断腸亭料理日記2009
3月2日(月)夜
さて、またまた、夕方から大手町のMDB(マーケティングデータバンク)。
どうも、あまり、こいう行動ばかりをしていると、
こいつ、ヒマか!?といわれそうだが、
たまには許していただこう。
どうせすぐ、忙しくなるのである。
先日は、日本橋のおでんやお多幸へ、いった。
今日は、そのすぐそばの、やぶ久。
蕎麦や、で、ある。
永代通りを日本橋方向へ。
JRをくぐり、呉服橋の交叉点。
天気はいいのだが、ものすごい風、で、ある。
特に、このあたりは、最近の再開発で高層ビルが増えたのも
大きな要因であろう。
ふと、見ると、後ろの角に証券会社のビルの入り口がある。
あまりにも風が強く、寒いので、
その玄関の自動ドアの中へ、避難させてもらう。
そこから信号が見えるので、青に変わると、
ちゃっかりと、出る。
外濠通りを渡って、、、。
路地を右に入ると、もう到着、で、ある。
まだ早く、お客はいない。
、、、その上、お店の人も、みえない、、。
暖簾は出ているので、営業はしているのだろうが、、
と、奥の調理場をのぞいて見ると、、ご主人らしき方がおり、
二人で、目が合い。
あ。
あ。、、、いらっしゃいませ。
どうぞ。
と、いうことで、
調理場に近い、一番奥の席に座る。
まずは、お酒、お燗で頼む。
と、それから、いつものように、天ぬき。
ここは、いつも季節のもののかき揚げを
メニューにのせている。
これを、メニューにはないが、天ぬきにしてもらう、
というのを私は、ここの楽しみにしているのである。
天ぬきといえば、浅草雷門の、並木藪。
私にとっては、ここのものが最近のスタンダード、で、ある。
芝海老のかき揚げなのだが、濃い目のつゆ、
ドカンと、つゆに入った、丸くて厚い、かき揚げ。
薬味さえも添えられていなかったように思う。
このぶっきら棒さが、よい。
これが好きになって、いろんなところで
天ぬきは、頼んでみている。池の端藪は、すまし汁。
神田まつやは、ちょっと大きめのさいまき海老の天ぷら二本。
それぞれだが、やっぱり並木藪のものがよい。
そして、ここ、日本橋やぶ久。
季節ごとにかえている、かき揚げを、天ぬきにしてもらう。
これが、その、ちょいと、よい、のである。
今日はなにがあるかな、と、メニューを見ると、
富山湾の白海老と小柱。
これは、おもしろそうかも。
もう一度、暖簾を分けて、調理場へ顔を突っ込んで
ご主人に頼む。
できるだろうと予測しつつ、しかし一応、メニューにはないので、
『白海老と小柱のかき揚げ』は天ぬきにできますか、
と、尋ねる形で、頼む。
はいはい、できます。
と、ご主人。
お酒がきた。
お通しが、ここはなぜか、昆布巻き。
いつもそうだったかは、覚えていないが、
少なくとも、二回以上は出てきていると思われる。
きたきた、天ぬき。
箸でくずしながら、つゆとともに、レンゲですくって、食う。
ふむふむ。
うまい、、、
のであるが、問題は、白海老、、。
殻付きのまま、揚げている。
むろん、白海老は、殻を取らずに、そのまま揚げる、もの
ではあると思う。
(きっと、富山でもそうだろう。)
静岡の桜海老なども、もちろん、そのまま揚げる。
しかし、白海老の場合、なにか、引っ掛かる、のである。
桜海老よりも、大きいのか、殻が厚い?
どこであったか、観音裏の鮨や、一新だったと思うが、
かなり細かい作業であろうが、
ここは、殻をむいて、身だけを取り出して、
つまみに出していた。
(じゃあ、かき揚げも、むいて揚げるのか、というと
それもあまり考えにくいのか、、。
と、すると、白海老かき揚げは、東京の蕎麦やの
天ぬきには、相性がよくない、のか、、。
いろいろいうなら、ここには、ノーマルな芝海老のかき揚げも
あるのだから、それを頼め、では、ある。)
ともあれ。
うまいことは、間違いない。
ひとしきり、天ぬきをすすり、酒も呑む。
終り、がみてきたところで、もりそばを頼む。
微妙なところだろうが、
ここのそばは、藪系としても、腰が強め、なのかもしれない。
歯応えが微妙にある、ように思われる。
うまかった、うまかった。
いろいろいうようなものの、
みんな、うまさ、の範囲、で、ある。
勘定をして、出る。
日本橋やぶ久。
老舗系で、木鉢会にも入っているが、決して、誰もが知っている
有名店ではなかろう。
だが、私にとっては、くるたびに違う、季節の
かき揚げで、いろんな天ぬきを食える、というのよいし、
むろんそばも、うまい。
仕事も丁寧。
東京の蕎麦やらしい折り目正しさもあり、
かつ、日本橋の裏路地という場所にあり、
敷居も高くなく、気取りもなく、ゆっくりと酒も呑める。
稀有な、よいそばや、で、ある。
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