断腸亭料理日記2009

関西風お好み焼き

8月30日(日)第一食

さて、日曜日。
(一週前です。あいすみません。)

起きて、なにを食おうかと思ったかというと、
関西風お好み焼き。

毎度お馴染み「チューボーですよ!」、から。

毎週、ほぼ必ず、視ているが、作りたくなる時と、
そうでないときがある。

最近は、食べたくなるメニューはあまりなかった
ように思う。

これは、おそらく番組で取り上げるメニューのせいではなく、
私自身の体調やら、興味、で、ある。

思い返してみると、このところ、
自分の普段作らないメニューは作らないように
なっていたようである。

自分の普段作るメニューというのは、
基本的には、好きなもの。

長年料理をしているので、好きなものは
大概作っているし、なん度も作って、自分としては
うまい、と、思えるようになっているものが
ほとんど。

自分としては、まあ、それで十分。
たいして好きでもないものを作る理由はないのだが、
やっぱりある程度、保守的になっている、のではあろう。

と、いうことなのだが、関西風お好み焼き。

むろん、私は東京人なので、関西風お好み焼きは
普段は食べない。
いや、過去、ほとんど食べた記憶はないかもしれない。

いや、いや、そもそも、関西風といわず、
東京風、というのか、こちらのお好み焼きも
別段嫌いではなく、子供の頃などは、家でも
よく食べていたが、今、好んで食べたいとは
思わない。
いい大人が食べるものではないのでは、というのが
正直のところである。

お好み焼きの歴史、成立は、起源は、なんであろうか。

関西はわからないが、東京では、おそらく、幼少の頃の
池波先生も好物であった、どんどん焼き、で、あろう。

戦前、昭和初期、の東京下町、お祭りなどの屋台。
ここに出ていたのが、どんどん焼き。

子供の頃、池波先生は、大人になったら、どんどん焼きや、
になりたい、と、思っていた、と、自ら書かれている。
それほど好きだったらしい。
鳥越神社、どぶだなのお祖師様(長延寺)などの
近所の縁日には、どんどん焼きの屋台に駆けつけていた。

ものとしては、お好み焼きよりは、クレープに近いもので
いろんなものを巻いたり、包んで食べていた。
あんこなど、甘いものもあったようである。
(むろん、リアルタイムで私は知らないが、浅草界隈の
お好み焼きやのお母さんに作ってもらって食べたことがある。)

推測だが、これが、戦後、食べるもののなかった頃を経て、
東京では、今のお好み焼きと、子供向けの駄菓やの
もんじゃ焼きになったのではなかろうか。
(今日は、きちんとした時代考証はしていない。
またの機会に。)

まあ、子供用のおやつ、焼け跡の食べるものがなかった頃の
代用食、というのが、お好み焼きの出自、であることは
間違いなかろう。
おそらく、関西のお好み焼きも、そう違わないのでは
なかろうか。
(ついでに、関西のたこ焼きも同じように戦後、もののない頃に
生まれてきたようである。)

それが、なぜだか大阪では妙に発展し、
大阪の味、に、なっていった。

関西風お好み焼きの東京との違いは、見た目には厚み。

これもなぜだかわからぬが、東京では、パンパンと
ヘラで叩き、ペッタンコ、に、する。
関西では、ふっくら。
もともとは、そんなことをしていなかっただろうが、
今では、生地にも山芋やベーキングパウダーを入れ、
より、ふっくらを目指す。
そんなことか。

そして、今回の、チューボーですよ!、の
関西風お好み焼きは、豚バラを表面にして焼き、
カリカリの食感もたのしめる、というもの。

朝、買い出しに出る。
豚バラは、ハナマサ。
山芋は安いので、三筋のスーパーヤマザキで。

キャベツは冷蔵庫にまだまだある。

作る。

まずは、出汁を取る。

そうであった、東京では、出汁などとらず、
水であるが、関西では、出汁で小麦粉を溶くのが
普通のようである。

昆布を水に入れ、煮立つ直前に止め、しばらく置いておく。

キャベツは千切りからみじん切り。
山芋はそう多くはいらないようなので、数センチおろしておく。

出汁は、鍋から昆布をあげ、再度点火し、鰹削り節を入れ
弱火で、5分ほど。
火を止め、このまましばらく置く。

冷凍庫に小海老もあるので、これも出し、
水で解凍しておく。

これで準備は終了。

粉と出汁の割合は、1:1。
200gの粉と、200ccの出汁。
ここに、ベーキングパウダー、山芋を入れ、
混ぜて、冷蔵庫。

30分。

一枚分、生地1、に対して、キャベツ1。
よく混ぜて、小海老を入れる。

フライパンを熱し、油を敷き、最初に豚バラ4〜5枚を並べ、
ここに生地をふわっと、広げる。


弱火で、じっくり焼く。
厚いので、じっくりが、いいのだろう。

表面に穴がプツプツと開き、
まわりの部分が固まってきたら、いいかな?

ひっくり返す。
ここで、東京人は叩きたくなるが、我慢。

見た目には、豚バラは、よい感じにパリッと
してきている。

裏面も軽く焦げ目が付くまで。

皿にのせ、ソース。
関西風なので、ほんとは、オタクフなどのお好みソース
が、よいのだろうが、ないので、ブルドックの
とんかつソース。
マヨネーズもかける。

関西風ではソースはベットリつけるが、
その量を、ブルドックのとんかつソースで
やってしまうと、濃すぎるので、関西風よりは少なめに。


第一食だが、ビール。
やっぱり、こういうものには呑みたくなる。

豚バラも、カリッ、としている。

生地もなかなかよいのだが、火の通り具合がもう少し。

一枚食べて、もう一枚焼いてみる。
今度は、ひっくり返してから、少し長めに。

ふむふむ、今度はよいだろう。

キャベツというのは、随分入れてあるのだが、
細かく切ってあるからか、焼き上がると、
あまり存在感が感じられない。
こんなものであろうか。

なにしろ、外で食べたことがないので、
ほんとうにうまい、関西風、というのがわからない。

しかし、まあ、ふっくら、そこそこのものはできた。
意外に、簡単じゃないか、というのが、印象である。

まあ、関西風とはいえ、お好み焼き、で、ある。
それほどのものでは、なかろう。

簡単でうまい。
やっぱり、これが、お好み焼きのよさなのであろう。








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