断腸亭料理日記2009

西浅草・関西すし・

468(ヨーロッパ)その1

10月18日(日)夜

さて。

引き続き、日曜日。

夜は、どうしようか。
西浅草のそばや、おざわ、は、どうか、などと考えみる。

いや、待て。

ふっと、思い出したのだが、同じく、西浅草の
468、と、いう関西ずしの店。

いつできたのか、さ程前ではないのだろう。

これより前から、知っていたのだが、
少し前のアド街でもやっていた。

一度、店の前までいってみたことがあるのだが、
この時は、休みであった。

468とは、ヨーロッパと読ませるらしい。

ご主人は、京都の有名すし店、すし岩で、修業をした、という。

なぜ、こんなヘンな名前なのか。
これは、覚えてもらいやすい、ということらしい。

以上は、事前情報。

しかし、なんで、あんなところに?
という場所である。

西浅草と、浅草が町名についているとはいえ、
合羽橋道具街北の端っこ、それも一本東に入ったところ。

台東区生涯学習センター(図書館)のそば。
言問通りもすぐ近く。
TXの浅草が最も近いが、特段繁華なところではなく、
飲食店の立地とすれば、そうそうよい、とはいえなかろう。
入っている建物も、前はなん度も通りかかったことはあるので、
知っていたが、まあ、お世辞にもきれいなものではない。

電話番号は、非公開ということになっているので
いってみるしかない。

5時半前、内儀(かみ)さんとともに、自転車で出る。

新堀川通りから、菊屋橋交差点、
道具街を抜けて、合羽橋北の信号の一本前を
右に入り、一本目を左。

左側。

灯りは付いており、白い暖簾も出ている。
格子を開けてみようと、手をかけると、
格子に、小さな貼り紙がしてある。

「本日、穴子を切らしております。」

開けると、先客はおらず、小上がりの座敷で、
ご主人らしき若い板前さんが、品書き、でも書いていたのか、
なにか、作業をしていた。

あの、二人なんですが。
と、私。

あ、、、。

と、あわてて、片付けで、

穴子を切らしておりまして、
私の修行不足で、、、、。
と、ご主人。

あ。はい。いいですか?。

あっ、はい。どうぞ。

なにか、好感が持てる若いご主人。

カウンターに座る。

あの。
と、ご主人。

すし、は、これしかないんです。
と、大きなプラスチックの容器に入れたのを
指差す。

関西のすしは、江戸前とは違い、あらかじめ
仕込んだものを、出す、ということであろう。
既にできている。

あ、はい。いいです、いいです。

と、いうので、一先ず、ビール。
スーパードライの大瓶。

どうしようか。
品書きは、奥の壁に貼ってあるのだが、
初めてだし、おまかせ、にしてもらおうか。

だいたいにおいて、江戸前鮨や、なら、
つまみに魚を少し切ってもらって、あとはにぎり、
ということになるが、勝手がわからない。
(おそらく、割烹のように、料理なん品かが出て、
最後に関西すし、と、いうことであろうが。)

おまかせにしてほしいと、頼むと、
なにか、これを入れてほしいというのが、
ありますか?

私は最近とみに目がわるくなり、よく見えぬので、
席を立って、壁そばまで行って、見る。

はもの小鍋、と、いうのがあった。
これ。

内儀さんは、いちじくの胡麻がけ、というのを
頼んでみる。

おひたしが、でた。


おまかせ、に、してしまったが、
内儀さんと、財布の中身を見比べ、
ちょっと、心配になってきた。
急遽、言問通りのコンビニのATMまで、、。

帰ってくると、もう一組、二人組の
お客が増えていた。

刺身。


いかにまぐろ、それから、たこ。
いかは、するめいか、という。
細かい包丁目が入っており、するめいかとは
思えぬくらい、柔らかく、あまい。

うまいですね、と、いうと、
するめいかは、包丁目を入れれば入れるほど、
おいしくなるんです、とご主人。
やはり、京都風の仕事、で、あろうか。

たこも、自分で茹でているのか、うまいし、
まぐろも、上々。

はもの小鍋がきた。


シュウシュウと、煮立っている小鍋のふたを開ける。
おお。香りがよい。
このキノコは、椎茸ではあるまい、松茸?。

モロッコ産です、と、ご主人。

モロッコ産は、私も、最近、吉池の八百屋で
買おうかどうか迷ったのだが、最も安いのではなかろうか。
モロッコは、この夏、いったばかり。
いか、たこはたくさん輸入しているが、松茸も
そうであった。

はも。

はもは、夏のものかと思っていたが、
これもご主人に聞くと、今頃までですね、と。
脂はあるのだが、皮がだんだん厚くなってきて、
今頃の鍋が最後らしい。

出汁もうまい。

モロッコ産とはいえ、はも入りの土瓶蒸しのような
もので、なかなか、贅沢では、ある。

やはり、すしや、と、いうよりは、
京都の板前割烹、という趣き。

長くなるので、今日はここまで。
つづきは、また明日。





468
東京都台東区西浅草3-23-14




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