断腸亭料理日記2010

2010年の、年越し その3

今日も昨日のつづき。
断腸亭の年越し、2010。

昨日は、大晦日、就寝まで。
今日は、元日の朝。



起きたのは、10時前。

元朝、起きて、まずするのは、雑煮のための餅を焼くため、
消えている、火鉢の炭火を熾すこと。

新しい炭を火熾しに入れ、ガスで熾す。

熾した炭は、火鉢にいけ、しばらく落ち着かせる。
落ち着いたら、餅網、

餅網は、大晦日のうちに内儀(かみ)さんが
出してあったのであろう。目につくところにあった。

しかし、昔から、この丸い網を、餅網、といっていたと
思うのだが、なぜであろうか。むろん、餅を焼くのには、
最も適した網である。だが、あたり前だが、餅以外にも
くさやの干物でも、なんでも焼ける。それなのに、
どうして、餅網、なのか。
そんなに、餅ばかり焼いていたのだろうか。

不思議ではないか。

を五徳の上にのせる。

ついでに、餅も三つ、出してあった。
いわゆる、シングルパック、と、いうやつで、
一つ一つ、袋を開けて、餅網の上に並べる。

この、餅を焼く、という作業が、なんだかんだいっても、
たのしい。

きれいに焼くのは、さほどむずかしくはない。
少しやれば、誰でもうまくなるであろう。

コツは、均等に炭火の熱が餅にあたるように、
マメにひっくり返すこと。

このひっくり返したり、熱のあたり具合を
考えて、場所をかえたりするのが、たのしい、
のである。

私の父親はなにより、餅、それも雑煮というのが、
大好きであった。

正月の朝、まだ温まらぬ、冷え切った、部屋。

子供の頃は石油ストーブであったが、
その上に、餅をたくさん並べ、真剣に餅を焼いている
父親の姿が、思い出される。


焦げ目などつけなくとも、食べる分には、
なんら支障はないのだが、やっぱり、軽く、
つけた方が、うまそう、に、見える。


焼いているうちに、内儀さんも起きてきて、
雑煮の準備を始める。

つゆの味を、確認するため、内儀さんが小皿に取って
持ってくる。

よい具合に焼けたら、餅を渡し、しばらくすると、
雑煮が出てくる。


鶏がらで、濃いめのしょうゆ味に、
鶏肉、里芋、小松菜、上から三つ葉。

毎年の雑煮だが、やっぱりうまいもの、で、ある。

なんの、文句もない、2010年平成二十二年庚寅の
正月、で、ある。








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