断腸亭料理日記2010
5月23日(日)
どうも、この5月も天候が安定しない。
気持ちのよい五月晴、というのは
なん日もないのではなかろうか。
真夏日があったかと思うと、今日は寒々とした雨。
午後、御徒町に魚を見に出る。
透明のビニ傘をさして、自転車。
アメ横から、吉池。
いま一つ、ピンとくるものがない。
こんな時は、あら?か。
安いし。
養殖ハマチのあら。
脂がありそうなので、塩で焼いてもいいかもしれぬ。
あとは?
メバチまぐろの、腹の身。
トロ。
大きくはないが、300円ほど。
、、、ん?
鮎。
むろん養殖だが、一匹300円。
3匹だと、600円ちょい、と、少し安い。
雨の日のサービス、などと書いてある。
鮎飯にしようか。
鮎飯というのは、池波レシピ。
そもそもは、エッセイ「よい匂いのする一夜」に
出てくる。埼玉県の寄居にある京亭という旅館に
池波先生が訪れた際に出たもの。
私は、再現をしようと四苦八苦していた。
素焼きの鮎を、飯に炊き込むのであるが、
苦い。
これは、ハラワタを抜かずに鮎を使っていたので
こういうことになっていたのである。
一般に、鮎の塩焼きなどでは、ハラワタは抜かずに、
そのまま焼いて、食べるもの、で、ある。
それで、鮎飯もそうしていたのだが、
この苦いのは、養殖ものを使っていたからでは、
と、思っていたのである。
つまり、天然ものであれば、苦くないのでは、と。
これはまあ、子供の頃から、そう思い込んでいたから
なのである。
しかし、一般には天然鮎と、養殖鮎とでは、
天然の方が、ハラワタは苦いといわれていることがわかった。
それで、天然ものを高知からネットで、
普段はしないことにしている“お取り寄せ”をし
天然と養殖で食べ比べてみたり、、。
そんなドタバタの中で、そもそも、鮎飯は、
ハラワタは抜いて使うものであることが、さらに判明。
結局、天然の方がうまい(ような気がする)が
養殖でも、ハラワタを抜けば、別段、問題なく鮎飯が
できる。
と、いうことで、養殖だが、3匹で鮎飯にしてみよう。
帰宅し、まずは、ハマチあら。
ハラスの部分と血合とあったのだが、
随分大きいので、塩焼きはハラスにしよう。
血合はつゆに。
ハラスに塩をふってガスで焼く。
血合は切って、薬缶で湯を沸かし、霜降り。
洗って鍋に水を張り、軽く煮ておく。
そら豆もあったので、これも塩茹で。
ハラスとそら豆。
この前漬けた塩らっきょ、も出す。
養殖ハマチのハラス。
べら棒な脂、で、ある。
むろん、これで、呑む。
と、まあ、そんなことで、鮎飯は夜。
米は先にとぎ、酒と少しのしょうゆで、水加減をしておく。
酒が入っていると、浸水に3時間はかかるので、
あらかじめしておく。
夜。
鮎はこんな感じ。
色味などは、やはり、天然ものには及ばない、か。
この、ハラワタを出し、素焼き。
浸水した、釜に入れ、炊く。
炊きあがり、一度鮎を出し、骨を抜いて、混ぜ込む。
(鮎は、妙に柔らかく骨を抜くのに折れてしまって、
苦労をした。)
メジのトロも、切って出す。
ハマチのあらには、味噌を溶いて、味噌汁に。
鮎飯とハマチのあらの味噌汁。
鮎飯は、身が柔らかいが、
まあまあ、で、あろうか。
ハマチは脂があり、うまい。
残った鮎飯は、この後、朝飯に、毎日食べることになった。
さて。
あとになって、気が付いたのであるが、
鮎飯の作り方を、少し間違えていたことに
気が付いた。
なにかといえば、米とともに炊き込んでしまったこと。
同じ魚の炊き込みご飯でも、秋刀魚飯
などは、焼いてそのまま一緒に炊き込むのであるが、
鮎は違っていた。
鮎飯の場合は、炊き上がってから、蒸らす間に、
素焼きの鮎を入れ、あとで、骨を外し、混ぜ込む、
のであった。
それで、今回は、骨まで柔らかくなってしまい、
骨を外すのに苦労をした。
従って、身も、随分と柔らかくなっていたわけである。
まあ、結局のところ、普段あまり食べないもの。
私には鮎、と、いうのは、子供の頃から、
なかなか、縁のないもの、なのかもしれぬ。
また、安いのがあったら、鮎飯、やってみるか。
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