断腸亭料理日記2008

浅草・うなぎ・小柳

3月30日(日)第二食

昨日はよい天気。
暖かく、桜も満開。

隅田川の花見も気持ちがよかった。
しかし、今日は、打って変って、曇り空で寒い。
花冷え、といってもよいくらいである。

天気や、花とは、なんの関係もないのだが、
うなぎが食いたかった。
正確にいうと、今日突然、ではなく、少し前から、で、ある。

浅草あたりで、日曜日にうなぎ、というと、意外と選択肢は少ない。

むろん、営業をしている店の数だけでいえば、たくさんあるのだが、
筆者の行きたいところで、という意味で、ある。

ご近所、小島町の、やしま、雷門、色川はお休み。

南千住、尾花、で、あろうか。

しばらく、ご無沙汰であった。

午後、2時過ぎ、ウインドブレーカーを羽織って、
内儀(かみ)さんとともに出てみる。

TXで、二駅。
南千住まで。

南千住駅前は、再開発。
随分ここも変わりそうである。

回向院の脇、線路際を入って、尾花の前、までくると、、。

あれま!

門の外まで列が続いている。

わざわざ、時間もはずしてきたのだが、
ここまでの列は、初めて、で、ある。

これは、1時間ではきくまい。
2時間?
とても、だめであろう。

まわれ右。
どうしたものか。

浅草か。

浅草で日曜やっていて、、、。

小柳、は、どうだろうか。

確か、やっているであろうと、一応、携帯で、確認。
他にも、日曜にやっているところもあったと思うが、、。
次善、といっては、たいへん申し訳ないが、こういうときの
選択は難しい。

どこでもよいから“蒲焼になった頭”を満足させよう、
では、実のところ、落胆は大きい。

以前にも、こんなことがあったが、
普段はいかない、有名鰻割烹に入り、
かなり、後悔したことがあった。

普段いかないというのは、いかない理由がある。
はっきりいえば、嫌い、だからなのである。
こんな場合、ここ、と、思い定めていたところとのギャップは
まあ、相当なものになるわけである。

小柳であれば、立派なもの。
いってみよう。

再び、TXに乗って、浅草へ。

TX浅草駅から、六区を抜け、公会堂の先。

寒いのだが、花も咲いてる日曜のためか、
随分と人が出ている。

きてみると、ここも列。
ただ、2〜3人。
これなら待てるだろう。


暖簾の前で、待つ。
外で立っているというのも、この花冷えでは
寒いものである。
そのうちに、雨までぽつぽつと降ってきた。

10分程度であったか、入れた。
中ほどのテーブル席に相席で座る。

見渡すと、やはり、観光で浅草にきたと、見えるような
人々が多そうである。

少し寒いが、ビールと、焼き鳥。
それから、うな重の竹に、肝吸い。

先に運ばれた、お新香で、ビールを呑む。

焼き鳥がきた。


ここの焼き鳥は初めてである。
丸々と、ふっくらと、焼かれている。
ちょっと、珍しいと思われるのが、かかっている、タレ。
片栗が入っているような、とろみのある、甘辛。
まるで、みたらしだんごのタレのようである。
これはこれで、うまいが、なぜであろうか。
蒲焼のたれで、焼き鳥は焼けない、ということであろうか。

うな重。


とても、ノーマル。
タレの味は、濃からず、薄からず。
蒲焼の焼け具合、仕上がりも、まっとう、といってよいだろう。

飛び抜けたものがある、というのではないが、
どれも水準以上、で、あろう。

様々な客で立て込んでいても、
女将さんと若女将の客あしらいにも如才なく、
柔らかいが、安心感というのか、安定感のある
店の雰囲気になっている。

まだまだ、混んでいるようなので、
食べ終わると、早々に勘定をして、出る。

雨も本降りにはならず、赤札堂で買い物などをし、
二人、歩いて帰宅する。


小柳




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