断腸亭料理日記2009
今日は昨日の続き。
古今亭志ん生師の長女、御年85歳の美津子さんの
書かれた、「志ん生の食卓」から。
この中で、最もうまそうだ、と、思ったもの。
「中トロと穴子のちらし」。
中トロと甘いたれをたらした煮穴子。
志ん生師、で、なくとも、どちらも、私もむろん大好き、で、ある。
この両方を一度に食べられる、と、いうのは、
やはり、魅力的、いや、夢のようではないか、
と、思った、のである。
志ん生師は、行きつけの鮨やで、作ってもらっていた、
と、いうが、それには及ぶまい。
中トロは、まあ、買ってくればいいし、
煮穴子は、なん度も書いているが、自分で煮られる。
むろん、タレもある。
内儀(かみ)さんに、米を研ぎ、浸水をしておくように頼み、
昼前、買出しに出る。
今年、煮穴子はなん度かやっている。
それからアメ横。これはつい先日。
どちらも江戸前で、安く、脂ものっていて、最高であった。
今日は、どうしようか。
千束へ行ってみるか。
自転車で、出る。
が、、、、魚壮にきてみると、穴子は、ない。
あれま!。
いつもあるわけでもないのか!?。
ここから、自転車を飛ばして、アメ横へまわる。
12時前、店開きをしている最中である。
見てみても置いていない。
念のため、おじさんにも聞いてみるが、
やっぱりない。
まあ、最初っから、予想はしていた。
ここには、滅多に穴子なぞ、ない。
結局、吉池。
まあ、ここには、江戸前、などといわなければ、
いつでもある。
対馬産、3本で750円。
そこそこ太ったもの。
それから、中トロ。
吉池はさすがに、マグロは品数豊富。
刺身に切ったもの、サク、ブツなど、また、産地も種類もいろいろ。
サクで、いい感じの脂。
二人前くらい取れそうな量。
100g。
インドマグロ解凍、1000円弱。
これにしてみる。
と、レジに向かう途中、目についたものがあった。
鯨。
1パック、300円ほど。
穴子が煮えるまで、時間がかかるので、
先にこれをつまんでおこう。
帰宅。
炊飯器のスイッチを入れる。
穴子。
いつものように、ストックしてあるタレを鍋に入れ、
水、酒、砂糖、しょうゆを足し、半分に切った穴子を煮る。
やはり、この前のものに、脂は及ばないが、
肉付きは、まあまあ、である。
一緒に買った、鯨を出して、切る。
薬味のしょうがもおろす。
鯨を食べるのは、久し振りかもしれぬ。
あまみがあって、なかなかうまい。
食べながら、呑みながら、穴子の続き。
30分ほど。
煮あがった穴子はあげて、つゆは
例によって、煮詰めて、タレに戻す。
そのうちに、飯が炊けてくる。
スイッチが切れてから、15分。
鮨酢を作り、いつも通り、酢飯を1/2合ほど、作る。
粗熱が取れたところで、
マグロを切る。
丼に酢飯をよそい、半分にマグロ、半分に煮穴子をのせ、
穴子には、タレもかけ、マグロには、わさびじょうゆ。
海苔も切って散らしてみる。
こんな感じ、で、ある。
うまそう。
食べてみる。
まずは、マグロ中トロから。
ふむふむ、見た通り、うまい。
穴子。
これも、まあ、自分で煮ているので、目標通りに
煮えており、うまい。
と、気が付いた、、、、。
これ、合わない、、、、。
むろん、それぞれは、まずいわけがないのだが、
かたや、わさびじょうゆの中トロと酢飯。
かたや、甘辛濃い味の穴子と酢飯。
明らかに、味は、別物、で、ある。
うーん、、、、。
考えてみれば、当たり前。
予想できたことだったのかもしれぬ。
同じ丼に入れて、味が混ざって、うまくなる、
ということも場合によっては、あるかもしれぬが、
これは、そうとうに離れている。
中トロわさびじょうゆ、と、煮穴子甘辛タレ、どちらも、そうとうに
はっきりしている味で、うまいだけに、やはり、
この場合、混ざってほしくない。
、、、そんなこんな。
「中トロ穴子ちらし」。
かなりの期待度であったが、
志ん生レシピ、に、ヤラレタ、か?。
いや、志ん生師の名誉(?)のために追記するが、
志ん生師は、酒好きではあったが、決して
食道楽では、なかった、と、いう。
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