断腸亭料理日記2010

絽の羽織、寸法直しと、

サカエヤのカツカレー

暑中御見舞申し上げます。


7月24日(土)昼

梅雨が明けてから、東京は、
本当に、暑い日が続いている。
皆さんは、お元気におすごしであろうか。

私は、早速に、夏バテというのか、
鼻と喉がやられてしまった。
まあ、寝る時にもエアコンを掛けっ放しが
原因なのであろう。
暑いので疲れ、というのも、あるのだろう。

今日は、着物の寸法直しのために、
仕立てやさんへ出掛ける。

これは、実は、先月であったか、黒の絽の羽織を
ネットオークションで買ってみたのである。
先週の『講座』は浴衣に下駄でいったが、来月は、
もう少し、違う格好を、と思い、夏物のバリエーションを
増やそうと考えていたのである。

で、この羽織に合わせる、白っぽい
麻の着物でもないか、と考えて、いつもいっている
浅草のちどりやへいってみた。
麻の着物は、むろん出来合いのものだが、
45000円、ベージュっぽい色の、小千谷縮を
買ってみた。

帰ってきて、この小千谷縮に、
早速オークションで手に入れた羽織を
羽織ってみた。
すると、着物の方の袖丈が長く、羽織から
出てしまう。

裾も袖も、短めよりは、長めの方が
よいかな、と自分でも思い、ちどりやのご主人も
勧めてくれたので、たっぷりしたものにしたのである。

ばらばらに買うと、なかなかむずかしいものである。

それで、この絽の羽織の袖を伸ばせないかと、
考えて、仕立てやを捜してみたのである。

すると、ごく近所、東上野一丁目、キムチ横町の隣に
松坂屋の仕立てもしているという、ところを
見つけた。

御仕立て処うえの

(いや、このあたりは普段うろうろしているので、
実際は、ここにこの店があるのは知っていたのである。)

で、合わせる着物とともに、風呂敷に包んで、
持って徒歩で出る。

最初から決めていたのであるが、
行きがけに、春日通り沿い、新御徒町駅の
一つ先の角にある、スタンドカレーやに寄る。

店の名前はサカエヤ。外の店の庇に、
大きく、待ち時間0分、などと書かれているので、
目立つ店である。

今日は、カツカレーを食べようと決めていた。

カウンターだけの小さな店ではある。
自動ドアを開けて入る。

13時を少しすぎた時間。
土曜日だが、お客は3人ほど。
ご夫婦二人でやっている。
冬は、カレースタンドなのに、なぜだか
置いているけんちん汁が、名物といえる
かもしれない。
カレーとの取り合せが、絶妙、ということは
まったくないが、けんちん汁として、うまい。

カウンターに座り、カツカレーを頼む。
小父さんは、カツを揚げるのに5分ほど
お時間かかりまぁ〜す、という。
待ち時間0分をうたっているので、いうことにしている
のであろう。

出された水を一気に飲み干してしまう。
ここまで10分もなかろうが、歩いてくると
汗だく、で、ある。
扇子でパタパタ。
手拭いで汗を拭く。

待っている間にも、お客さんは入る。
この近所、スタンドカレーは、チェーンも含めて
なん軒かあるが自家製のここは、根強い人気、なのであろう。

できた。


私の好みとすれば、カツカレーのカツは
ラードで揚げたものがよいのだが、ここは
おそらく植物油で揚げている。

カレーはポーク。

〆て、普通にうまい、カツカレー、で、ある。

食べ終わり、勘定をして、
キムチ横町隣の、仕立てやさんへ。

ここは、なんでも、明治の創業で、
三代続く仕立て屋さんという。

同年輩から少し若いと思われる、
若ご主人に見せて、相談。

伸ばそうと思っていた、袖は、これ以上もう出せない、
という。しかし、裏技があり、襟をほどいて、別のものを入れ、
襟のきれを、袖につぎをあてるような格好で、剥ぐ、
ということができるという。
さすが、和服というのは、無駄のないように
できているものである。

合わせる着物と一緒に見せると、
この着物は、少し大きいんじゃないですか?
という。
さすがである。採寸もしていないのに、
私の寸法がなんとなく、お分かりになったようである。
袖だけ出しても、裄(ゆき)から長いという。
まあ、これはしかたがない。出来合い、吊るしを買ったので、
そうそう身体にあってはいない。

袖が出なければいいです、ということで、
お願いする。

で、結局、この若主人に聞いてみた。
ネットオークションで買った古着、22000円、
直し費用が、12〜13000円ほど、で、合計
35000円程度。
新品を反物で買って仕立ててもらったらどのくらいか。
5〜6万、ですかね、という。
意外に、安いなぁ、という印象ではある。

しかし、微妙、である。
古着を直した方が、それでも安い。

若干寸法は合わないが、むろん着られぬことはない。
いや、私など、着物はおろか、スーツでさえ、
採寸して、誂えたことなど、過去一切ない。
最近腹が出てきたとはいえ、特別へんな体形ではなし、
十分であろう。
しかし、こう考えてくると、黒の絽の羽織の
吊るしがないのか、捜してみる、という選択肢も
あったのではある。(ポリエステルはたくさんあるが、
本物の絽は、なかなかなさそうか。)

ともあれ。

むろんのこと、着物など、金を掛ければ切りがない。
そういう世界である。

今の私など、質よりは、量で勝負の方であろう。
また、いろいろ買っているうちに、ちどりやのご主人だったり、
今日の若主人だったり、相談のできる人もでき、
自分でも段々わかってくるもの、でもあるのだろう。

これで、一つ片付いた。



しかし、、暑いなぁ〜〜。

皆様も、お身体お大事に。





台東区東上野1−6−3

サカエヤ



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