断腸亭料理日記2009

柳橋美家古鮨の、こと

3月25日(水)夜

またまた、鮨、で、恐縮であるが、
まあ、ここまでくれば、逆に、いくところまで、
いってみても、おもしろいかもしれない。


仕事帰り。

腹が減り、柳橋の美家古鮨、浅草橋の駅の高架下の
立喰、に、寄ろうと、思い立つ。

あのくらいの値段だと、毎週でもきたくなる。
まあ、安い、というのもあるのだが、
土曜日いった、神田鶴八の影響でもある。
結局、柳橋美家古系に、はまってしまった、ということ
かもしれない。

左内坂を降りて、靖国通りを渡り、市ヶ谷駅。
総武線に乗って、浅草橋、まで。

先頭の改札を出て、階段を降りて、右に曲がり、
ガードを潜り、線路の向こう側にさらに回り込む。

きたきた。
柳橋の美家古鮨の立喰処。

戸を開けてみると、今日は、お客はいない。

またまた、ご主人と差し、で、ある。

お酒をもらう。

ここのお酒は、なんと、ワンカップ大関。
湯沸かし器のそばに置いてあり、
いつも、燗がついている。

カパッと、開けて、呑む。

さほど、種類があるわけではないので、頼むものは、
決まってしまう。

ワンカップをちびちびと、やりながら、
つまむ。

つまんでは、備え付けの水道の蛇口でから水を出し、
手を洗い、ポケットから出した手拭いで拭く。

マグロ、いか、小肌、鯖、鰯、たこ
やっぱり、穴子、それから、塩むし。

どれも、うまい。
小肌もよいし、穴子はとろけるよう。

塩むしは、甘いたれはつけないで、もらってみた。

やっぱり、そのものは、甘くはない。

(どうしているのか、もう少し、今度聞いてみよう。)

最後に、鉄火巻を、頼んでみる。
ここでもらうのは、二回目か。

太く巻いたもの。

三つぐらいに、切って同じようにステンレスの
つけ台に置いてくれる。

ここで、ちょっと、ご主人に聞いてみた。

鉄火巻、太いんですね。

あー。
巻簀(まきす)もありますよ!

と、ご主人。巻簀を出して見せる、、。

いやいや、いいんです。
これって、美家古鮨さんのものなんですよね。
本店にも、ちょっと前にいったんです。

あー、そうなんです。

と、ここから、ちょっと、ご主人と
話し込んでしまった。

私は、神田の鶴八にもいってみたこと。
あそこも、鉄火巻は、太いということ。

柳橋美家古鮨の鉄火巻は、柳橋の先代の親方が
「やっぱり、これじゃなきゃ、だめだ」というので、
昔から、ずっとこう。

海苔の大きさは普通のようだが、
酢飯をたくさん入れて、マグロも2〜3倍入れて
手で巻いてある。(つまり、今、普通に出ている
手巻き、の大きさではないが、形は手巻き、で、ある。)

そして、ここ、立喰、は本店の経営で、
ここのご主人もむろん、柳橋美家古鮨本店で
修業されたとのこと。
(ちなみに、駅の北側の浅草橋店も本店の経営。)

そして、話は、先代の柳橋美家古の親方のことになった。

九十以上も長生きされたらしいが、さすがに、
今はもう他界されている。
それでも、ここのご主人が柳橋で修業中にも、
先代親方は引退はされていたが、
たまには、つけ場に出てこれられることもあったという。

「それがね、かっこいい、んですよ。
着物を着てね、こう、斜めに赤い襷(たすき)をして。
私らは、もう着物は着ないですが、憧れましたね。」

むろん、リアルでは知りようがないが、
それでも、私なりに目に浮かぶようである。

「着物は、紺ですよね」
「ええ」

なるほど。
紺の着物、筒袖(つつそで)、で、あろうか、、に赤い襷。

粋、を、絵に描いたようであったろう。
花柳界柳橋の鮨やの親方、らしい、拵(こしら)え、、、。

よい話を聞かせていただいた。

お勘定、3000円、をして、出る。



ぶらぶら歩いて、元浅草まで、帰宅。




TEL:03-3861-4481
住所:〒111-0053 東京都台東区浅草橋1丁目17−1





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