断腸亭料理日記2008
1月27日(日)夜
仲御徒町のそばや、吉仙から帰宅し、
晩飯は、20時頃。
吉池で買った、穴子と、メジまぐろ。
メジまぐろは、サクなので切るだけ。
穴子を、煮る。
ご存じのように煮穴子といえば、
江戸前鮨を代表するネタ、で、ある。
筆者は、これを自作してみようと思い、
自分で煮初めて、葛飾在住当時からだから、
もう、十年以上にはなるだろう。
穴子を煮ると、煮汁ができる。
これを煮詰めたものが、ご存じの鮨屋のツメ、と、いわれる
甘いたれ。
穴子にも塗るが、下足、蝦蛄、煮蛤、などにも塗る。
このため、拙亭には、このツメ、も、ある。
たかだか10年だが、それでも、つぎ足し、つぎ足し、という
やつではある。
穴子は、江戸前も売っていたが、少し安い、対馬産、三本。
むろん開いてある。
筆者には、穴子を割くことはできない。
(もっとも、割いていない穴子は、滅多に売っていないが。)
穴子の煮方、といって、筆者はなんとなく煮ているだけで
特段のことはしていない。
まずは、湯を沸かし、一本を半分に切った穴子を
ざるに並べ、霜降り。
一度洗う。
鍋に穴子を入れ、ここに、水、しょうゆ、砂糖、酒。
鮨やでは、ツメをここに入れて、ベースにする、のだが、
今日は忘れてしまった。
煮立ったら、アルミホイルで落としぶたをし、数分。
時間をかけて、煮崩れるくらい柔らかく煮る、というのが、
鮨や式、かもしれぬが、軽く色が付くくらいで、止める。
冷蔵庫から、ツメを出し、レンジで加熱。
香りは、鮨やの、ツメの香りなのであるが、
とろみが全然違い、シャバシャバ。
穴子を煮汁から上げ、皿にのせ、ツメをかける。
メジまぐろも、切って盛り付け。
穴子は基本的には、夏のものであろう。
脂の乗りは、やはり、今一つであるが、
それでも、なかなか、うまい。
氷見のメジまぐろ。
少し前に、太助寿司でも出てきたが、
今年は、豊漁なのであろか。
今日は吉池だが、アメ横の魚やでも見かけたことがある。
(これは房総だったかもしれぬ。)
脂がよくのって、柔らかく、十分にうまい。
さて、ツメ、の、こと。
先に書いたように、つぎ足し、つぎ足し使っており、
水あめを入れたり、以前からいろいろとしているのだが、
味が濃くなるだけで、どうしても、
あの、鮨やのような、とろみが出ない。
今回、少し調べてみたのだが、なんとなく、理由がわかってきた。
今日もそうなのだが、そう長時間煮ていない。
これが原因なのだろう。
煮魚などをすると、煮汁が翌日になると固まり、
煮凝(にこご)りになる。
これは、煮汁に魚のコラーゲンが出て、これが
冷えて固まる。
最近の和食では煮魚は長時間煮ないで、このコラーゲンを
できるだけ魚に留め、プリプリとした食感を残す料理法に
変わってきていると聞き、筆者も煮魚の場合は、煮る時間は、長くとも
6〜7分にしている。
鮨やの、穴子はもっと長時間煮てあり、ツメに、
穴子のコラーゲンが出ているのではないだろうか。
これが、あのとろみ、なのではなかろうか。
一度、穴子が煮崩れるまで、煮込んでみようか。
これを繰り返す。
どうであろうか。
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