断腸亭料理日記2009
9月21日(月)
今日は、昨日のつづき。
秋刀魚、十本。
と、いうことだが、秋刀魚は、まだまだある。
むろん、鮮度が命、で、あろう。
さっさと、片付けねば。
二日目朝。今度は、酢〆。
押し鮨にしてもよいし、と、考えつつ、
二本、三枚におろし、両面、よく塩をふる。
以前に、秋刀魚の押し鮨などはよく作っていたが、
どうも、生ぐさくなることが多かった。
これは、脂が強い、ということが原因では
なかろうかと思う。
そこで、よく〆る。
二時間。
魚の酢〆、と、いうのは、塩をして水を抜き、
この水が抜けた分だけ、酢が入る。
段々このメカニズムがわかってきた。
生ぐささを減らすには、酢を強くすること。
よって、塩をして十分に水を抜くことが必要になる。
強く〆たければ、塩をする時間を長くすればよい。
以前住んでいた、葛飾立石の魚やの親父には、
一昼夜、などとも教えられた。
ただ、問題は、塩をして長時間になればなるほど、
塩味も強くなってしまう。
この場合は、もう一度水に浸し、塩を抜く、と、
いうのであるが、これが、よくわからない。
水に浸せば、また、水が入ってしまいそう、ではないか。
ともあれ。
強めの塩で、三時間では長く、
塩が強くなってしまいそう、で、ある。
そこで、今日は、朝から、二時間、ベランダに出しておく。
二時間あれば、見た目にも、
水はだいぶ抜けているのが、わかる。
一度、水洗い。
ペーパータオルで、水気をふき取る。
ここで、神田鶴八で教えられた、小肌の〆方。
酢に浸す前に、酢洗いをする、という方法。
メカニズムはよくわからぬが、生ぐさくならない、と、いう。
秋刀魚でこれがあてはまるのかどうか、わからぬが、
やってみよう。
ボールの中で、酢をかけながら、洗う。
漬けるための酢。
砂糖はほんの少し。
パッドに半身四枚、ヒタヒタに漬かるくらい。
ここから、全体に、酢がよく入って、
均一に、白くなるまで。
途中、ひっくり返し、これも二時間ほど。
小肌の場合は、酢からあげて
水気をふき取り、ざるに並べ、干し、
食べ頃は翌日。
と、いうことで、秋刀魚の場合もそうしてみる。
酢からあげて、またまたペーパータオルで酢をふき取り、
ざるにのせ、フワッと、ラップをかけて、
冷蔵庫に入れておく。
さて、夜。
〆た秋刀魚をどうするか。
秋刀魚飯もまだ残っているので、押し鮨はやめて、
ぬた、を、思い付いた。
秋刀魚のぬた、というのは、あまり聞いたことがないが、
むろん、いける、で、あろう。
長ねぎを4〜5cm、さらに、縦に1/4に切って
ほぐしておく。
火の通り具合を揃えるため、で、ある。
ほぐしたねぎは、ざるに並べておく。
薬缶に湯を沸騰させる。
私の場合、茹でるのではなく、熱湯をかける。
この方法が一番よさそうである。
保冷剤を入れた、冷水のボールも用意しておく。
湯が沸騰したら、一気にかける。
そして、すぐに、流水にさらし、さらに、
用意した、冷水に入れる。
冷えたら、ざるにあげておく。
〆た秋刀魚を冷蔵庫から出し、切る。
切り口をみると、真ん中にほんの少し、生の部分が
ある程度。
よい加減であった。
水を切ったねぎを、ペーパータオルで、潰さぬように、
ふんわりと、かつ、十分に、なん度か紙をかえて、水気を取る。
酢味噌は、今日は、八丁味噌に信州味噌、1:2ほど。
砂糖と、酢。
秋刀魚は味が強いので、西京味噌では上品すぎるであろう、
と、考えたのである。
西京味噌+八丁味噌の場合は、砂糖はいらないが、
信州味噌では塩辛くなりすぎるので、砂糖を加える。
(と、いうことは、塩分はそうとう強い、のであろうか。)
盛り付け。
どうであろうか。
きれいに盛り付けられた。
あ、きれいはいいが、皮を引くのを忘れた。
だが、これは、うまいぞ。
わさびじょうゆでは、生ぐさかったかもしれぬが、
濃いめの酢味噌はちょうどよい。
ぬた、に、したのは、正解であった。
一匹は平気で食べられる。
さて。
あと、二本残った。
わるくなるので、内儀さんに、
三枚におろしておくように頼む。
食べたのは、翌朝。
イタリアン、というほどのものではないが、
塩胡椒をし、にんにくとオリーブオイルで、
ポワレ、と、いうのか、両面を焼いてみた。
本当は、皮目をパリッと焼きたかった。
テフロンのフライパンでやったのだが、
それでもくっついてしまった。
なかなかむずかしい。
以上。
秋刀魚、十本。
食べでがあった。
よくよく考えると、秋刀魚というのは、
長いので、例えば、真鰯十匹と比べれば、
量は二倍にもなるかもしれぬ。
刺身、秋刀魚飯、つみれ、塩焼き、酢〆(ぬた)、ポワレ。
300円でこれだけ楽しめれば、御の字、で、ある。
しかし、それにしても、
三日間、食べ続けることになった。
これだけ秋刀魚ばかり食べると、
我ながら、身体から、秋刀魚のにおいがしてきそう
で、ある。
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