断腸亭料理日記2010

2010年・断腸亭の夏休み

『モルジブ』その4

モルジブのフォーシーズンズ。
三日目。(朝飯は二日目)

朝飯はこの日から、レストランでのバイキング。
初日は部屋まで運んでくれたアメリカンフレックファストであったが、

レストランの朝飯は、かなり充実。


朝日の見えるビーチに面したプールサイドで眺めもよい。


内容は、欧米式朝食のソーセージやベーコン。
それから生野菜。むろん、パンもなん種類もある。
私は毎日、クロワッサンを一つ食べていたが、
うまかった。
(パン類はここで焼いているのだろう。)

また、やはり、朝からカレー一種類は、必ずあった。


(これは翌日)

(私は、手を付けなかったが、日本の味噌汁も
お約束なのであろう、豆腐などの具とともに、
置いてあった。)

少し意外であったのが、中華の充実ぶり。

上の写真は、少しわかりずらいがアルミの小さめの器に
入れて蒸してある、中華おこわ。手前が、焼きそば。
下の写真では、右側にある海老の点心。
その他、炒飯、野菜炒め、または、日替わりの汁麺なども
常時、揃えていた。

一昨年のドバイ、あるいは、昨年のモロッコでも
メニューとしての中華の進出を感じた。

東南アジアは華僑系住民も多くむろんのこと
であろう。その上、南アジア、中東あたりでは、
もはや中華料理はこうした欧米系ホテルでも
あたり前、のメニューになっている。

背景には、中国人客の増加、ということもあるのだろう。
事実、滞在中にも、あるいは、空港でも、
なん組もの中国人家族の旅行者を見かけた。
(必ず、家族、というのも彼らの特徴である。)

日本へもたくさんの中国人がくるようになっているが
モルジブに限らず、もう世界中のリゾートや観光地に
どこといわず、我々日本人がいるように、
彼らの姿もあるのであろう。
GDPはもはや追い越されたわけであるし、
急速に彼らが豊かになったのを、思い知らされる。

ちょっと余談であるが。

見かけるたび、どうして、あの人達は、ああも、
うるさいのであろうか、と、思ってしまう。
東京銀座の真ん中でも、スリランカのコロンボ空港でも、
ところかまわず怒鳴り合うほどの大声で喋り、
傍若無人にのし歩いているように、私には見える。

一方、しかし、で、ある。
よくよく考えてみると、こんなこともある。
ジャパンアズNO.1などという言葉の生まれるよりも随分前、
そう、30年程度前であろうか、日本人も、海外観光地などで、
欧米人に馬鹿にされていたではないか。
いわく、皆、眼鏡をかけて、首からは必ずカメラをぶら下げて、
どこへ行くにも、旗を立てて団体旅行、などなど。
誰もが通る道なのかもしれぬ。

私なども、中国人(韓国人などもそうだが)に海外で出会うと、
いろんなことを感じ、考えてしまう。
中国、朝鮮半島の人々とは、やはり、ちょっと、
我々日本人は、感情的には複雑な関係にあるのであろう。
我々が通った道なのであれば、もう少し時間が経てば、
彼らとも、今とは違うレベルで話ができるように
なるのであろうか。

閑話休題。

今日、午前はチェックアウトダイブ。

朝飯から戻り、日本から持ってきた20年も使っている
自前のウエットスーツに、マスク、フィン、ブーツの
三点セットを持って、桟橋そばのダイビングサービスまで
内儀(かみ)さんと向かう。

チェックアウトダイブをするのは、我々以外に、
もう一組の日本人夫婦。(我々よりも少し年配のよう。
彼らは、この後、モルジブでも南部にあるもう一つの
フォーシーズンズリゾートへいく、といっていた。)

