断腸亭料理日記2009
6月1日(月)夜
8時前、オフィスを出る。
夕方から、なにを食べようか考えていたのだが、
そろそろ、瓜の季節。
瓜もみ、瓜の雷干し、、なんかどうだろうか、と考えていた。
これは、池波レシピ、で、ある。
その時に近くで採れるものを、食べる、ということ。
このことの意味、というのか、意義というのか。
(もちろん、それがうまい、ということが第一義、ではあるが。)
今の言葉でいえば、地産地消、旬、ということ。
東京の食文化という意味でも、こうしたものを食べるということが、
人間らしい生活、であることを、あらためて考える。
むろん、これは東京近郊の農家がこうしたものを作る
経済性も含めた、環境、意思、がなければ成立しないことでもある。
(東京に流通する、例えば、瓜は、多くが千葉産、で、ある。)
裏返せば、こうした作物を作れる郊外がある東京が、
今いう、持続可能な社会であり、都市であるようにも思う。
池波先生が残してくれた、大切な教えの一つ、で、あろう。
そんなことつらつらと、考えながら、牛込神楽坂の駅に向かい、
細工町の路地を歩く。
駅の隣のスーパー。
瓜は、、、、?
えっ、ない!
いつも置いてある場所にない。
野菜売り場、全体を探してみるが、やっぱりない。
少し前にはあったような気がするので、切らしているのか。
谷中に、豆腐でも買って、奴と、、、。
すっかり、瓜もみ、の、頭になっていたのに、で、ある。
この時間から、他のスーパー?
佐竹商店街のみかわや、で、あろうか。
あそこはこの時間やってたっけ?
しかし、駅から随分あるし、、、。
他のもの、他のもの、、、、?
ふと、豆腐売り場にあった、麻婆豆腐の素に
目がとまった。
気候もよくなってきたし、麻婆豆腐もよいか。
瓜もみと谷中、奴、から、急転直下の大転換、で、ある。
地産地消はどこへいった!、とお叱りをこうむりそうだが
まあ、ないものは、仕方がない。
瓜もみは、また見かけたら、に、すればよかろう。
で、あれば、ここではなく、拙亭近所の、ハナマサで買おう。
一応、瓜を売っているかも知れぬ、という期待も込めて、で、ある。
大江戸線に乗って、戻ってくる。
ハナマサ。
やっぱり、瓜などは、置いていない。
やっぱり、麻婆豆腐で、ある。
豚ひき肉、八丁味噌、豆腐二丁を買って帰る。
腹も減っている。
スーツを脱ぐのももどかしく、作り始める。
中華は段取り。
調味料類を全部、冷蔵庫から出す。
中華鍋をレンジにセットし、一度加熱しておく。
野菜類は、しょうが、これはみじん切り、
にんにく、一かけらを、スライス。
それから、ねぎ、一本をみじん切り。
スープが必要なので、薬缶で湯を沸かし始める。
豆腐二丁は、切っておく。
これで、準備はよいかな。
一気に作ろう。
熱した中華鍋に多目に油を入れ、回す。
これは一度、切って、再度、油を入れる。
強火。
にんにく、しょうがから入れて、炒める。
すぐに、豆板醤、大匙1ほどを入れて、よく炒める。
油によく馴染んだら、豚ひき肉、100gほど。
(残りは、冷凍庫に放り込んでおく。)
よく炒める。
ふつふつと、油が透明になってきたら、OK。
一度火は止める。
ここに、お湯。
八丁味噌を溶き入れる。
しょうゆ、酒、紹興酒、気持、砂糖。
スープの素、XO醤。
これだけでもよいのだが、沙茶醤も少し加えてみる。
ここで、同時進行で、切った豆腐を一度お湯で
煮ておく。
こうすると崩れにくく、プリッと仕上がる。
鍋にお湯を張り、豆腐を入れ、煮立ってくるのを待つ。
OK。
一度、ざるにあけ、先ほどの中華鍋に投入。
スープの味見。
ちょっと、薄い。
しょうゆを、加える。
OK。
ねぎを加える。
お玉の背でよく混ぜる。
ラー油を比較的たっぷり振る。
水溶き片栗粉を入れトロミ付け。
お。
忘れていた。花椒(ホワシャオ)。
最近の中華の流行りは、花椒をそのまま入れるのではなく、
香りを油にうつして、油として入れる、という方法。
これをやってみよう。
別のフライパンに油を入れ、加熱、花椒をそのまま入れてみる。
焦がしてもいけなかろうが、フツフツとしてくるまでやってみる。
いいかな。
中華鍋に加える。
OK。
皿に盛り付け。
花椒油だけでは心もとないので、すり鉢で軽くつぶした
花椒も上から、振りかける。
完成。
ビールを抜いて、食べる。
うーむ。
スープ自体の味付けはけっこう、辛めで、
まあまあのでき。
砂糖を入れると、ちょっと、もったりした感じ、
というのか、厚みのある感じ、と、いうのか、
そんな感じになる。
四川の本場のレシピではそこまで、厚みのある感じ、
ではないようには思うが、これはこれで、日本人の舌には
合っている、ようには、思われる。
しかし、やっぱり、花椒油がよくなかった。
ちょっと、焦げくさい、か。
加熱しすぎであったか。
この方法は、なん回かやっているが、
香りがあまりついていなかったので、
少し長めに過熱をしたのである。
低温でゆっくり、なのか、、、?
やはり、むずかしい。
皿一杯食べて、もう一杯。
幸いというべきか、今度は、花椒油の香りはしない。
最後に油を入れたので、表面だけであった。
私の腕では、素直に、つぶした花椒を入れるのがよい、
のであろう。
花椒は例の『麻』(マー)=痺れる味、の本体で、
強い方がやっぱりうまい。
そこで、たくさん入れたいのだが、多すぎるのもまた、
食べるときに口にざらざらと残り、よろしくない。
そこで、花椒油の技法が編み出されてきた、のであろう。
私も会得したいものである。
結局、この皿に、二杯半、食べてしまった。
汗をたくさんかいて、うまい麻婆豆腐であった。
(瓜は、どこへ、、?)
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