断腸亭料理日記2009

柳橋二丁目・中国料理・馥香

3月28日(土)夜

さて、夜。

一日、仕事をしていたのだが、
夜は、内儀(かみ)さんの希望で、中華。

と、いうのだが、中華というのは、今、私にとって、
ここ、という店がそう多くなくて、困っているのである。

むろん、町の中華や、というのは、ある。
また、有楽町の慶楽なんという、オーソドックス、というのか、
昔からある、東京中華というのか、
そういうところもある。

あるいは、銀座であったり、ホテルに入っていたりするような
名前もあり、値も張る、高級店、と、いうのもあるが、
それはそれで、そこまでいきたいですか?とも思ったりする。

近所で、手頃な値段で、なおかつうまい。
そんな中華やが、なかなか、手持ちにない、のである。
(まあ、基本的に、私の志向として、あまり、中華というのが
例えば、和食に比べ、少ない、のかもしれない。)

そこで、今日は、少し開拓、と思い、浅草橋、というのか、
柳橋二丁目、蔵前通り(江戸通り)沿いにある、馥香という店。

馥香はフーシャン、と、読むらしい。
まあご近所、でもあるので、存在は知ってた。

最近できたのだが、ヌーベルシノワ?、の気鋭?、として、
各種ガイド本にも紹介されている、話題の店?
そんなところ、か。

高をくくっていたが、18:30頃、出ようという直前、
一応、TELをしてみると一杯、という。
やはり、人気なのである。

20時頃には、あきそう、ということで、
まあ、近所でもあり、それでもいいか、と
予約をし、家で待つことにする。

TELで、近所だというと、じゃあ、早めにあけば、
TELをくれるともいっていた。
と、19時すぎに、連絡がきた。

よし、と、いうので、出る。
今日は寒いので、ワンメーターだが、、タクシー。

場所であるが、この店は、実は、目立たない。
ちょっと行きすぎてしまった。

蔵前通りの、南に向かって、左側。
ちょうど、須賀神社の前。

江戸の地図。


現在のここの町名は、柳橋、で、あるが、
実際のところ、例の花柳界で栄えた、柳橋は、総武線の南が中心で、
このあたりは、そういう意味での、柳橋、ではなかったと、いえよう。
感覚的には、柳橋ではなく、蔵前、で、あろう。

旧町名では、須賀神社の、浅草須賀町か、同瓦町。
上の、江戸の地図でいえば、浅草御蔵の堀が南側に
張り出しているあたり。

この店、馥香、が、目立たないのは、大きな看板のようなものが
あるわけではない、からなのである。
やはり、ヌーベルシノワで、お洒落、を、狙っている、のであろう。

ビルの一階。

ガラスの大きな扉、その前にメニューが出ていたりする。

入って、名前をいって、席に案内される。
店内は、なるほど、ほぼ満席。
天井が高く、明るい。

店奥の調理場も、ガラス張り。

客層は?、、、

こんな場所に似合わず?、オハイソ、な、感じ。
ワインなどを傾けつつ、、ですか。

へー、なるほどね。
(なにがなるほどか、よくわからぬが、、)

内儀さんと二人で、盛んに感心する。
なぜ、ここなのか?
ヒルズにでもあれば、三倍はしそう、、。

、、、ともあれ。

ビールをもらい、メニューを考える。

コースでもよさそうだが、
ここは、どれも単品で、うまい、という。
そして、手打ちの麺もうまいらしい。

と、いうことで、噂を含め、メニューからいくつかを選ぶ。

まずは、メニュー名を忘れてしまったのだが、
豚ばら肉の、揚げたもの。


きれいな盛り付け。さすがに、ヌーベルシノワ?
皮側に衣が付いていて、そうとうに、カラっと揚げられている。
添えられているのが、甜面醤と、透明なのは、レモンの甘酢。
この揚げ技は只者ではない雰囲気、で、ある。

内儀さんの希望で、青菜炒め、雲南ハム。


これだけ鮮やかな色の青菜炒め、というのは、初めて見た。
炒め具合、食感もシャキシャキ。
中華でハムというと、金華ハムが有名で、雲南ハム、というのが
どういうものか、知識はないのだが、けっこう塩分が高い。
塩味がわり、という意味合いもあるのだろう。

それから、うまい、と噂の、牛乳の天ぷら。


アップ。


アイスクリームの天ぷら、というのはどこかで
聞いたことがあるが、そういうものなのか、、。
食べてみると、ふわっとしている。
味は、、あまり甘みはなく、、そう、、練乳、コンデンスミルク、の
ホイップしたもの、という感じである。

添えてあるのが、梅ソースと、クミン塩。
梅ソースは、あまり甘くない、梅ジャムという感じ。
クミン塩は、文字通り、クミンと塩を混ぜたもの。

うにとチーズを鶏で巻いたもの。


米粉、の、ようなもので衣を付けて、揚げてあるよう。
うに、というのは、存在感がなかったが、さくっと歯触りがよく、
うまい。

これも、添えてあるのは、同じ、梅とクミン塩。

麻婆豆腐。


これは、ちょっと、おもしろかった。
味は、基本的には、ノーマルな麻婆豆腐といってよいのだが、
味の作り方が、さすが、という感じである。
まず、ウイエイター氏が説明をしてくれたのだが、
青と赤の山椒を使っている、と、いう。

食べてみると、そうとうに、痺れる。
麻(マー)が、強力。

この痺れは、中国の山椒、花椒(ホワシャオ)。
青と、赤、というのは、なんなのか、わからない。
花椒の種類なのか、、。

麻、だけではなく、辛味もなかなかに強い。

食べていくうちに、気が付いた。
これだけ、麻、が強いのに、花椒自体は、見えない。

わかった。
これは、油に、移しているのでは、、。
(前に、なにかのレシピをみて、自分でやってみたことがあった。)

さすがに、技を使いこなしている。
ヌーベルシノワでは、もはや当たり前か、、。

食べているうちに、味自体も濃いことに気が付き、
内儀さんが、ご飯をほしがり、もらう。
飯にも、むろん、合う。

なかなか、充実の麻婆豆腐。
私には、最近にない、ヒット。

最後に、麺。


削った、いわゆる刀削麺と、伸ばした
山西省流手延べ一本麺、というのから選ぶ。

一本麺を選んだ。
スープは澄んだ、鶏と豚肉。

一本麺というのは、例の、両手でビューン、と、伸ばして作る、
あれであろうか。

色は、鹹(かん)水があまり入っていないのか、うどんのような白。
そして、一本麺というくらいで、箸で一気に
取り切れないくらい、長い。そして、腰も、けっこう強い。

スープもうまいし、〆て、そうとう、うまい、汁そば、で、ある。

が、、、、。
腹一杯。

だから、俺は、ご飯はいい、って、言ったのに、、。


勘定は、二人で、10000円ほど、か。

噂に違わぬ、只者ではない、ヌーベルシノワ。
どれも、きらりっ、と光る、なにかが、ある。
そんな感想、で、ある。




馥香

※昨日配信分、リンク切れ等ありました、お詫び申し上げます。


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