断腸亭料理日記2008
10月18日(土)夜
さて、夜。
今日は、銀座の資生堂パーラー。
銀座の資生堂パーラーといえば、いわずと知れた、
池波レシピ。作家、池波正太郎先生が、十代の頃、
株やの小僧時代から、通ったところ。
お好みの、メニューはミートクロケットと、チキンライス。
しかし、銀座の本店はそうとうに、高価、で、ある。
池波レシピであることは、むろん、以前から知っていたが、
カレーライスが3000円。
これはいくらなんでも、高いであろう、と、
足を向ける気にはならなかった。
そんななかで、一昨年、日本橋高島屋へ
野田岩のうなぎを目当てにいったのだが、売り切れ、で
そのピンチヒッターでテナントで入っている
資生堂パーラーの出店(でみせ)に入ってみた。
実は、この出店は、本店と値段設定が違っており、
多少、安かったのではある。
ではあるが、噂通り、味は、よかった。
カレーライス、3000円と思うと高いようだが、
例えば、銀座本店でも、コースで6000円からある。
これならば、街のそこそこ有名なフレンチやら、イタリアンの
価格である。また、鮨やにいくと思えば、それでも安い。
そんなことから、いってみようか、と
思ったのと、やはり、ストレス解消、というのか、
半分、自棄。
えーい、資生堂パーラーへいってやるか、と、
最近考えていた、のであった。
昼にTELで予約を入れ、19時。
内儀(かみ)さんは、午後外出しているため、
現地待ち合わせにした。
18時半頃、元浅草の拙亭を出て、銀座線。
稲荷町駅から、銀座まで向かう。
一応、銀座の資生堂パーラーであるから、
いつもの、雪駄にアロハなどという、いい加減な格好ではなく、
多少ましな、格好。
(多少、というだけだが。)
ご存じの通り、資生堂パーラーは、銀座八丁目。
中央通りの東側。七丁目側に路地をはさんで、
同じく資生堂のファッションビル、ザ銀座がある。
この、今の資生堂パーラーのあるビルは、2001年に
新装開店している。
ビルの名前は、東京銀座資生堂ビル。
今は、銀座8丁目、で、あるが、元は出雲町。
江戸の地図も出しておこう。
ここの場所が、ズバリ、資生堂創業の地であるという。
資生堂の創業は明治5年薬局として。
資生堂パーラーは同じく、明治35年に薬局内に
「ソーダファウンテン」を開いたのが、元という。
(詳しい歴史にご興味があれば。)
銀座線を降りて、8丁目のビルまで歩く。
ビルの入口は、中央通りに向かって左側。
1階はケーキなど洋菓子を売る資生堂プラザ。
大きなウインドウで、中はよく見えるが、
このウインドウと比べると、入口はかしこまった感じで、
中には、案内の女性も立っており、ちょっと、入りずらい雰囲気。
内儀さんはまだ着いていないのか。
1分前、携帯にTELを入れると、今歩いている、という。
入口前の歩道で、待つ。
ほどなく現れ、入る。
パーラーへ、と、中の女性にいい、すぐ前にある
エレベーターに案内される。
パーラーは、4階と5階だが、4階へ。
エレベーターを降りると、チーフ、らしい、年配の
男性がまずは、挨拶をし、名前をいって、
こちらへ、ということで、別の男性に案内され
中央通り側の一番奥のテーブルに案内される。
店内は、落ち着いた赤基調。
むろんテーブルクロスは白。
見渡すと、お客は、やはり、お金持ちそうな、
年配の方々が多い。
着物を着た、上品そうな、お祖母ちゃまなどもいる。
飲み物のメニューを渡され、、
まずは、やっぱりビール。
私は、キリンで、内儀さんは別のもの。
(銘柄は忘れた。)
ウエイター氏が、注いでくれる。
瓶は小瓶。
この注ぎ方が、芸術的なのである。
ビールグラスに小瓶を一気に注いでいくのであるが、
泡を立てながら、グラスからあふれんばかりの
ギリギリのところでぴったり、注ぎ終わる。
むろん、瓶には少しも残っていない。
これは、なかなかなものである。
つまり、注ぐスピードが問題なのだが、
速すぎて泡が立ちすぎたら、たちまちあふれてしまう。
ゆっくりであれば、誰でもできるし、また、グラスの縁まで
到達しないで、注ぎ終わってしまう。
少し、泡が落ち着いてしまったが、こんな感じ。
さすが、手慣れたもの。
ウエイター氏の、技、で、あろう。
ビールを呑みながら、メニューを決める。
コースは、6000円、8000円、12000円。
実は、事前におおかた決めていたのだが、それぞれ、
ホワイトローズという6000円のコースに、
二人でチキンライス一つを付ける、というもの。
アラカルトで、かの、ミートクロケットと、チキンライス、
という選択肢もあるのだが、これは、高島屋でやっている。
今日は、資生堂パーラーの全体を知ってみようということで
コースにしてみた。
そうとうに長くなってしまった。
またまた、引っ張るな、と、お叱りを頂戴しそうだが、
続きは明日。
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