断腸亭料理日記2010

鶏のから揚げ

5月13日(木)夜

8時すぎ、仕事を終えて帰り道。

なにを食べようか、考える。

と、いっても、なにか簡単なもの。
今日は、いろいろ考えるのが、ちと面倒。

まあ、そういう時もある。

で、考え付いたのが、鶏のから揚げ。
油で揚げるので、べら棒に簡単、と、いうわけではないが、
下味を付けて、揚げるだけ。
まあ、料理、というほどのことでもない。
だが、うまいもの、で、ある。

大江戸線、新御徒町駅で降りて、ハナマサに寄る。

大きなパック、輸入の鶏もも肉で、
一口に切ってあるもの。
輸入というのはブラジル産だが、国産に比べると、
三割程度は安い。
いつも買っているが、味はなんら問題ないどころか、
国産のノーマルなブロイラーよりもかえって、
うまいように、思うくらいである。

帰宅し、着替え、準備にかかる。

揚げ油を揚げ鍋に入れて用意。

肉は、大きなパックで、どうであろうか、
もも肉、3〜4枚分はありそうである。

全部揚げてしまおう。

しょうがをおろす。

普段は下味を付けるのに、
ボールに移し替える、のであるが、
よくよく考えたら、直接、このスチロールの
白い容器で下味付けをしても問題はなかろう。

しょうゆ、酒、軽くふって、おろした生姜を
まぶし、全体を和える。

このまま、置く。

油に点火。

そこそこ油温が上がったところで、
一度止めておく。

衣の片栗をまぶす。
全体に、しっかりと着くように、比較的多めに。

OK。

油にもう一度点火。

鶏から、と、いうのは、油温はどのくらいが
よいのだろうか。
いつも、適当、なりゆき、なのである。

まあ、それでもひどいものにはならないのが、
鶏のから揚げ、の、よいところ。

そこそこ温度が上がったと、思われるところで、
一つ、入れてみる。

あまり泡が上がらな。
ちょっと、低かった。

入れたまま、しばらく上がるのを待つ。

ものが入っていると、ある程度油温がわかる。

3〜4切れ、追加。

こんがり狐色まで。
揚げ上がり。

三回ほどで、全部揚げ上がる。
皿にのせる。
帰宅後、30分はかかっていなかろう。


ビールを開けて、食べる。

好みとすれば、味がもっとついていた方が
よいのだが、まあ、十分。

なかなか、よく揚がった、鶏のから揚げ、で、ある。
うまい。

結局、遅く帰ってきた内儀(かみ)さんが、
二つ、三つ、食べただけで、
ばくばくと、敵のように、あらかた食べてしまった。
(まあ、明らかに、食べすぎ、で、ある。)


しかし、鶏のから揚げ、と、いうもの、
考えてみれば、不思議なもの、で、ある。

簡単なものだが、大人から子供まで嫌いな人、というのも
少ないのではなかろうか。

一番よく登場するのは、弁当のおかず、ではなかろうか。
それで、子供も大好き、で、あろう。
ホカ弁でも、定番で人気のあるメニューのはずである。

私の子供の頃はどうだったか。
母親の好みの問題なのか、わからぬが、
そうそう頻繁には作らなかったように、思われる。

おそらく、よく食べるようになったのは、
学生時代、今の内儀さんと、つき合いだしてから
であろうか。
聞いたことはないが、きっと内儀さんが
鶏のから揚げを好きであったのであろう。

ニュース番組かなにかで、やっていたが、
今、鶏のから揚げは若い人に人気であるそうな。
ファストフードのようなテイクアウトの
鶏からショップのようなものもあるという。

鶏のから揚げ、というメニューはいつ頃からあって、
弁当の定番になったのであろうか。

おそらく、そう古くはないのではなかろうか。
弁当に限らず、内儀さんに聞いてみても、
子供の頃には、やはり、あまり食べていなかった。

給食でも、鶏から、よりは、カタイ、鯨の竜田揚げ、
であった。(今は、出ていそうであるが。)

今は、鶏肉、というのは、牛はもちろん、
豚よりも安く、鶏からは、安いおかず、で、あろうが、
我々が子供の頃、昭和40年代などは、まだまだ、
鶏肉といえども、安くはなかったのか。
また、我々の親の世代、昭和ひとケタ〜10年代は、
揚げものといえば、天ぷらで、鶏肉のから揚げ、
なんというものは、一般的ではなかったのかもしれぬ。

そういえば、鶏から、って、なに料理であろうか。

意外にこれは、むずかしい問題であるぞ。

同じ、家庭料理の、とんかつなど、フライ類、
それに、ハンバーグはどうか。
これらは、洋食やにあるし、肉やでもある。
いわゆる、洋食であろう。
だが、鶏からは、ない。

外で、どんなメニューとしてあるかと考えると、
ポテトのフライと一緒に、ビアホールなどでの、
ビールのつまみ。だが、これでは、なに料理かは
わからないし、その前に、今は外で鶏からつまみに、
ビールを呑む大人は、あまりなかろう。

中華?
そう中華にはあるぞ。
この前作ったが、油淋鶏

だが、これなんぞは、最近のもの。

そうすると、やはり、しょうゆで下味を付けるし、
和食、になるような気もするが、むろん料亭で
出るメニューではないし、、、。

結局、どこで生まれて、どうやって一般的に
なったのか。
よくわからない。

ひょっとすると、ホカ弁が、一般的にした?
あるいは、我々より下の世代では、給食でも
出るようになったのか。

わからぬが、どうも、我々の世代以降に一般的になり、
もうそろそろ、我々の世代の子供の世代も、20代に
なり始め、その関係で、若い人にも大人気?



よくよく考えると、鶏のから揚げ、
不思議なメニュー、では、あるまいか。








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