断腸亭料理日記2010
年が明けて、二日目。
今日は昨日のつづき。
年越し、で、ある。
昨日は、花ぶさのお節をあけて、5時ごろから、
呑み始めたところまで。
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その後、紅白。
紅白を見ながら、9時頃、さっき買ってきた、天ぷらで
天ぬき。
天ぷらは、海老と穴子。
火鉢の鉄瓶で菊正宗の燗酒。
11時頃から、
そばを茹でるために、湯を沸かし始める。
毎年のことだが、紅白の終了とともに、
着物に着替えて、氏神様である、鳥越神社に
初詣に出かける。
この前に、まつやのそばを食べる、ということにしている。
それで、11時から準備、と、いうわけである。
まつやの箱を開け、ねぎも入っているので、
最初にこれは切っておく。
ざる、そば猪口も出して、準備。
つゆは、まつやの缶入りのものが入っているので、
これを猪口に入れておく。
もう一つ、大事なものを忘れてはけない。
なにかといえば、そば湯、で、ある。
そばが茹であがると、鍋ごとざるにあけるが、
この時の茹で汁がそば湯。従って、茹で汁は
取っておかなければならない。だいたいにおいて、
大晦日のこの時間は酔っぱらっているので、そのまま
あけて、捨ててしまうことが、よくある、のである。
忘れないように、茹で汁=そば湯を、受ける
器も、流しに置いておく。
熱くしておいた、湯をもう一度加熱。
煮立ったところで、生そばを投入。
くっつかぬように、よく回す。
生そばは、すぐに茹であがる。
1分超、で、あろう。
手に取って、冷水で冷して、茹で具合を確認。
OK。
火を止め、ざるの下に、先に用意した、受けを起き、
ここに、あける。
OK。
あとは、なん度も水をかえて、手でもみながら、
よく洗う。
水をよく切って、ざるにそばを並べる。
ざるにそばを並べる、と、いうのは、ちょっとした
段取りがある。この通りにすれば、食べやすいし、
きれいにざるにのせられる。
一箸分を右手指でつまみ、上にあげて、
きれいに麺線を揃える。
左手を添えて、ざるの上に、きれいに並べる。
お分かりになろうか。
うちのざるは、横長の四角のものなので、
横に長く並べるが、丸いざるであれば、一か所に
かためて置く。
これはプロのやり方でもある。
一般のそばやでも、この一箸分ずつ置かれているので、
これを崩さないように箸でつまむと、
食べる時にもきれいに食べられる、
と、いうわけである。
まつやのざるそば。
これが、毎年、大晦日、家で食べられるのは、
やはり幸せなこと、で、ある。
食べ終わり、紅白も終わる。
シャツは着物用の襟首の広いもの。
股引もはいて、着物に着替える。
毎年着ている錆色というのか、焦げ茶の紬。
帯は紺献上。
足袋は白足袋。
羽織は、着物と揃いだが、濃い緑系の錆色。
襟巻をして、黒の鼻緒の雪駄。
懐手をして、内儀(かみ)さんと出る。
今年は、少し暖かいのでは、などと話しながら、
左衛門橋通りを歩く。
鳥越の商店街の通りを左に入り、鳥越神社の脇の路地に出る。
初詣にくる人々の列が蔵前橋通りに面している表参道から
このあたりまで、続いている。
毎年、このタイミングで家を出てくると、このあたりまで、
列はあり、最後尾につく。
さあ、ここからが、長い。
1時間はかかろうか。
暖かいと、思ってきたのは、大きな間違いで、
列に並んでいると、そうとうに、寒い。
着物用のコートというのもあるが、近所の氏神様の
初詣に着てくる、というのは、場違い、で、あろう。
それで、股引なんぞをはいて、襟巻もしているが、
羽織りだけでは、やっぱり寒い。
境内に入ってもさらに列。
各町内の役員さん達、これは、鳥越祭の運営組織、睦(むつみ)
と、同じ方々、で、ある。その2〜3人が、
それぞれの町会名の入った神社の半纏を着て、
整理にこられている。むろん、自分達の住んでいる町内の
名前の半纏も見え、鳥越神社が、自分達の氏神様であることが
はっきりと意識される。
お参りを終えて、金箔入りのお神酒、熱い甘酒もいただく。
熱い甘酒は、なにより、で、ある。
境内のイチョウの木から採れた、銀杏の実と、縁起ものの
小さな金の小判をいただく。
この金の小判は、ほんの1cm程度のもので、
私は自分の小銭入れに入れているのだが、毎年、
この年始に、新しいものに入れ換えている。
内儀さんが干支の置物、
それから、鳥越祭の写真で構成された、
神社のカレンダーを買い、帰途につく。
この帰り道が、また、寒い。
10分もかからぬはずだが、そうとうに長い。
三筋町の路地を真っ直ぐに北上。春日通りを越えて、
やっと帰宅。
寒かった、寒かった。
そのまんまにしておいて出てきた
火鉢の炭火を吹いて、熱くする。
熱いお茶を飲んで、やっと人心地。
寅の縁起物。
今年買ったのは、小さな土鈴、で、ある。
TVを眺めながら、
ここからもう一度呑み直し。
3時すぎ、就寝。
と、いうことで、今日はここまで。
つづきはまた明日。
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