日本人の女性インストラクターの指示で、1時間ほどであろうか、
レストランの目の前のビーチでマスククリアなど
基本のおさらい。

そして、単なるおさらいでだけでは、つまらなかろうという配慮か、
ビーチから、5〜6mほどの深さのところを少しまわってくれた。
このビーチの先にはサンゴの人工繁殖をしているところがあり、
その付近で、である。
直径2〜3m程度の平べったい円錐形をした鉄の骨組みに
小さなサンゴの枝を括りつけ、置いておくと、なん年かすれば
立派なサンゴの塊になる。

こうした取組みは、沖縄などの海でも行なわれているやに聞く。
ご存知の通り、近年、世界各地でサンゴを食べるオニヒトデの
大量発生や、海水温の上昇、などで、死滅する例が多く発生している。
モルジブでも、10数年前に、急激にサンゴ減った時期があり、
一番直近にきた時は、そこから少し回復した時期ではあった。

この砂地は、随分前からトライしていたものもあったのだろう、
もう既に立派なミニサンゴ礁になっているものもある。
砂地に作った、こんな人工のサンゴの塊でも、もう極彩色の熱帯の
小魚達が沢山集まっている。
さすがに、モルジブの海は豊(ゆたか)、で、ある。

チェックアウトダイブを終え、今日は、午後に
一本潜ることにする。

ここは、希望をすれば、午前2本、午後1本、さらに
ナイトダイブもやってくれる。人数もさほど多くないので
こういう自由がきくのであろう。
もっとも、費用は、1本でUS100$弱と、
まあ、相場よりはそうとうに高い。

午後は、1時に出発をする、ということなので、
水着も着ており、昼飯を食べずにそのまま出ることにする。

1時に、桟橋まできてみると、なんと、
この午後のボートは、我々2人に英国人の男性1人だけ。
午前のボートで出かけ人の方が多いのであろう。

ボートは、10人以上のダイバーは乗れる大きさ。
乗員は船長にアシスタント2人。
それから、ダイビングのガイドが、チェックアウトダイブをしてくれた
日本人の女性1人、さらにシンガポール人の女性1人。
3人のダイビングに5人がかりとは、贅沢な。

ポイントは、アクアリウムという名前のところ。
水族館、で、ある。
クダフラからは、すぐ。
以前にも、なん度も潜っているポイント、で、ある。
(以前は、クラブメッドから。)

リーフが比較的なだらかな斜面になっている。
この時期は、モルジブは雨季で、一般には透明度はよくない
といわれるが、私などには十分。
(最近、乱視がひどくなっているせいで、遠くなると
もともと、ぼやけて見えない、のではある。)

亀(ウミガメ)がいた、サメもいた。

サンゴはどうか。
7〜8年前よりはよりはだいぶ回復をしているようだが、
それでも、20年前に最初にここに潜った頃よりは、
まだまだ及ばない。
沖縄などもそうだが、以前のモルジブの基本は、
ソフト、ハードを含めて、コーラル(サンゴ)が
大きく育ち、びっしり、すき間なくあったはずであるが、今は、
サンゴのない岩もまだらに見えている。

しかし、やはり、ここがモルジブのすごいところ。

魚の濃さ。これは、やはり、半端ではない。
やはり、これは、世界有数、で、あろう。
午前のチェックアウトダイブの砂地の養殖サンゴ礁でも
小魚達が大量に棲んでいるのが見られたが、
多少でも、サンゴが回復してくると、そこはもう、
以前同様に、生き物達が活発に暮らすようになる。
十二分に、世界屈指のアクアリウム=水族館、で、ある。

以前、モルジブにきたときに聞いたのだが、
当時、サンゴの減少も、モルジブ人は、あまり心配を
していなかったという。長い間の彼らの経験では、
こういうことは、なん十年かに一度はあり、
いずれ、サンゴは戻る、と。

これは、むずかしい問題である。
海水温の上昇、地球温暖化による環境の破壊、等々があり
サンゴの人工繁殖の試みもなされている。
ダイバーとしてモルジブの海をどう守るのか、
人類として貴重な自然をどうとらえるのか、
どう付き合うべきなのか。
ちょっと、長くなるので、このあたりの考察は、
後回しにしよう。

今日のところはここまで。
またあした。








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