断腸亭料理日記2008

駒形どぜう・なまず鍋と、

近所の豆腐やのがんもどき

今日は、昨日の続き。

11月20日(木)

観音様の裏の平成中村座の舞台、法界坊を観終わり、
境内に出る。

それにしても、すごい人、で、ある。
ウイークデーでも、こんなに人が出ていたのか、
と、あらためて、びっくりする。
土日とほとんどかわらない。

再び、宝蔵門の方へ回り、やはり、仲見世を歩くのはやめて、
時の鐘から、銀座線の入口に抜けている、メトロ通り、観音通りを歩く。

やはり、蕎麦であろうか、、、。
と、すると、並木。
いや、駒形どぜう、というのもわるくない。

一度、新仲見世に入り、仲見世裏の路地を通り、
大枡の横を通って、雷門。

ここも記念撮影の観光客やら、人力車のお兄ちゃんやら。

横断歩道を三井住友銀行側に渡り、真っ直ぐいって、
並木藪、、、。
お。休みか。
並木藪は木曜休みであった。
知らなかった。

とすると、やっぱり、駒形。

浅草通りの交差点を渡り、ちょい。
駒形どぜう、到着。
15時頃。

門口に「なまず鍋」の貼り紙。

入ると、下足番は、いつもの男性ではなく、若いお姐さん。

こんな日のこんな時間。
お客は、数組、ぱらぱら。いい具合である。

誰も座っていない、奥から二列目を案内される。
入口に向かって座り、胡坐をかく。

お酒をお燗でもらう。

さて、やはり、なまず、であろう。
ここのなまず鍋、なにかで読んで、食べてみようと思っていた。

なまず鍋といえば、ここではなく、西浅草の飯田屋で食べたことがあった。

いくら、かと、メニューを見るが、見当たらない。
注文を聞きにきた、お姐さんに聞くと、
後ろの壁に、と。

振り返ってみると、なるほど、貼られている。
(値段は、忘れてしまった。千数百円だったと思うが。)

お酒がきて、鍋がきた。


あー。ここのは、こういうものか。

以前に飯田屋で食べたなまずは、生、で、あった。
ゼラチン質が豊富で、うまかった覚えがあるが、
これは、既に、しょうゆで真っ黒に煮込まれたものが、
焼き豆腐とともに、どぜうと同じ、鉄の丸鍋に盛られ、
割り下が張られている。

飯田屋と同じ、生をイメージしていただけに、ちょいと驚いた。
泥臭い、ということであろうか、きっと、ここでは、
昔から、なまずは、こうしてきたのであろう。

食べてみる。

ふむふむ、しかし、これはこれ、で、あろう。
かなり、甘辛く、しっかり煮込まれている。

焼き豆腐もよく煮込んで、食う。

腹一杯。

食い終わり、勘定をして、出る。

路地を入り、西へ、元浅草へ向かう。
国際通りを渡り、さらに真っ直ぐ。
新堀通りも渡り、元浅草。

この路地を入ったところ、右側に豆腐やがある。
この界隈で豆腐や、というと、今、ここだけかもしれない。

ふと、思い付いて、覗いて見る。

がんもどきでも煮ようか。
ショーウインドウを見ると、ちくわぶもある。
一緒に作っているのだろうか。

ご店主が出てきて、

えーと、がんもどき、小さい方二つと、ちくわぶ、
それから、木綿一丁、と、頼む。

と、ご主人は、私の着物姿を見て、
いつも、着物ですか?と、聞く。

いやいや、今日は、休みなんで、、

と、私は、よくわからない、受け答え。

寒くないですか?夏の浴衣ぐらいしか着ないんだけど、

あー。今日なんかは、ぎりぎり、大丈夫ですよ。
もう少し寒くなると、マフラーとか、コート着ないとだめですがね。

やっぱり、股引(ももひき)履くの?

そうそう、股引履いてますよ。

(私は着物を着る時には、股引は履くようにしている。
これは、寒いから、というのではなく、もともと落語をするから
着物を着始めたのだが、落語をする場合、汗をかくので、
着物に汗が染みないように、履くのである。その関係で、
着物を着る場合は、股引を履くことにしているのである。
まあ、こんな説明はこの場ではしはしないが。)

品物をもらって、勘定を払う。

どうも、といって、ビニール袋をぶら下げて帰る。

ここからは、五分もかからない。

帰宅。

なんだかんだ、疲れた。
着物は脱いで、丹前に着替える。

もう寒くなっているので、家では、最近は丹前を着ている。

ちくわぶは時間がかかるので、先に煮ておこうか。

切って、圧力鍋、水を張り、ちくわぶを入れ、点火。
ふたをして、加圧。
10分程度で、火を止めておく。

テレビを見ながら、うとうと。

1時間後、ふたを開けてみる。

お。
ちくわぶは、圧力鍋には、向かないのか。
圧力で、ちくわぶの表面に少し、凸凹ができてしまった。

しかしまあ、見た目、だけの問題でもあろう。

しょうゆ、酒を入れ、がんもどき二つも入れて、
今度は普通に、煮込む。

これはまあ、味が染み込むのには、時間がかかるので、
弱火で15分ほど煮て、後はそのまま染み込ませる。

食べたのは、夜。


色はよく煮えた。

ちくわぶは、普通のものだが、
がんもどきは、なかなか、うまい。

あそこの、豆腐やで買ったのは、初めて、で、ある。
スーパーのものではなく、豆腐やのがんもどきは
大抵、うまいのだが、ここのは、随分としっかりしている。
味も濃いようだ。
これならば、一緒に買った、木綿もたのしみ、で、ある。

着物を着て、芝居を観て、駒形どぜうへいって、
近所の豆腐やで、がんもどきを買って、煮て、食う。

なかなか充実した休み、で、ある。






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