断腸亭料理日記2008
7月5日(土)第三食〜四食
さて、虎ノ門で、そばを食って、再び銀座線に乗って、
戻る。
帰りは、例によって、上野広小路で降りて、
吉池に魚を見に、寄ってみる。
本当をいうと、呑み直したい気分。
すぐにつまめるもの、、?!
おっと。
くりから、が、あるぞ。
世間では、例の偽装騒ぎで、うなぎかば焼きは
騒々しいが、今年の春以来、なんとなく、
くりから焼きが気に入ってしまったようである。
今までは数本しか並んでいないことが
多かったのだが、随分と今日はいっぱい並んでいる。
まさか、私が買うので、並べるようになった、わけではなかろうが。
6本で1000円。
まとめても、別段、たいして安くもないが、
6本買ってみようか。
それから、、、。
もう少し見て回ると!
これはレアもの。
ぎんぽ、で、ある。
初夏の天ぷらねた。
昔は、江戸前天ぷらとしては、特段珍しいもの、
高価なものではなかったハズであるが、
獲れる量もまとまらず、さばくのに手間がかかる、
というので、あまり出回らなくなったそうな。
天ぷらやでも、私は見たことがない。
(どうでもいいのだが、ぎんぽ、は、落語には出てくる。
私は、落語で、ぎんぽ、なる天ぷら用の魚を知った。
小三治師の、道具屋、ではなかったかと思う。)
やはり、昨年、ここ、吉池で見つけて、初めて天ぷらにしてみた。
穴子に近い味で、うまかった。
昨年は6月であった。
これを逃すと、また今年はもう、お目にかかれぬかも知れない。
迷わず、購入。一山、350円。(決して、高いものでもない。)
これを買うとなると、昨年苦労をしたが、
例の、うなぎなどをさばくときに、頭を
俎板に打ち込む、釘、目打ち、が是非とも必要、で、ある。
一度、家に戻り、冷蔵庫に魚を入れ、再度合羽橋へ出る。
合羽橋の刃物屋さんへいけば、間違いなくあるであろう。
こうしたときに、ちょいと、買いに行けるのが、
まったくもって、便利この上ない。
きてみると、あった、あった。
頭がT字になった大きめのものやら、
いろんな種類があるが、小さいものでよいだろう。
700円で購入。
帰宅し、先に、くりから、にかかる。
前に書いてもいるので、
詳細はよかろう。
と、いいながら、今日は、少し失敗。
どうなったのかというと、少しなまぐさくなってしまった。
原因を考えてみるに、白焼きから、蒸す、のであるが、蒸すところ。
今日は、少し本数が多いので、串を重ねて皿にのせてしまった。
前は、皿に、割り箸を差し渡しておいて、その上に
串を並べたのであった。
これはなんのためかというと、落ちた脂が戻らないように
という配慮、で、あった。
もう、そこまでしなくともよいか、と思ったのである。
プロはどうしているのか、わからぬが、これは必要であった、か。
しかし、まあ、食える。
さて、夜。
問題の、ぎんぽ。
ぎんぽ、は、こんな奴、で、ある。
背中のひれに、トゲがある。
目打ち。
新しい、調理器具を試してみるのは、楽しいものである。
打つ場所は、目玉の少し後ろ、あたり、
こめかみ、だそうな。
ここに、目打ちを、打ち込んでみる。
そして、前びれの直後に縦に包丁を入れ、
そこから中骨に沿って上側の身を外していく。
はらわたも取り、開く。
ここまではさほど、難しくはない。
問題は、ここから。
中骨をはずす。
さばき方を見ると、まずは、向こう側、を
逆さ包丁、というらしいが、包丁の向きを反対に持ち
はずす、という。
が、そんな器用な真似は素人には、どうしていいかすら
わからない。
結局、昨年と同じように、骨の両脇に包丁目を入れ、
めくるようにして、中骨だけをはずす、ということになった。
それでも、目打ちの効果はちゃんとあった。
包丁をしっかり俎板に打ち付けてあるので
骨を外すのには、随分と楽になった。
天ぷらを、揚げるのは、もう描写はやめよう。
半身に切って、堅めの衣で、それぞれ、一本を丸ごと揚げた。
雑な骨の取り方をしているので、気持ち、残っている骨を
内儀(かみ)さんには、指摘されたが、
それでも、私にとっては、十二分にうまい。
うなぎくりから焼きと、ぎんぽ天ぷら。
長いもの、二題、で、あった。
こういうものが、さほど高価でもなく、
また、ぎんぽなどは、季節のもの、でもあるが、
ちょいと、自分の手で食べられるのは、
まったくもって、ありがたいことで、ある。
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