断腸亭料理日記2009

小肌

引き続き、まだ、連休。
ご容赦を。

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5月6日(水)午後

先日の、新橋の鮨や、しみづ

この回で、小肌のにぎり方、
そして、小肌そのものの魚としての大きさ、
のようなことを書いていた。

小肌というのは、ご存じの方も多いだろうが、
大きさによって、名前が変わる。
生まれたばかりのものを、新子。
(まあ、これは、新子泥鰌などという言い方もあるように、
他の魚でもいう言葉だが。)

鮨の場合、この頃は、開いた一匹を4枚とか5枚とかで握る。
新子は、10cm程度未満をいうらしい。

そして、小肌。
10cm程度だと、開いた一匹をまるまる使って、
にぎる、丸づけ。
これより大きくなると、半身でにぎる、片身づけ。
小肌と呼ぶのは、15cm程度まで。

この上が、なかずみ。
17cm以上が、このしろ、で、これが成魚。
(毎度、参考にさせていただいている、
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑より)

こいうことらしいのだが、私は、そういえば、
小肌を自分でさばいたことはない。

しみづ、の、回に、小さめのものを半身を
二枚にして、にぎっている、と、書いたが、
ハテ、本当にそうなのか、自信がなかったのである。

問題は、小肌の大きさ。
よく、正月用に、大きくなった、このしろ、の酢〆が、
売られているが(あれは、まあ出来合いのもので、
パサパサしているだけ、だが、)大きくなると、
やはり、味はやはり、今一つ、ではあろう。

小肌というのは、繊細な魚、のように思う。
なにが繊細かというと、香り、で、ある。
新子の時が、この香りが一番強い。

大きくなると、段々に香りが薄くなる、のか。
このあたり、実際に、にぎられているのが、
元々は、どのくらいの大きさなのか、知らない。
ハテ?。と、いうことであったのである。

それでは、実際に、確かめてみようか。

小肌は、いつも、吉池にいけば、売っている。
昼過ぎ、雪駄を突っ掛けて、自転車で、出かける。

きてみると、重さで売っていた。熊本産。
5匹、300円。
一匹、60円。

は、はー。

意外に安いものである。
知らなかった。

帰宅。

開けてみる。


このくらいの大きさ。
10cmちょい、で、あろうか。

15cmにはいかないので
先ほどの定義では、まぎれもなく、小肌。

一匹でつける(にぎる)には、少し大きいか、
というサイズ、だろう。

おろす。

あ!。

普通に、三枚におろしてしまった。

普通小肌は、腹開きでひらいて、中骨を取った状態に
するのであった。

開き、は、普段あまりやらないのである。

頭を落とし、腹を開き、はらわたを出す。
ここまでは、三枚と同様。
ここから、頭側、中骨の上に腹側から包丁を入れ、
中骨に沿って、尻尾まで、包丁を入れ、上側の身を外す。
これで開ける。
そして、今度は、中骨の下に包丁を入れ、尻尾まで
中骨の下を包丁を滑らせ、下側の身から、中骨を外す。
そして、最後、中骨を尻尾直近で、切り落とす。
そして、包丁を寝かせ、ハラスの部分の骨を薄く切り取り
完成。
(これは、習ったわけではないので、完全な自己流、で、ある。)

5匹全部開く。


さて、ここから、小肌を〆る。

塩、で、ある。

表裏両面、普通に、塩をする。
塩をする時間は、20〜30分、らしい。

金網のようなものにのせて、置いておく。

20分で、やめてみる。
一度、洗う。
水をかえて、もう一度。

いいかな。

一度、水分を拭き取る。

今度は、酢に漬けるのだが、その前に、一度、酢洗い。
これは、例の、鶴八の先代親方、師岡氏が書かれているのを
真似てみた。
こうすると、生ぐさくならない、ということ、で、ある。

酢洗いし、もう一度、水分を拭き取り、
今度は、漬け込み用の酢に漬ける。

味付けは、ほんの少し、砂糖と塩。

漬け込む。


長さは、色が変わったら、というのが、目安、らしい。

小肌、というのは、鯵よりも水分が少ない。
また、鯖よりも身が薄い。
時間は、少なくともよさそうである。

すぐ白くなり、1時間ほどで、中まで完全に、白くなってきた。

プロは、ここから、干す。


ざるに立てかけた、こんな感じ。
鶴八は、一晩は置く、らしい。

やっぱり、見ていると、だめ、で、ある。
すぐにでも、食べたくなった。

味見。
切って、みようか。
ついでに、谷中もあったので、出して、冷酒(ひやざけ)と。


ふむふむ、うまいぞ。
時間を置かなくとも、いける。

脂もあって、うまい。
酢洗いの効果、なのかどうかは、わからぬが、
生ぐさくもない。

さて。

深夜、酢を切ったのを、本格的に、食べる。


内儀(かみ)さんにも食わせたが、
問題はないようだ。

結局、残っていたもの、全部、一度に
食べてしまった。

さてさて。

小肌の酢〆、私は、あまり、にぎり以外では、食べない。
酢飯とともに、にぎった、にぎりが、
ベストの食い方、なのだろうと、思っている。

だが、これはこれで、十二分にうまいし、
いくらでも食べられる。
(押し寿司、に、すると、どうなのだろうか、
なんという、疑問もまた出てくるが。)

そして、最初の大きさの問題。
例えば、もっと大きい、このしろ、と比べてもいないので
よくわからない、というのが、本当のところ。

しかし、先日の、しみづ、のにぎりは、やはり、
今日のものよりも、もう少し小さい。
一匹丸づけ、できる程度の大きさだろう。
(そういう意味では、あの時に同時に出した、一心のものも、
同様だろう。あれは、丸づけ、と、ってよいのだろう。)

鯵や、鯖で、酢〆はいつも悪戦苦闘していたが、
小肌は、意外に、簡単か、、、?

(と、なめていると、また、墓穴を掘りそうだが、、。)

安いし、またやろうか。




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