断腸亭料理日記2009

秋刀魚、十本 その1

9月20日(日)

さて。

連休二日目。

第一食、ラーメンが食いたくなり、御徒町駅ラーメン横丁の
青葉。

そこから、毎度お馴染み、アメ横。
秋刀魚かなぁ〜〜と、思って、
きてみると、やっぱりあった、秋刀魚。

今、どこのスーパーでも、魚やでも、むろんあり、
安いのだが、アメ横を、あなどってはいけない。
なんと、一山、10本、300円。

一本、30円。

今年、秋刀魚は、例年になく、豊漁であるという。
しかし、スーパーなどでは、100円、あるいは、110〜130円。
安いと、80円、78円、程度までであろう。

さすがアメ横。

先日、目黒の秋刀魚記念で、秋刀魚を食ったが、
もう一度、今度は、徹底的に秋刀魚を食い尽くそう。
秋、満喫、か。

帰宅し、開けてみる。

格安であったので、別段期待はしていなかったが、
ものは、なかなかよさそう。

秋刀魚というのは、むろん、網で、
文字通り一網打尽に獲る、のであろう。
それで、なかには、傷が付いているのもある。
100円程度、安く売られているものは、こうした一網打尽もの
であろう。

最近は、刺身用、鮨用に、一本一本丁寧に扱い、
傷も付けず、ブランド化しようとしているものもある。
こうしたものは、一本300円、あるいは、初物ならもっと
高く出ていた。

今日買ったものは、10本もあるので、傷のあるものも
あるが、丸々と太ってもいるし、鮮度もよさそう。

安くとも、こういういいものがあるのなら、
一本300円の秋刀魚、というのは、やっぱり、
なんであろうか、と、思えてくる。

秋刀魚とは、本来安くてうまいもの。

漁師の方々からすると、安すぎて、燃料代も出ない、
ということもあろう。従って、適正な価格の維持ということも
必要ではある。

しかし、秋刀魚くらいは、安くて(適正価格で)うまいもの、で、
あってほしいと、思うのである。

と、いうことで、
まずは、刺身におろしてみる。


引いた皮は、中骨とともに、塩焼。
予想通り、べらぼうに、うまい。

なまぐさくもなく、よい脂。
焼いた脂とはまた違うもの、で、ある。
生の脂はさっぱりと感じるのが、不思議。

また、秋刀魚は、腹や皮の内側に、大量の脂があるので、
皮も焼いたが、これもうまい。

内儀(かみ)さんも食べ、もう一本。

次は、秋刀魚飯。
これは、もともとは、池波レシピ
で、あったが、もはや、ちょと違うものになっているか。

米を研ぎ、酒、しょうゆで、少し濃いめの味を目指し、
水加減する。

十二分に浸水。(二時間以上。)

浸水ができたら秋刀魚を二本白焼き。
鮎飯は、間違いなく、腹は抜く、のが正解であるが、
秋刀魚の場合はどうするか。

一般に、秋刀魚のはらわたは、食べるものであろう。
私は最近まで、食べる習慣はなかったのだが、
食べてみたら、うまかった。
で、このところは、食べるようになっている。

有名な佐藤春夫の、秋刀魚の歌

・・・さんま、さんま、さんま苦いか塩つぱいか。・・・

は、皆さんご存知であろう。

秋刀魚のはらわたは苦いことは苦いのだが、
脂がたっぷりとあるせいか、十分に、うまい。

今日は、抜かずにやってみた。
白焼きをした秋刀魚は、浸水した米の上にのせ、
そのまま炊く。


飯、と、くれば、今日は、おつゆも作ろうと
思い立つ。

なにかというと、つみれ。

二本を三枚におろし、叩く。

今日の秋刀魚は新鮮そうなので、このまま、なめろうにも
なりそう、と、思いながらも、生姜をおろし、加える。

鍋に水を張る。

普通、つみれは、煮立ってから、団子にして入れるが、
出汁がよく出るように、と、考えると、水から入れた方が
よいのか。

今日は、そうしてみる。

煮立ってくると、灰汁が出る。
むろん、灰汁はすくう。

これ、どうなのであろうか。
煮立ってから入れても、灰汁は出てくる、はずであろう。
だが、水からの方が、時間が長い分、より灰汁が出そうである。
(本来、プロの仕事であれば、出汁は別に取り、
つみれはつみれで、別に作って入れるのではあろうが。)

ともあれ。
ある程度、煮込んだら、味見。

うわっ、、、。

そうとうに、生ぐさい。

これは、味噌だ。

火を止め、味噌を溶き入れる。

もう一度、味見。

不思議なものだが、味噌汁にすれば、これは

そうとうにうまい。

秋刀魚飯も、炊きあがり、骨を取って、
身を混ぜ込む。

盛り付け。秋刀魚飯には、海苔も。


漬けものは、すぐき。

やっぱり、はらわたを入れると、多少
苦味というのか、生ぐさみが出てしまう。
これは、やっぱり、抜いた方が、上品かも知れぬ。

だが、秋刀魚の脂が飯に染みて炊きあがり、うまい。

つみれの味噌汁も、上々。
(これは、冷汁としてもよいだろう。
冷えても、うまそうだ。)

さて、翌朝。

これは、日曜の午後から、涼しくなってきたので、
食べたくなり、煮ておいた、おでん。
これと、秋刀魚の塩焼き。


むろん、うまい。

が、これだけ食うと、さすがに秋刀魚も、飽きてきた。
しかし、まだまだあるぞ!。

今日は、ここまで、つづきはまた明日。






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