物だが。)

柚子が入り、飾り切りされた蒲鉾も入っている。

池の端藪、並木藪は、かき揚げであるが
一般に、天ぬきというと、こうした尻尾のついている、
海老天の方が多いのであろうか。

いや、海老天でも、別段、問題はない。

問題はないのだが、しかし、で、ある。

天ぬき、と、いうのは、つゆに浸ってふやけた
衣がうまい、のである。
と、すると、衣が多いかき揚げの方が、よいような
気もしてくる。
(じゃあ、衣だけで、いいじゃないか!、
と、いわれそうだが、そうはいっても、実がなにもない天ぷら、
というのも、淋しいではないか。)

ともあれ、十分に、うまい天ぬきだし、酒もうまい。

お酒をもう一本。

うまい、うまい。

呑み終わり、もり、を、一枚。


むろん、そばもうまい。

大満足、で、ある。

席で、勘定をし、出る。

ぶらぶら、歩いて、万世橋を渡り、

秋葉原の駅に向かう。


神田・まつや





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